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高く跳ぶには、深く潜らなきゃならない~あるクジラの物語~


こんにちは!

さーちゃんです(*^^*)

「命の熾火を守りともに育てるFirekeeper」として、

セクシュアルマイノリティの子どもたちとその保護者の居場所作りや啓発活動を行ったり(ここいろhiroshima)、神石高原町豊松地区の子育て支援コーディネーターをしてます。

現在、【火】を通して自分自身見つめるファイヤーリトリートというもののプログラム化も行っています(*^_^*)

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ある海のはずれに、

一頭のクジラがいた。



彼は、群れの仲間とはぐれ、

ひとりぼっちだった。



そして、傷ついていた。




たったひとりで、

この大きな海の中をさまよい続け、

傷だらけになりながら必死に仲間を求めても

誰ひとりとして見つからず。

いくら鳴いても、彼の声は海の中を響くだけ。

彼の声は、かつての仲間たちには届かない。




彼は、心底傷ついていた。






そして、いつしか彼は

自分の声の出し方、鳴き方を忘れていった。



どうせ自分が鳴いたところで、誰にも届かない。



いつしかクジラは、

自分が傷ついていたことも忘れ、

仲間を求めていたことも忘れ、

ただ、深い海の底をひとりで泳ぐのが

当たり前になった。




ある日、クジラがいつものように

ひとりで海の底を泳いでいると、

不思議な声がした。



高く跳ぶには深く潜らなきゃならない



クジラは、ひどくびっくりした。

今までこの深い海の底で

自分以外の他の誰かの声を

きくことは1度もなかった。




きっと気のせいだろう。

クジラはその声を無視しようとした。



すると、また


高く跳ぶには深く潜らなきゃならない


同じ声が深い海の底に響いた。




クジラは、再び無視しようとするが、

その不思議な声は、どんどん大きくなって聞こえてくる。



高く跳ぶには深く潜らなきゃならない



しつこく繰り返される声に、

ついにクジラは口を開いた。



お前は誰なんだ??

なんで俺にそんな事を言ってくるんだ??

もう、ほっといてくれよ!!




クジラは久しぶりに自分の声を思い切り出した。

長らく出していなかった自分の声を出してみて、

クジラは、少し気持ちがよかった。




お前は今どこにいる?

いつまでそこにいる?

お前はどこに向かう?


高く跳ぶには深く潜らなきゃならない

高く跳ぶには深く潜らなきゃならない




不思議な声は、歌うようにクジラに語りかける。




クジラは不思議な声にたずねる。


そういうお前はどこにいるんだよ!

声だけきこえて姿が全く見えないじゃないか!



不思議な声はクジラにこたえる。



私は、ここにはいない。

私は、お前が向かいたがっている場所にいる。

私は、お前がどこに向かうか知っている。


お前の声を思い出せ。

お前の声を思い出せ。

お前の声を思い出せ。



クジラは、この不思議な声の

言っていることがよく分からなかった。



俺はここが好きなんだ!!

俺はずっとここにいるんだ!!

ここが俺の居場所なんだ!!

自分の声を思い出す必要なんてない!!!



そうクジラが叫ぶと、

不思議な声はピタリととまり、

深い海の底はいつものように静かさに包まれた。




おーい!

おーい!

お前返事しろよー!!

どこに行ったんだよー!!



クジラがいくら投げかけても、

深い海の底にはクジラの声が響くだけ。




一体、なんだったんだよ。

変なやつ。




クジラは

元どおりの深い海の底で

つぶやいた。


 




  




でも、元どおりではなかった。

クジラは不思議な声を求めるようになっていた。



おーい!返事しろよー!!

おーい!お前どこにいるんだよー!!

おーい!おーい!おーーーーい!!!



クジラがいくら叫んでも、

その声は深い海の底に吸い込まれる。





その時、クジラは思い出した。

自分が求めていたものを。




どれだけ傷を負っても、

仲間を求めて海をさまよい泳ぎ続けた日々を。



命がけで仲間を探し、

声が枯れても、なお叫び続けた日々を。




いつしか

心の奥底にしまい込んで、

忘れてしまっていた

自分が心から求めていたものを

クジラは思い出した。




クジラは唱えた。


俺は、ずっとお前に会いたかった。

だから、深く潜らなきゃならなかった。

もう、十分準備はできた。





するとクジラは、

深い海の底から水面に向けて

一気に駆け上がりはじめた。




クジラは見たこともない速さで、

水面に向かって泳ぎ続ける。



泳ぎ続けて

泳ぎ続けて

泳ぎ続けているうちに、




お前の声を思い出せ。

お前の声を思い出せ。

お前の声を思い出せ。



また、あの不思議な声がメロディに乗ってきこえてきた。



クジラはそのメロディのする方へ、

真っ直ぐに、力強く、泳ぎ続けた。



泳ぎ続けて

泳ぎ続けて

泳ぎ続けて

ついに、クジラは水面からとび出した。



クジラのからだは、

空高く宙を舞い、

高く高く跳び上がった。



クジラは叫んだ。

大きな身体の中に包み隠されていた

己の全ての声を出し尽くした。






俺は、お前に会いたくて会いたくて

高く跳ぶことを選んだんだ…!

俺は、ずっとずっとここに来たかったんだ…!

俺は、ずっとずっと叫びたかったんだ…!



俺は、ここにいる…!

俺は、ここにいる…!!

俺は、ここにいる…!!!!!






クジラの叫びは

この星中に響いた。


海、陸地、空、

ありとあらゆる場所にいる

生き物たちにクジラの声が届いた。

クジラにも、それが分かった。






それからクジラは、

何度も何度も

深い海の底に潜っては

水面を高く跳ぶようになった。






クジラは、もうひとりぼっちではなかった。








【あるクジラの教え】◯高く跳ぶには深く潜らなきゃならない。深く潜ったなら、お前の声を、求めるものを思い出せ。後は跳び上がるだけだ。


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最後まで読んでくださりありがとうございます!

今日も応援しています!

ホーミタクエオヤシン。

2021.9.09 高畑桜

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