見出し画像

紫陽花の季節、君はいない 25

俺は社会勉強の為のバイトと就職活動を始めた。
俺はなるべく今住んでいるアパートから遠いところを選んで、面接に行った。
柊司達に災厄を招く前に、此処から離れなければという一心だった。

しかし、自分のコミュニケーションスキルが此処までポンコツだとは思わなかった。

コンビニのバイトでは、仕事内容はすぐに覚えられたものの、女子高校生のバイト仲間に「トロトロやってんじゃねえ」と怒鳴られたり、客にプライベートをネチネチ聞かれたりして疲弊してしまい、すぐに辞めてしまった。

水族館の警備のバイトでは、コンビニのように人間と関わることはないと思っていたのだけど、家族連れの人などに「○○の展示は何処?」と聞かれる度にしどろもどろになってしまい、結局辞めざるを得なくなってしまった。

どんどん自信を無くしていくので、就職活動も上手くいくわけもなく、俺は途方にくれてしまった。

実家を追い出されたものの、仕送りしてもらえていたのが、はじめて有り難いことだと思えた。

読んで下さり、ありがとうございます。いただいたサポートは、絵を描く画材に使わせていただきます。