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会社は誰のもの? 株主のもの? みんなのもの?

 今回は面白そうなテーマだったので、日経電子版の企画「#会社は誰のもの」に参加してみました。
 DAOやトークンの導入など、新しい組織の形を早期に取り入れてきたサクラス株式会社。テクノロジーを活用し、常により良い会社を目指してきたサクラスの代表は、会社は誰のものと考えているのか?インタビューしてみた。


会社は株主のもの?

ーー「会社は誰のもの」だと思いますか?

 「株主のもの」ですね笑。但し、近い将来において「株主」というのはもっと一般化していくものと思います。その中には従業員や顧客も含まれ、もし顧客や従業員が株主となった場合には、「会社は従業員のもの」「顧客のもの」になる、といえます。

ーーそんな未来が来るのですか?

 現在のインターネットは、資産を担保したり価値を流通させるインフラとして進化する方向へ向かっています。
 もちろん技術革新だけでなく法整備などの課題も残っていますが長期的にはそうした方向へ向かっていくものと思います。

ーーそうすると、会社のあり方が変わるのですか?

 わかりやすく弊社の例を交えてお話ししますね。現在サクラス株式会社の株の多くは代表である私が所有しています。ですが最近は事業部の所有権に近い権利をメンバーに分配し始めました。将来的にはそうした権利を持つメンバーが増え、私と同じ権利比率のメンバーが大勢いるかもしれません。

ーー会社はみんなのものという形になりますね。美しい形ですが、課題はないのでしょうか。

 色々出てくると思います笑。ひとつの課題の例は、決定権が分散されることによるものですね。意思決定者がたくさんいることで、スピードが落ちたり、決定そのものが全体最適解でなくなる、ということは想像に難くありません。

ーーなるほど。対応策はありますか。

 全体の管理をシステムが自動的に行うというのがひとつの最適解と思います。

ーー結果として、会社はよりシステマティックに運営されていくようになるのでしょうか。

 そう思います。なので、会社はシステムのものとまで呼べるかはわかりませんが、システムが上司みたいになるかもしれませんね笑

システムが上司?


ーーシステムが上司!サクラスでもそうなりつつあるのでしょうか。

 人を介さない経営のあり方として、実際に、弊社でもいくつか自動化システムの開発を進めていますので実例をご紹介します。

PAYCAST(経理支援システム)
業務委託報酬の支払い自動化を目指しています。
そのため稼働や納品の自動記録まで進めようとしているところが特徴です。

ENJIN(プロジェクト支援システム)
プロジェクト管理の自動化を支援しています。
プロジェクト利益の管理だけでなく、会議の質を含めた業務品質のスコア化がポイントです。

FULLBOAT(事業部支援システム)
事業部管理の自動化を支援しています。
こちらも単に事業部利益を見える化させるだけでなく、前述の所有権的なもの分配やフランチャイズ方式のような本部との管理会計を実現しています。

NOJINJI(人事支援システム)
このシステムは「人事」機能を全廃を目指しています。
採用や評価、能力開発まで広範な範囲の自動化を目指しているところが特徴です。

システム化の良さって?

ーシステム化が進んできていますね。システム導入以前との変化はどうですか?

 以前、DAOの導入を目指し一部人的リソースも使いながら運営していましたが、今なら全自動化もできそうだなと思っています。近い将来、自動化システムに組織の運営を任せられるでしょう。

ーー所有権の分散を始める前からDAOを導入していましたが、システムが組織の管理・運営の中心になる良さについて改めて教えてください。

 良さは色々ありますが、一つ目はお客様にとってのコストパフォーマンスが向上する点です。管理工数、いわゆるオーバーヘッドが圧縮されてお客様により高い付加価値のサービスを提供することに繋がります。

 二つ目は、冒頭で述べたようなことで、関係者が増えて複雑になってもフラットで公正な管理運営が可能になる点です。システムによって一貫した基準で運営されることで、迅速かつ透明性の高い意思決定が行えます。これによって様々な才能を持つ人を集める場ができると思います。

 弊社ではかねてから「才能のある人が自由に自分の才能を発揮できる世の中にしたい」というビジョンを掲げていますが、それを支えるひとつが組織のシステム化だと思っています。

代表にとって会社はどんな存在?


ーー代表にとって会社はどんな存在でしょうか?

 個人が戦うための武器ですね。一人じゃできないことでも会社を使って個人の力を増幅させ、実現することができると思います。

ーー会社は個人に武器を貸してあげてるんですね。

 そうですね、武器だとたとえが物騒ですかね笑。道具と言ってもいいかもしれません。平和な喩えでそうですね、「ミキサー」みたいな。
 会社はミキサーみたいな道具で、みんながそこにバナナやりんごなどを入れて、スムージー作って売る。そこで出た利益はミキサーの持ち主のものとなりますが、今後はそれもみんなで共有保有している形が増えるでしょう。

ーーそうするとみんなが儲かっていいですね。

そうですね。ただ、その利益をどう使うかというのもあります。私ならもう一台ミキサーを買います。

ーー次のミキサーはどう保有し、どう活用されるのか。ミキサーの例わかりやすいですね。ありがとうございました。


 近い将来、株主の構成が変わることで、組織のあり方も変化する。一般的に、組織運営を変えるのは大変で時間がかかる。しかし、サクラスで経験した組織運営のシステム移行は、驚くほど早い切り替えだった。変化に対応する手間はあるものの、自動化による作業工数削減は特にメリットを感じた。今はシステムが上司と言うと、何のこと?となるかもしれないが、思っているより早く一般的になる予感がする。

(文/K .S)
#COMEMO
#会社は誰のもの


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