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2020年7月の記事一覧
夢見るそれいゆ 10
夏越クンは、夕飯にレトルトのミートソースのパスタをサラダ付きで作ってくれた。
「柊司よりは料理は下手だけど、パスタ茹でる位は出来るようになったよ。」
かつて、夏越クンは料理音痴で、パパが独身の頃は夕飯を作ってもらってたらしい。
「昔は、生きる力が弱かった気がするよ。空腹で倒れて柊司に病院に担ぎ込まれたのは、今でも覚えているよ。」
笑いながら話す夏越クンだが、あの時は紫陽花の精霊の彼女に急に会えな
hollyhock 14 【完】
──あれから4年、柊司くんは社会人になり、私達は結婚する事になった。
「ねえ、夏越くんに伝える時、きっかけになったカレーを食べながらにしない?」
私の提案に、
「いいねぇ、油断した夏越がびっくりするの見るの楽しみだ。」
と、柊司くんはニヤリとした。
「あおい、夏越だいぶ変わったよ。
何て言うか…ちゃんと人と関われるようになったよ。」
「きっと、良い出会いがあったのね。」
私が柊司くんと出会い、
hollyhock 13
「俺…あおいさんにはじめて会った時、唐揚げのパックあげたじゃないっすか。
元気無かったのが、『ありがとう』って微笑んでくれたのが嬉しくて。
あおいさんにもっと喜んでもらいたいなーって。
何でだろう…あぁ、これが好きって事かって気づいたんっす。」
私は、柊司くんが話す言葉をドキドキしながら聞いていた。
「あおいさん…急に抱きついてすいません。
でも、俺…あおいさんに好きになって欲しい!」
私は
hollyhock 12
「──ご馳走さまでした。」
私達は、カレーを完食した。
「柊司くん、洗い物は任せて!皿洗いは得意なの。」
私は、料理中の大失態を皿洗いで巻き返す事にしたわ。
「では、俺は皿を拭くの手伝うっす。」
シンクに皿を運んで、あらかじめ炊飯器の釜と鍋の方に洗剤の入ったお湯を張った。
スポンジを泡立てて、お湯でコップやお皿を洗った。そのうち炊飯釜や鍋の汚れがふやけてきたので、最後に洗った。
「あおいさん、