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さらぬわかれ

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村の1本の咲かない桜の木。 その木には、曰くがあり…。 8歳のまま成長を止め意識のない姉とその妹の話。 GREEのコミュニティで発表していた小説(2009/1/17~)の完全… もっと読む
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2021年1月の記事一覧

さらぬわかれ 9

引き戸を開けると、そこには恒太がいた。
「こんばんは~。」
気が抜けるほど満面の笑みをたたえて、鍋を抱えて立っていた。

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さらぬわかれ 10

桂が倒れてからすぐの頃、学校で栄子はあからさまな無視をされていた。
話しかけようとしても避けられ、時にはひそひそ「あの子に近づくと祟られる」と遠巻きに白い目で見られていた。

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さらぬわかれ 11

栄子はあの時の男の子とクラスメイトとして再会を果たした。

「君の名前は何ていうの?」
久しぶりに「祟り」以外の関心を示されたことに戸惑いつつ、
「池上…栄子。」
とだけ小さな声で答えた。すると、恒太はまっすぐ栄子を見て、
「栄子ちゃんか。これからよろしく!」
と、手を差し出してきた。

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さらぬわかれ 12

恒太と同じクラスになってから、栄子の世界の見え方が変わった。
はじめは他のクラスメイトとぎこちなかったけれど、恒太が栄子と一緒にいることで祟りが起きないことを証明してくれた。
栄子はクラスに溶け込むことが出来た。

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