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夢見るそれいゆ 134

キッチンに戻ると、パパが朝食を作って私達を待っていた。

「どうやら、作った服着ていけるようだな。
良かったな、ひな。」
パパの大きな手が私の頭をくしゃくしゃに撫でた。
夏越クンの頭ぽんぽんとは違う、力強くも頼もしい感触だ。

「キャー、柊司くん。ひなちゃんの頭ぐちゃぐちゃにしないで~!」
ママが叫んだ。
「す…すまない、あおい。」
パパは何故か私ではなくママに謝った。
「まぁ、いいわ。ひなちゃん、朝ごはん食べたら、頭直してあげる。」
ママがいつになくキリッとした顔になった。

朝食の後、ママが髪の毛をセットしてくれた。
「うん、可愛いわ!」
ママが満足げな笑顔を浮かべた。
大きなリュックで出掛けようとしたら、ワンピースに合う小さなバッグも貸してくれた。
「ありがとう。行ってくるね。」
私は時間に余裕をもって自宅を出た。

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