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「こんなことを勉強して意味があるのか」と思ってしまう 英語勉強あるある


私の問題点というか改善点として、「確固たる目標がない」というものがある。
私が英語を勉強している動機は、「海外に行った時に現地の人や他の旅行者としっかり喋れるようになりたい」というものが主。
単なる「旅行をこなすのに必要な会話」だけでなく、なにげない普通の日常会話を外国の人たちと英語でしたいのだ。
あとは学歴コンプレックスの裏返しとか沈没しそうな日本においての命綱とか副な動機もいろいろあるが、基本的には「英語で外国の人と喋りたい」がメインの理由である。

そして、この理由だと、たびたび「果たしてこの勉強には意味があるのだろうか」と疑問を感じてしまう瞬間がある。

主に、単語を記憶する時である。
例えば、英単語語呂合わせシリーズその1で紹介した「dean=学部長」とか。
果たして私は「dean=学部長」という英単語を、今後の人生において使うことがあるのだろうか??

うーん。
ないとは言い切れないか。
意外と人間、歳を取ってからの方が勉強意欲が湧きがちで(凡人の場合は)、私も40代にしてまさかの、今が人生で一番真剣に英語に向き合っている。
それを考えると、もっと歳を重ねてから学部にお世話になることがないとも言い切れない。しかも、英語に情熱を傾けすぎて、海外の大学に行ったりすることがないとも言いきれない。
そうなれば、学部長に挨拶したりするシーンもあるかもしれない。遊び呆けて課題を提出できなかったり授業をサボりまくって進級が危うくなったりした時に(何しにわざわざ海外に行ったんだ?)、学部長室を訪ねて、「学部長はん、手土産をお持ちしました。ちょっと単位が足りんくなってしまったんやけど、これでひとつ手心のほど、よろしゅうお願いしまっせ」と、山吹色を敷き詰めた温泉まんじゅうなんかを手渡して、良きに計らってもらう場面があるかもしれない。
その時に「学部長=dean」の単語が言えなかったら、さすがに学部長に対して失礼に当たるであろう。「おめえ学部長に賄賂持って来るんだったら学部長の単語くらい調べて来いや!!! てめえは落第だ!!!」とまんじゅうを投げ返されるかもしれない。
となれば、deanは覚えておいた方がいいか……。

なお、「おまんじゅう」は bun、「あんこの入ったおまんじゅう」は bean paste bun である。
私はおまんじゅうが大好きで、例えばアメリカに行った時に「おまんじゅうはありますか?」「私はあんこのおまんじゅうが好きなんです」という会話はしそうな気がするので、これは納得して覚えた。
私がもらって嬉しい差し入れはおまんじゅうとTシャツとYOKUMOKUです。

じゃあdeanはいい。
他には、私のマイ単語帳に記載した熟語で(私は単語帳はアプリで自作している)、an obstetrician and gynecologist というものがある。
obstetricianは、「産科医」だそうだ。gynecologistは、「婦人科医」だそうだ。そしてふたつ合わせて「産婦人科医」のことを an obstetrician and gynecologist と言うそうだ。
単語帳に加えたはいいが、私はこれを単語帳に加えてから2年ほど、「この単語は果たして覚える必要がある単語なのだろうか?」と悩み続けている。そして覚えるのを保留している。
単語帳をめくっていてこの単語が来るたびに、「『an obstetrician and gynecologist』なんていうややこしい上に使わなそうな単語を、暗記する必要があるのだろうか? どうなのだろうか? 今後の人生において自分はこの単語と関わることがあるだろうか? うーん、とりあえずしばらく保留にしよう」と、考え込んでパスしている。
もはや記憶するのに必要そうな時間を遙かに超えた長時間、「これを覚えるべきか否か」について悩んでいる。

なにしろ「このややこしい単語を記憶する大変さ」と「この単語を実際に使う可能性」を天秤にかけた時に、バランスが悪すぎるのだ。
私は40代後半独身男性なので、今後の人生で結婚できる可能性はわずか1.6%である。計算方法は、「40代後半男性の未婚率25.2%-男性の生涯未婚率23.6%」だ。
1.6%といえば、ほぼ0%である。1.6%≒0%である。
だって「降水確率10%」の日には誰も雨が降るなんて思わないし、降水確率10%の日に雨が降ったらみんな「うわ、天気予報外れやがった!」と思うだろう。つまり世の中としては10%でもほぼ0%という認識なんだから、1.6%なんてもはや100%0%である(完全に0%という意味)。
その、ほぼ0%である結婚を成し遂げて、ましてや奥さんを妊娠させて、さらにその時に英語圏の国に移住していて「I am looking for an obstetrician and gynecologist!」とか言わなきゃいけない確率なんて、マイナス100%ではないか。
それなのに、なぜ an obstetrician and gynecologist なんて単語を私は記憶しなければいけないのか? 仮に記憶しようとするなら、「ああ俺はどうせ生涯未婚で子孫を残すという生物としての最低限の義務も果たせない欠陥人間だよ、こんな単語は覚えたっきり金輪際使うことはないよ、でも勉強は勉強だから実用性には目をつぶってとりあえず覚えるよ、このややこしい an obstetrician and gynecologistを」と、悪態をつきながら、憂鬱な気持ちになりながら覚えることになる。そんなのイヤじゃないか(じゃあ覚えなくていいよもうっ!)。

こういう時に、確固とした目標があったらまた変わって来ると思うのだ。
確固としたというのは、「TOEICで900点取る」とか、通訳何級とかTOEFLとか翻訳実務士とかなんとか国家試験に受かるとか、そういう具体名が出て来るもの。
例えば「TOEICで900点取る」が目標だったら、an obstetrician and gynecologist を覚えることにそんなに疑問は抱かないと思う。
だって、問題で出るかもしれないんだから。あらゆる英単語はTOEICの長文読解の文章中に含まれる可能性があり、問題中に含まれる可能性があるのだったらどんな単語であれ覚えることは目標達成のために有益であるのだ。

それが、私のように「旅先で英語でお話ししたい」みたいな漠然とした動機だと、「こんな単語、覚える意味あるか~?」と、自分の中に住む勉強嫌い悪魔に口を挟む口実を与えてしまうのである。

「lifetime employment」なんかもそうである。
読んで字のごとく、「終身雇用」のことだ。
これはだいたい見たら意味がわかるし、難しい単語ではないのでとりあえず覚えてみたけど、「いや、もう終身雇用なんて昭和の話で、現代の日本では終身雇用なんていう仕組みはとっくに崩壊してるんだから、今さら終身雇用なんていう英単語を覚えてなんになるんだ??」とブーブー言いながらノートに書いたもんだ。I was grunting while learning the word "lifetime employment". grunt=ぶつぶつ言う、文句を言う

私は昔ながらに、紙のノートに単語を何回も何回も繰り返し書いて覚える。効率悪いですかね?

もはや死に体となっているという筆記体


ただ、ブーブー言いながら覚えながら、同時に思ったのは、たしかにもう今の日本では終身雇用なんていう仕組みは崩壊しているけど、「もう今の日本では終身雇用なんていう仕組みは崩壊しているんですよ」みたいな話をもしかしたら将来外国の人相手に英語でするかもしれないので、その時のために lifetime employment は覚えておく必要があるのかもしれないな、ということであった。
旅先で外国人ルームメイトなんかと、お互いの国の社会情勢について話すというのは憧れでもあるからな。そういうことを自分以外のルームメイトたちが話して盛り上がっているけど自分だけ話せないので仲間外れ、というのが英語ダメ旅人あるあるだから。
そういう話に入って行きたい。

私は「イングリッシュアドベンチャーで出て来た知らない単語は全部覚える」という活動をしているのだが、そこでは「finishing school」なんていう単語も出て来た。
これは「花嫁学校」だそうだ。若い女性が、教養やお作法などを身につけるために通う学校だそう。「ゲームの達人」の中では、スイスの finishing school が出て来た。60年前くらいの話。
さすがに、これはいいんじゃない覚えなくても?
覚えたけど。
「全部覚える」の方針でやっているので、英単語を見て訳は言えるようにはしたけど(その逆は無理)。
しかし、花嫁学校なんてものは、「もう今の時代は花嫁学校なんてものはなくなってるよね、時代にそぐわないし」という話題ですら取り上げることがなさそうである。
「終身雇用はもう崩壊しているよね」という世間話はする可能性はあっても、「花嫁学校なんてもうなくなってるよね」という会話を旅先で会った外国の人とすることはないと思うのだ。
だって花嫁学校というものが過去にあったということをそもそも知らないんだから。そんな話しないって。ジェンダーフリーの思想的にも触れずにおいた方が良さそうなトピックじゃないか。
でも、そうは言ってももう覚えてしまった。覚えたからには使いたいという願望があるので、私に finishing school の単語を使わせるために、できればスイス政府には花嫁学校の復興を計画してもらいたい。ジェンダー論的な反対意見は上がるかもしれないが、それはそれとして「まあまあ」と言いながら粛々と計画を遂行して欲しい。でないと私が finishing school をせっかく覚えたのに使えないという、大変もったいないことになるのだから。


個人的には、roast, grill, broil, bakeの違いなんかも、「これは自分に必要なのだろうか?」と疑義を抱いている。
それぞれ「焼く、あぶる」「網焼きにする」「オーブンや焼き網で焼く」「オーブンなどでパンやケーキを焼く」であるそうだが、私はこれまでの46年の人生で、それぞれに該当するような調理法によって料理やお菓子を作ったことが一度もないのである。
オーブンと電子レンジの違いすらわからない人間である。なんか違うの? 見た目同じじゃん。
子供から中年までの40年以上一度も関わらなかったことを、今後興味を持って取り組むようになることがあるだろうか? 老後にオーブンや焼き網を使いこなしてグリル料理やケーキを作るようなことを、しかも英語を使う環境において行うなんていうことを自分がするだろうか?
その話すら、することは無いと思うのだ。
私は今まで幼稚園から大人の飲み会に至るまで、友達やクラスメートや飲み仲間や仕事仲間と、何十万回という会話をこなしてきたはずである。その40年間数十万回の会話において、「焼く、あぶる」「網焼きにする」「オーブンや焼き網で焼く」「オーブンなどでパンやケーキを焼く」の使い分けが必要な話を私は一度もしたことがないと思う。男子の会話とはそういうものだ。
それを、この後長くない人生において、英語で話し合う機会があるのだろうか? あるわけねえっ。
「stitch=〈縫い物や傷口の〉ひと縫い」もそうである。
私は40年間数十万回の会話において「縫い物や傷口のひと縫い」の話をした、あるいはされたことは一度もないと思う。
「お母さん、ズボンが破れたから縫ってー」とか、「怪我して傷を縫ったんだよー」くらいの表現を使ったことはあったと思うが、「縫い物や傷口のひと縫い」について言葉で言及したことは皆無だったと思うのだ。「○○を縫った」という大枠の話でなく、縫い口のひと縫いひと縫いにまで関心を寄せるような緻密な話をしたことはどう考えてもない。そして、これからも無い!!!

仮に、未来の数十万回の会話の中で「stitch=〈縫い物や傷口の〉ひと縫い」が登場する場面があるとしても、せいぜい1回や2回ではないか。
だとしたら、数十万回の会話の中で1回や2回くらい会話について行けないタイミングがあろうと別にいいではないか。
どうせそんな重要な話題じゃないでしょ。縫製工場の取締役会でもあるまいし、飲み会の会話で「ひと縫い」関連のトピックを適当に聞き流したところで、なにもトラブルなんて起きないよ。数十万回中たった1回や2回会話について行けなかったところで、ほぼノーダメージである。
逆にその数十万回のうちたった1回や2回の会話で後れを取らないために「stitch=〈縫い物や傷口の〉ひと縫い」という単語を記憶しなければいけないのか?と考えると、私はイエスと答える理由が見つけられないのである。その時間をもっと有意義なことや楽しいことに使うべきなのではないのだろうか?なんてことを思ってしまう。まあ「stitchの意味を覚えることが趣味」という人は、それが楽しいんだからやればいいんだけど。

しつこく続けると、「manacle=手錠をかける、手かせをかける」も使うことはなさそうである。
だって手錠かけないし!! 誰かに手かせをかけるような行為を私が今後の人生においてするとは思えないし!! そういう趣味もないんだから!!!


でもまあ……
これらどの単語も、本を読む時なんかには出て来る単語なのだろうしな……
たとえ会話で使う機会がなくとも、知っている単語が多ければスムーズに読書ができる。スムーズに読書ができなかったらストレスになるので、ストレスなくすいすい読書するためにもなるべく多くの単語は知っておいた方がいいのだろうな。
ただ私は英語の本を読むのが趣味なわけではなくて、英語の本は英語の勉強のために読んでいるだけであって、勉強の目的としては「外国の人と話すこと」であり外国の人と話す時にはやっぱりstitchとかmanacleとかfinishing schoolなんていう単語は使わなそうなので、果たして覚える意味が……。
強盗に遭った時に「Don't!! Please don't manacle me!!!」とかは言う機会があるのかな? でもそんな機会あったらイヤだし、強盗が自分に手かせをしようとしている時に「手かせをしないでください!!」と叫んでも、強盗は手かせをするだろうからな……。じゃあやっぱり意味ないのか……

この「これ覚える意味あるの?」問題は自分の中でまったく解決しておらず、解決していないまま「果たしてこの単語を覚える意味はあるのか……」とぶつぶつgruntしながら、今日も私は「veld=アフリカ南部の草原」「lining=洋服の裏地」など、今後の人生で一度も使わなそうな英単語をコツコツと覚えるのであった。

That's it.



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