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前の前の恋人と高尾山に登ったら猿がいた。

今日はあなたと高尾山に登った。私はすごく不機嫌で、というのも、先日生理が来て無性にイライラするし、授業が難しくて焦って文字が読めなくなってでもみんなは分かっているみたいで私にはみんなの言っていることが理解できなくて辛かったし、あなたは私をどこかに連れて行くと前からずっと言っていたのに絶対にその約束を実行してくれなくて、だからついに私はキレたのだ。本当は、キレてしまったので、キレてしまったというのは冷静じゃなくなってひどい怒り方をしたので、もう合わせる顔がなくて今日は会いたくなかったけれど、意地でも約束(あなたは私をどこかに連れて行く)を守らせようと思って、頑張って起きて行くことにした。朝9時に私の家まで迎えにきたあなたは、「鎌倉に行く?」と私に聞いてきたので私は「ぅん…」と言ったけれど、本当は鎌倉なんて私は行きたくなくて、だって鎌倉は去年も行ったし、海は好きだけど商店街はいかにも、「出来合いのコースに従って楽しんでください」と言わんばかりの観光むけの商店街で、全然面白味がない。そもそも私は、ディズニーランドとかもあんまり行く気がしない。確かに行けば楽しいと思うけれど、ディズニーランドなんて変な人と一緒に行かなければ誰が行ってもそこそこは楽しめる場所で、そんなところが好きだなんて当たり前すぎて面白くないと思う。本物のディズニーランドに行くよりも、「ラブホは私のディズニーランド」と私がいつも言うのは、他のところに自分のディズニーランドを見出した方が面白みがあるし、そういう遊び方の方が素敵と思っているから。だから、鎌倉も、とてつもなく暇で、かつ自分らしく楽しむ気力もない時に行くところだと思っている。でももちろん、初めて行った時はそういうふうにいろいろ考察したり発見があったりして面白かったので、去年連れて行ってくれた人には感謝している。ありがとう。大好き。なんだかんだ言って鎌倉の夕暮れの海はすごくきれいだしね。
だから、「本当に鎌倉で良いの?」と聞かれた時、「それしか思いつかないなら」と私は答えて、「そうじゃなくても良いよ」と言われたので、「山がいい」と答えたら高尾山になった。高尾山も観光客向けじゃんと思うかもしれないけれど、鎌倉よりはましだし、私は高いところの空気を吸いたい気分だったし、中学生以来行っていなくてどんなところか忘れてしまったので、行っても良いと思った。ディズニーランドだって、年に何回も行く気はしないけれど、三年に一回くらいだったら、どんなところか思い出せて楽しいしね。鎌倉も、あと3年くらいしたらまた行きたい。

それにしても、私はまだ不機嫌だったので、むすっとしていたし、早く帰りたいと思っていたし、なんか私が小声だからか知らないけど、すごくあなたが私の方に頭を寄せてくるのが嫌で嫌で仕方がなかった。こっちに近づかないで欲しかった。

高尾山の駅に着いて、「約束」のことで一悶着あって、ひどいことを言われた。たぶんあなたがひどいことを言ったのは私が不機嫌なことに対する当て付けかもしれないけど、本当にそのせいでその時私はあなたのこと大嫌いになって、もう高尾山に登らずに帰ろうかと思ったけれど、まあお金も出してくれるって言うし、しょうがないから一人で登る気分で登ってから帰ろうかと思って、だってどうせ家に帰っても、一人になったら辛くて勉強に手が付かないし。ということで、登ることにしたんだけど、登ってみたら思いの外、気持ちよくて、私は気分が良くなってしまって、普通にあなたと話してしまった。むしろ、久しぶりに話したので、饒舌になってしまった。何の話をしたのかというと、喧嘩をしてしまったのは何でなんだろうという話。まあ他の話もしたけど。でも、そういう話をするのが、自然な流れだったから。
私とあなたは会っている時は驚くほど相性が良いけれど、会っていない時はペースが合わなさすぎて驚くほど相性が悪い。だから、別れてしまったんだけど。まあ、会う頻度とか連絡する頻度とか、そういう気持ちの差で喧嘩になるなんてあるあるだから、全然この話は面白くないと思うので飛ばす。

なんか高尾山で面白かったのは、猿がいたこと。高尾山には猿がいるんだよね。久しぶりに猿を見て、私は面白いと思った。高校生くらいまでは、動物園とかあんまり面白いと思わなかったんだけど、去年のオリ合宿(東大で入学式前にあるクラス合宿)で富士サファリパークに行って、久しぶりに動物を見た時に、動物って本当に変だなって思ったのよ。え、ライオンてこんなだったっけって。だって、ライオンとかゾウとかキリンとか、存在することを普通にみんな受け止めているし、まあ動物園に行けば簡単に会えるからかもしれないけど、誰もが子供の時に何度か行くところなので見たことないなんて人も少ないだろうし、だけど、子供の頃は普通に受け止めていたライオンを、10年くらい人間社会にしっかり揉まれた後、久しぶりに見た時、何だこれは!って私は思ったわ。そのことを、友達に話したら、「わかる。私もこの前久しぶりに動物見て、すごく変だなって思ったもん。動物園って、実は、子供の頃より大人になってからの方が楽しめるのかもね」と言っていて、そうだよねえと思ったわ。
それで、同じように、猿も、見てて変だなって思ったんだけど、あなたが言ってたのは「人間が、自分たちの祖先がこれ(猿)だって知った時ショックだったって気持ちわかるわ。それまで自分たちは神の創造物だと思っていたのに、猿はないよね。薄々、なんかあり得なくもないなとか思えるしね。ダーウィンとかほんと、猿が進化して人間になったって、その時代に言い張れるの頭おかしいよね」ってことだった。みんな初めて、猿が人間の祖先だって知った時はショックだったのかなやっぱり、私はあんまりショックじゃないけど。100円で買った餌をあげることにした。結構餌は軽くて、投げるのにコントロールがいる。「一匹、餌をキャッチできる猿がいるんだよ。あそこに」って、おじさんが教えてくれた。おじさんに、猿の見分けつくんですか?って聞いたら「つかなきゃ仕事にならないよ」と言われて、猿の見分けつくのすごいなって私は思った。あなたが思いの外、投げるのが上手で、最後の一個を、キャッチするのが上手な猿がキャッチしてくれて、「すごい!」と私は叫んでしまった。「俺、意外と運動神経いいんだよ」って、私別に前からそんなこと知ってるのになぜか自慢してきた。

<続く>(けど続きは公開しない)

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