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徒歩5分にあった テーマパークの話


今、誰かにめちゃくちゃ伝えたいことがあるんです。

15年前に転勤でやって来たこの街はいい意味でみなさんとても穏やか。元々は関西出身のわたしもいつの間にか慣れ、運転も歩くスピードもあの頃よりはゆっくりで過ごしています。たとえばお店の店員さんも慌てず時間通りに店を開け、ニコニコ接客されています。ATMでは順番を譲り合ったり、お先にすみませんと言われたりします。そんな中、ハッとする出来事がありました。

一昨日わたしは限定商品のとある音の鳴るラムネを探して来店しました。
すると入店しすぐさま向こうから聞こえてくるではありませんか。

「いらしゃいませ! 」

あまりにもその声が大きくて爽やかで、笑顔で発声していることがわかる素晴らしさ。もし“コンビニいらっしゃいませコンテスト”があったら、確実に入賞するレベルです。本当に一瞬衝撃で風が吹き、わたしの髪が揺れました。

今風吹いたよね!

なんて素晴らしい「いらっしゃいませ」なんでしょう。
学生さんでしょうか。お若い男性であるその方を見てみると、笑顔でおよそ3人分の仕事量をテキパキこなしておられます。なんなら羽が見える感じ。
「お待たせしました!」と次から次へ見事に業務をさばく姿が光って見えます。いや光っています。しかも小柄なお客様には一歩下がってから目線を合わせる感じの良さ。パーフェクト。

こ、ここコンビニだよね。


目を腕でこすってみてもここは東にある夢の国でもなく西のユニでもない。
もはやスタッフさんではなく彼は確実に場面の一員である“キャスト”。ここ比較的おっとりとした土地柄に、彼はとても目立っていました。前職がどこかのテーマパーク?なのかもしれません。

過去に、関西・関東にて接客に関わるお仕事をいくつか経験したわたしから見てもそれはそれは完璧な接客。良すぎて目がいくことってあるんですね。十年ぶりぐらいに出会ったお手本のようななめらかかな動きに釘付けで、お目当てのおまけ付きラムネが完売でちょっとへこんだことをついつい忘れてしまいそうになりました。

完売という肩を下げて店を出るかも知れない気持ちの状態が消え去る心地よさ。なぜだかわからないけれど、思わずわたしは喉も乾いていないのになにかに貢献したくなり飲料を片手にレジに並んでいました。

「おまたせしました!こちらへどうぞ!」と促されて神業の素早い会計。

「ありがとうございました!」

す、すごい体験をしたのかもしれない。

わかったことは2つありました。
素敵な接客でこんなにも気持ちよくお買い物できるということ。そしてなにか気持ちが沈んでしまっても、その後にいいことがあれば1日の終わりに笑顔になれること。ありがとうキャストのお兄さん。

なんだか大きなエネルギーをもらった気がして。帰り道の足取りがめちゃくちゃ軽くなりました。うん。ちょっとスニーカーが地面から浮いていたかもしれません。

Happy


そんな出来事を思い出しながら、鼻歌まじりに夕飯を作っていると高校生の娘が帰宅しました。

「ただいまー」
「おかえり。暑かったでしょう」

「お母さん、さっきコンビニ受けとりの荷物とってきたらね、すごいスタッフの人がいたよ!」


!!!!!






お読みいただきありがとうございました。














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