さらぬわかれ 32

「…栄子、ごめん。」
恒太が栄子を見つめた。熱の影響か、目が潤んでいる。
「『また明日』って言ったのに、休んじゃって。」

学校を休んでしまったことを恒太はけっこう気にしていたのだ。
恒太は皆勤賞を狙えるほど、滅多に体調を崩さない。だから、体調不良で約束を破らざるを得ない状況に慣れていないのである。

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