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【スタートアップ!占い師】#22 占い師の帳簿ってどうなってるの?⑤ 電子帳簿保存法について(※R6.9.20追記)

 占い師として活動をはじめて38日目。
 大事なことに気がついたさくらさん。そう、帳簿の付け方です。
 占い師は個人事業主なので、会計業務も自分で行わなければいけません。
 どこからお金が入ってきて、何に使っているのか。使ったお金は事業のために適切に使われているのか。それを明確化できるのが、帳簿です。
 どんぶり勘定だと、せっかくスタートさせた占いの事業も立ち行かなくなりますよ〜。

 今回は、占い師の帳簿のお話です。
 占い師の仕事というよりは、個人事業主としてめちゃくちゃ重要なので、この帳簿の回は無料で公開しております。 

 ここでは「電子帳簿保存法について」をお話していきます。 

 占い会社や決済サイトを使う場合は、相手側から支払通知書や請求書など送ってもらったり、売上管理のページから情報をダウンロードしたりして、取引の情報を取得することができます。ですが、個人間のやりとりはメールやSNSのDMのやりとりが取引の証拠となります。この証拠を、電子データとして保存しなければいけません。
 2022年1月から「電子帳簿保存法」は施行されていますが、これまでの2年間は義務化に向けての宥恕期間(宥恕は「ゆうじょ」といいます。「先送りします」の猶予と違って、「多めにみてやんぞ」の意味があります)でした。本格的に義務化になるのは、2024年の1月からですので、あと2ヶ月ちょいで電子取引から電子保存までのルーチンを身に着けないといけません。
 さくらさん、いいタイミングで気が付きましたね。

 電子帳簿保存法のこと、電子取引から電子保存までの手順なども学んでおきましょう。


電子帳簿保存法とは?

 電子帳簿保存法とは、「これまでは紙で大事な書類を保存してたけど、今度からデータで保存していこうね」という法律のことで、全部の事業者が対象です。
 電子帳簿保存法については、こちらが詳しく書いてありますが、

 これをはじめ、どのサイトに目を通しても、義務化されたことと任意で行うことがごちゃっとしていてわかりにくいので、個人事業の占い師が知りたいところだけをを絞ってお話していきます。

「義務」として国がやってほしいこと

電子取引のデータを保存する

 この法律で義務化されたのは、電子取引で発生したデータ全部をデータのまま保存すること。

 占い師でよくある電子の取引は
・メールやSNSでの鑑定依頼のやりとり
(これは「注文書」に該当します。電話鑑定やメール鑑定の通信鑑定のやりとりはもちろん、対面鑑定の予約のやりとりも含まれます!なお、対面鑑定の鑑定料を現地で現金で支払う場合、お金の取引は電子取引ではないのでご誤解なきように)
・予約用のメールフォームや予約システム
・鑑定料などのオンライン決済、スマホ決済
・ネット通販での買い物
・経費のクレカ払い
・ネット銀行やネットバンキングの振込や支払いなどの履歴
・仕事で使ったサブスクの使用料の領収書
・買い物の際に使用するスマホ決済
・買い物の際に使用するクレカ決済
・占い会社から送られる電子データ
 (支払通知書、請求書、領収書など)
・取引先とかわした電子データ
 (支払通知書、請求書、領収書など)
……が、あげられます。

 これらの電子データを、取引先の名前・金額・日付をファイル名に書いて、どこかに保存しておかなければいけません。
(絶対データの量多い、もう面倒くさい)

 今までは、これらの電子データはプリントアウトして紙で保存しておかないといけなかったのですが、それができなくなりました。
 これからは、紙保存ではなく全てデータ保存になります。

これらのデータを税務調査が入ったときにささっと見てもらうために、情報を整理して保存しておかないといけない

 「ただデータを保存しておけばいい」のではありません。データの整理も行っておかなければいけません。スクショした写真をスマホの中に溜め込んでしまうような人にとっては、苦手な作業といえるでしょう……。
 時間が掛かるし途方にくれますが、こまめに行う必要があります。
 国税庁では、
・表計算ソフトで検索簿を作る方法
・データをフォルダごとにわけて検索しやすくする方法
(↑一部変更になってます。後ほど書きます)
 を挙げています。
 ExcelやGoogleスプレッドシートを使える人なら前者でしょうか。
 それらが使えない人や苦手な人は、後者の方法を使って保存します。

これらのデータを見るための機材も必要

 「ただデータを保存しておけばいい」のではありません。そのデータをみれる機材も常に準備しておかなくてはいけません。
 難しく書いていますが、データ保存しているファイルやデータそのものが見られるパソコンとスマホ、そのデータを印刷できるプリンターがあれば大丈夫です。

保存したデータを改ざんしないよう、「改ざん防止のための措置」をとらないといけない

 「ただデータを保存しておけばいい」のではありません。そのデータが正しいものなのかを示さないといけません。そこで、とるのが「改ざん防止のための措置」です。ちょっとよくわかんないですよね。

 国税庁の言う、「改ざん防止のための措置」というのは以下の3つのどれかになります。

・デジタルデータの修正・削除履歴が残るシステムか、そもそも修正や削除ができないシステムに、これらの電子データを保存する
 ……事務処理規程を定めていない場合は、こういったシステムを使用して電子データを保存します。
 こういったものは請求書の一括管理サービスが多くあげられますが、個人事業の占い師はあんまり請求書を発行しないと思います(私も年に1回あるかないかくらいです)。どちらかというと、個人鑑定でメールやSNSのやりとりが多いんじゃないでしょうか。
 この場合は、メールなども保存してくれる、電子証憑管理サービスを利用します。
 もしくは、証憑を電子保存してくれるサービスがついている会計ソフト。  
 普段から会計ソフトを使用している人は、それを使用すればOKです。

・タイムスタンプをつける&タイムスタンプのついたデータをもらう
 ……上記の方法で保存できない場合や事務処理規程を定めていない場合は、電子データにタイムスタンプをつけて保存します。 ちなみに、 レシートや紙の領収書をスクショしたり、スキャナにかけて電子データとして保存する場合は、タイムスタンプが必要です。
 こちら側がタイムスタンプをつけるには、ネット環境のほかにも、タイムスタンプを事業として扱える事業者(時刻認証業務認定事業者)との契約やタイムスタンプをつけるためのシステムが必要です。
 これも、会計ソフトの証憑サービスでなんとかなります。
 Adobe Acrobatにも、PDFにタイムスタンプをつけられるサービスがありますが、時刻認証業務認定事業者ではないので「改ざん防止のための措置」とは認められにくいでしょう。
 逆に相手側からも、タイムスタンプのついた電子データをもらう必要があります。これは、もらったデータにタイムスタンプがついていることが確認できなければいけません。

・事務処理規程を設ける
 ……デジタルデータの修正・削除履歴が残るシステムもしくは修正や削除ができないシステムを使わない場合、電子データにタイムスタンプを使わない場合。
 電子データを通常通りに保存する代わりに「電子データの改ざん防止のための事務処理規程」を定めておき、それを守る方法です。この事務処理規程は、データの訂正や削除は禁止します、やむを得ない場合は申請書を作って理由等を書きます、といった内容のものです。

 どれもややこしいですが、どれかを取り入れておけば問題ありません。

電子データは7年間保存する

 #17でさらっと書いたのですが、帳簿類に保存期間があります。

 これは電子データも同じです。7年間の保存か必要です。
 長期間の保存が必要なんですが、電子データというものはですね……紙よりも見つけにくく、消えやすいものなのです。不思議だね〜……。
 なので、保存しておくためのUSBメモリやGoogle Driveみたいなクラウドなどで、バックアップするなり保存場所をいくつか確保しておく必要があります。

※追記 
 ECサイトを利用した場合は、領収書のデータの確認が随時可能な場合は、そのデータをダウンロードして保存しておく必要がなくなりました。  
 ただし、真実性の確保(情報処理規定を定める、など)をしておくこと、検索可能な状態にしておくことが条件となります。
 サイトによって、購入履歴等の検索ができるもの・できないもの、領収書などのデータの保存期間が7年間(赤字が出ている場合は10年間)あるのかどうかが異なります。例えば、サイトのデータ履歴が3年分しか確認できない場合は、条件に満たないので、データのダウンロードが必要になります。

やるかどうかは事業主に任せていること

 今までは義務の話でしたが、今後は任意の話になります。
 「保存は保存なんだけど、どんな形をとるのかは事業主さんそれぞれにおまかせするよ」という部分です。

パソコンやスマホを使って作成した帳簿類の保存方法

 会計ソフトやExcelなどの表計算ソフトで作った電子帳簿を、印刷して紙で保存するか、データとして保存するかは任意になります。どちらをとっても保存期間は変わりません。

紙のレシートや領収書を電子データ化するかどうか

 紙のレシートや紙の領収書を、スクショしたりスキャナに取り込んで保存しておくか、しないかは任意になります。
 紙のレシートや領収書を電子データ化しない場合は、もちろんそのまま保存します。
 電子データ化した場合は、紙も電子データも両方保存していいし、電子データを残しておいて紙は捨ててもかまいません。
 ただし上にも書いたように、紙を電子データ化する際にタイムスタンプが必要になります。また、電子データ化するのにも、解像度などの条件があります。検討している人は、目を通しておくといいと思います。

ですよね〜

電子帳簿保存法の準備から取引・帳簿付け・保存までの、個人的に考えるらくらくルート

 電子帳簿保存法のことはわかったけれど、どのようにしていけばいいのかわからないさくらさん。
 私もこの記事を書くために(改正もあったし、整理も含めて)電子帳簿保存法を調べていて「どうせいっちゅうんや」と爆発しそうになりましたが、自分なりにローコストかつ準備や処理が楽になれる方法をみつけたので(というか、私がやるので)ご紹介します。さくらさん、ついてきてね。
 なお、この方法は「個人事業主で税理士を雇っておらず、パソコンを使って一人で経理を行う」場合です。税理士さんを雇っている人の場合は、人によってやり方が違うかもしれないので、税理士さんに聞いてくださいね。

電子帳簿保存法の準備

 まず準備するのは
・会計ソフト
 (これは普通に記帳に必要なので)
・Googleドライブなどのファイルが保存できるクラウドストレージ
 (PCに入れないのは、他のデータを入れたいときに邪魔になるから)
・バックアップ用のUSBメモリ
 の3つ。
 
 で、事務処理規程を予め設けておきます。

 PCに「記帳前」のフォルダと「記帳後」のファイルを作っておきます。
 クラウドストレージとUSBメモリに年月日ごとのフォルダやファイルを作っておきます。(例えば「令和5年」のフォルダの中に「1月」「2月」……のファイル、といった感じです)
 これで準備はOKです。

仕事など、お金の取引を行う

 電子取引やネット内でお金のやりとりを行います。
 リアルでお買い物をしたときのクレカ決済やスマホ決済など、紙のレシートや領収書が発行されるものは、使った証拠にもなるのでしっかりとっておくこと!

取引別・電子データに残していく方法

 仕事やお金のやりとりをダウンロードしていきます。
 形式はPDFかCSVです。

・メールやSNSでの鑑定依頼のやりとり→本文をPDF化して保存、SNSはスクショした画像をそのまま保存。万が一のために、メーラーにあるメールやSNSの履歴は消さずに残しておく。
・予約用のメールフォームや予約システム→PDFかCSVでダウンロード
・鑑定料などのオンライン決済、スマホ決済→PDFかCSVでダウンロード
・ネット通販での買い物→明細書や領収書をダウンロード
・経費のクレカ払い→クレカ会社にアクセスし、利用明細と領収書をダウンロード
・ネット銀行やネットバンキングの振込や支払いなどの履歴→入出金明細うや取引履歴明細証明書をダウンロード
・仕事で使ったサブスクの使用料の領収書→PDFかCSVでダウンロード
・リアルの買い物の際に使用するスマホ決済→スマホ決済サイトにアクセスし、利用明細や領収書をダウンロード
・リアルの買い物の際に使用するクレカ決済→クレカ会社にアクセスし、利用明細や領収書をダウンロード
・占い会社から送られる電子データ→そのまま保存
 (支払通知書、請求書、領収書など)
・取引先とかわした電子データ→そのまま保存
 (支払通知書、請求書、領収書など)

 保存の際に、データ名を「取引先の名前・金額・日付」にしておきます。この保存したものは、全部「記帳前」のファイルに入れておきます。
 ちなみにここに保存を持ってきたのは、ダウンロードを忘れてしまうのを防ぐためです。

取引を会計ソフトに記入していく

 「記帳前」の電子データ、それぞれの取引を会計ソフトに記帳します。記帳後は「記帳後」のファイルに入れます。
 さくらさんのように、メールやSNSのやりとりで鑑定の仕事が発生した場合で、もしお支払いが銀行振込なら、鑑定を行った日と銀行振込の日の確認をしながら、勘定科目と金額を記入していきます。
 それぞれのファイルを確認して、記入漏れがないか確かめます。

PCのファイルから、クラウドストレージとUSBメモリにそれぞれ保存する

 記帳が終わったら、「記帳後」ファイルの中のデータを、クラウドストレージとUSBメモリにコピペして移します。

 これで終わりです。

ちなみに紙は紙のままで保存

 紙(紙のレシート・領収書・入金伝票・出金伝票・振替伝票)は、紙で扱うので電子化しません。そのまま。
 紙のレシート・領収書・入金伝票・出金伝票・振替伝票も、「記帳前」のクリアファイルと「記帳後」のカテゴリ別ポケットクリアファイルを準備して、記帳しながらポケットクリアファイルに振り分けて保存します。

それならよかった!

 大変ですが、これも来年1月からは義務になるので、今のうちから「しっかり身につけておきましょう。

 次回は「占い師とインボイス制度」についてお話していきます。

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