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日本を好きになることを学んだ

日本のことが好きですか?

と問われたらなんと答えますか?


私は、ちょっと言いにくいのだけど、正直に告白すると

あんまり好きじゃないと感じています。

 

それは、正義が失われてしまった政治だったり、

無言の同調圧力に辟易とすることだったり、


過剰にポジティブがもてはやされることだったり

テレビ番組がどこも同じような番組ばかりで

個性がないところだったり、


韓国や他のアジアやアフリカの国をバカにしたような

態度が蔓延していることだったり、

お前がネガティブだからだと言われればそうかもしれないけれど

日本という国に、何だか私は

誇りを持てなくなっているのです。

  

そんな中で、たまたま知人から

一冊の本を勧められた。

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ふるさとって呼んでもいいですか
〜6歳で「移民」になった私の物語〜   ナディ著(大月書店)



1990年代、イランから6歳の時にやってきた女の子が

日本で暮らして、成長していく様子が描かれているこの本の中には、


「日本人」「イラン人」「外国人」と

アイデンティティーに揺れる心が描かれている。

 

彼女の感じる異文化や疎外感

出会う人の親切や、暮らしの中で味わう不条理。

その中で成長していく彼女の心。

ページをめくるたびに、彼女の生き方に引き込まれていきます。

  

なぜこんなにも、引き込まれていくのだろうか?

それは私もどこか日本の社会に、疎外感を感じていて

どこか息苦しさを感じて生きているからかもしれません。


彼女の持つ生きる強さは、26年間育ってきた日本で

何度も外交人ゆえの困難にぶつかるけれども、

それを自分だけが味わう特別な苦悩として受け止めるのではなく

日本人にでも、誰にでも起き得るものとして

静かに受容していくのだ。

日本という国を、「ふるさと」として

愛していて、そこに大いなる誇りすら感じている。

 

この本を読んでいて、私も実は日本という国を

心の奥深くでは愛していることを思い出し始めた。


そう言うと、「愛国心」の本かよと思う人が

いるかもしれないけれど、全く違う。

  

この本は、自分が育った日本を「ふるさと」として大切に思い

イラン系日本人としての自分を見出し

自分を生きていく。

彼女の己の根を張っていく生き方に、魅了されていくのだ。

 

言葉はわからなくても、ニコッと笑うことで

友達を作っていった6歳の頃の話。

 

不法滞在の両親のもとで、小学〜高校まで通う中で

特別在留許可が認められるまでの祈るような気持ち

  

今日本には、多くの外国にルーツを持つ人たちが暮らしている。

その中には、本当に色々な立場の人がいる。

外国から労働力としてやってきた人の中には

外国人だと言うだけで、不当な扱いを受ける人も多くいる。

 

顔つきが違うだけで、「外国人」とレッテルを貼られる現実。

そして、私も無知ゆえに

そんな現実に加担しているのを自覚させられる。

  

無知から偏見が起こること。

日本に暮らす外国ルーツの人で、日本をふるさとだと思っている人は

大勢いる。

ラグビーワールドカップの日本チームには

本気で日本に誇りを持ち、プレーする人が大勢いる。

 

私は、彼らが日本人なのか?そんな違和感を抱えていたけれど

この本を読んで、

そんな違和感を抱く私こそ、差別や偏見を助長していたことに

気づかされる。


日本で暮らす、多くの外国ルーツの日本人。

その人たちの人間としての権利は、この国で大切に守られているのか?

日本の中で「内なる国際化」は進んでいるのだ。

 

人間として、肌の色や、文化を超えて、尊厳が大切にされること

平等であること。

そうした人間の権利に対して敏感な心を持つこと

それらを大切にすることを通して

改めて、自分たちの権利の大切さにも気がつくのだ。

  

日本を嫌いで、日本に文句を言い続けることは

たとえ、それが愛から生まれているとしても

日本に暮らす責任を果たしているとは言えないことに

改めて気づく。

 

外国に長いこと出かけて、

日本に帰ってくるとホッとする安心感。

 

そんな日本文化を育んできたのは先人たちで

そんな日本文化を守って伝えていくのは

私たちなのだ。

 

ちょっと大げさかもしれないけれど

日本をもっと好きになるために

何ができるだろう。

そんなことを考え始めている。

 

嫌いから生まれるエネルギーよりも

好きから生まれるエネルギー。

憎しみから生まれるものよりも

感謝から出る美しいエネルギー。

 

ナディーと言う人の美しい心から紡ぎ出された言葉は

斜に構えていた私の心に、清涼剤のように

爽やかに飛び込んできた。

 

祖国を愛せることは、生きる喜びの一つだろう。

「ふるさと」として日本を大切に思う気持ちを

私は、育てていきたいと思っている。


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