スマートウォッチは最強の自己啓発ツールである

重要だが、緊急ではないことに時間を使いなさい。

自己啓発の名著「7つの習慣」の言葉である。一度は聞いたことのある言葉だが、無意識に生きていると、重要だが、緊急ではないことに時間を使うことは難しい。自覚のある人は、自己啓発本を読んだり、勉強会に参加したりする。人生を良い方向に変えたいと思っていても、すぐには変わらない。

そんな人に朗報がある。スマートウォッチである。自己啓発の本質は、「上機嫌でいること」である。「しあわせはいつも自分のこころがきめる」相田みつをさんが言っているのだから間違いない。上機嫌でいること、その状態を継続できること。筋トレで、自分の肉体を鍛えることも、上機嫌でいられるようにするための優れた方法だが、結果が出てくるまで時間がかかるし、なにより、筋トレを継続するためにはライザップに頼まなければならない。

わたしの人生は、スマートウォッチを買ってから明確に変わり始めている。これまで、自己啓発本を1,000冊以上読み、100近い勉強会、セミナーに参加した。人生の満足度の傾きを上げる努力は人並み以上にしてきたつもりだ。そんなわたしにとってもスマートウォッチは明確な変化点になっている。実体験を紹介する。

買ったのは、HUAWEI WATCH GT2 PRO。Amazonで\32,000。心拍数や歩数と言ったスマートウォッチの基本機能だけなら、\10,000以下でも十分だが、サファイアガラス、チタンケース、裏面はセラミックのGT2 PROを選んだ。YouTubeのレビューはすべて目を通し、高級感はピカイチというモデルだ。

唯一不安だったのはその大きさ。46mm。毎日、身につけるものだから、身につけること自体がストレスになってしまっては元も子もない。手にするまで不安だったが、その不安もすぐになくなった。なぜなくなったのか。実物をみればすぐわかる。かっこいいのだ。大きいか小さいかは問題ではない。大切なのはかっこいいかどうかだ。小さくたってかっこわるかったら身につけない。

言語設定やスマホとのペアリングなどの簡単な設定を終え、妻を誘って散歩に出かけることにする。いまは1月。散歩するにはちょうど良い気候だ。いや待て。いま思い返せば、寒かった気がする。なぜなら、子どもも誘ったがついてこなかったから。夫婦には散歩する習慣はない。通常なら、こたつでみかんでも食べていたはずだ。関係ない。GT2 PROを試したいのだ。妻の顔色はどうだったか。覚えていない。もしかしたら、ちょっと嫌がっていたのかもしれないが、そんなことは気にならなかった。あの瞬間、すでに「上機嫌いること」を達成していたようだ。

散歩に出かける。歩き始めるとすぐに、GT2 PROが震え、わたしに質問する。

「ワークアウトを始めますか？」

GT2 PROの指示に従い、ウォーキングモードをスタートする。普段の何気ない生活のなかにトレーニングが潜んでいることを教えてくれたのだ。トレーニングするつもりはなくても、時計が「どうする？　ちょっと歩いてみる？」と聞いてくるのだ。

他愛もない話をしながら歩く。こうして歩くのはいつぶりだろうか。付き合い始めたころのように、相手の話をしっかり聞いていた。子どもが生まれてから、二人きりで話す時間は減った。わたしは気づいた。この時間こそ、重要だが、緊急ではない時間なのだ。家庭、趣味、仕事のどれかひとつでも欠けていたら、上機嫌を継続することは難しい。家庭をもってしばらく経つと、趣味の時間は減り、仕事の比重が高くなる。子どもが大きくなるにつれて写真の枚数は減っていく。写真の枚数を増やすのが難しいように、一旦、小さくなった家庭の比重はなかなか元に戻すことはできず、「重要だが、緊急ではない」夫婦の散歩の時間はなくなっていく。

家に帰り、スマホの地図上に表示される、ウォーキングの軌跡、リズム、ペース、海抜、歩数、ストライド、心拍数といった時間変化のデータを子どもに見せる。興味はなさそうだがまあいい。寝るときもGT2 PROと一緒だ。来年のマラソン大会の前には、家族でスマートウォッチをつけて、データを分析しながら練習しようとひそかに考えてみる。ランニングの科学、みたいな本を買ってみようか。そんなことを考えていたら自然と睡眠に入り、気づけば朝になった。

睡眠スコアは83。深い睡眠の連続性が低いようだ。テレビやスマホを見る時間を減らしてみては、とのアドバイスだ。寝つきは最高、寝起きも良かった。なのに、もっといい睡眠があるらしい。100点の睡眠とはどんな睡眠だろうか。

上機嫌でいるためには当然ながら健康でいる必要がある。具体的には、運動、睡眠、食事、それとストレスコントロールだ。スマートウォッチは、運動、睡眠に効果があるのは間違いない。あとは食事とストレスコントロールをどうするか。次の週末も散歩しながら、妻と一緒に考えてみようと思う。なんだか今日は気分がいい。今日はいい仕事ができそうだ。

#買ってよかったもの

この記事は天浪院書店のメディアグランプリにも掲載されています。http://tenro-in.com/mediagp/164722