いってらっしゃい(25・最終回)
【夕食の時間になる。和気藹々と盛り上がる里沙子たち。謙治だけは取り残された気持ちを抱えたまま箸を動かす。そこへ有希の夫という男がこれ以上ないというさわやかさで加わる】
二人が風呂から上がったころに、ちょうど夕食の準備ができた。みんなで囲炉裏を囲んで座る。めいめいに置かれた脚付き御膳には、治部煮、金時草のおひたし、ごりの佃煮と、キク手ずからの見目も麗しい加賀の郷土料理が並ぶ。がんど(ブリの若いもの)の刺身は角がぴんと立ち、岩牡蠣は身がぷりっと光って見るからに甘そうだ。週に二度