【スタートアップ!占い師】#40 仕事アピールとして無料で読める占いを提供するメリット・デメリット
事業を行っている多くの人は、集客や認知・宣伝のために、サイトやブログ、SNSで今月のスケジュール、イベント告知など様々な情報を発信しています。
占い師の場合は、スケジュールや告知の他にも、サイトやブログ、SNSで占いを書いていたり、動画等で占いを公開している人もいるのではないでしょうか。
鑑定料金なしで情報を知ることができる占いの発信は、読み手に有益であるためか、フォロワーの増加やいいねの増加につながりやすいようです……が、はたして、そういった「無料占い」の投稿は占いの集客や収入につながるのでしょうか。
今回は、「仕事アピールとして無料で読める(見れる)占いを提供するメリット・デメリット」についてお話していきます。
※ブログなどの文章で読める無料占いや動画で楽しめる無料占いを「無料で読める(見れる)占い」と表現していますが、回りくどくなってしまうので、以下「無料占い投稿」という言葉で書いていきます。
大衆メディアで目にしていた「無料で読める占い」は、SNSの普及により各個人のコンテンツにも変化
かつては「無料占い投稿」といえば、雑誌か新聞の掲載、もしくは元旦発行の新聞の付録としてついてくる暦(付録がついてこない新聞もあります、一部の新聞です)でした。占いに直接お金を出さなくても、雑誌や新聞を買えば占いの情報も一緒に読むことができます。
最近は、休刊する雑誌や紙とデジタル(サイトやアプリ)の両方に置き換わる雑誌や新聞が増えており、紙媒体よりデジタルで占いを読む人のほうが多いかもしれません。
テレビがある生活が当たり前になると、テレビでも占いを特集されたり、ニュース番組のコーナーのひとつに毎日の占いが取り入れられるようになりました。こちらも、テレビを見ていれば、占い代を払わなくても無料で占い情報を手に入れることができます。テレビはテレビで最近は若者離れを起こしており、ニュース番組の情報はテレビではなくSNSやアプリ、占い特集ならテレビ番組アプリの見逃し配信で閲覧する人が増えてきました。
ネットやSNSが普及する前は、「『無料占い投稿』は、雑誌や新聞、テレビなどの大衆メディアで読める(見れる)もの」でした。
ネット普及後、ブログやSNSのサービスがはじまると、占い師から占いを趣味としている人、占いアフィリエイター各々が占いを書き(もしくはライターに外注し)、ブログやSNSに投稿するようになります。youtubeやTikTokなどの動画配信サービスでは、凝った映像で「見せる占い」を提供するようになります。
占い師としてのスタイルを知ってもらうため、占いの練習のため、投稿を通して集客・収入につなげるためなど投稿目的は人それぞれですが、占い師の増加とともに、「無料占い投稿」を通して自分をアピールする占い師が増えていきました。
ブログやSNSの存在がメジャーになるまでは、メディアに登場する占い師以外の占い師は自分の占いを多くの人に読んでもらう機会が与えられませんでした。最近はメディアに出なくても、ブログやSNSさえあれば、知らない相手に自分の占いを知ってもらえます。人気になればなるほど、多くの人に自分の占いを知ってもらえますし、定期的に占いを見に来てくれるようになります。メディアよりもブログやSNSの拡散力が強くなったためか、近年は「無料占い投稿」を通じてメディアにとりあげられる占い師もいます。
これまで大衆メディアでみていた「無料占い投稿」は、ネットやSNSの普及により、メディアのコンテンツのみならず、占いを扱う個人のコンテンツとして変化してきているのです。
無料占い、情報の種類はいろいろ
「無料占い投稿」には、どんなものがあるのでしょうか。
「無料占い投稿」は、主に
・毎年・毎月・毎週・毎日の運勢記事
・12星座運気ランキング
・◯択(三択だったり五択だったり)カード占い
があります。他にも、
・星の運行(〇〇座入り、順行・逆行など)
・暦
・星座・星の性格や行動あるある
・開運行動
・相学の豆知識(この手相は〇〇〜など)
……などといったものがあります。
内容は簡易的なものもあれば、専門性の高いものもあります。
見せ方も、文章、画像、動画、配信といろんな方法があります。
無料占い投稿のメリット
「無料占い投稿」を公開するメリットは、やっぱり「沢山の人に自分の占いを読んで(見て)もらえる」ところにあるでしょう。今日の運勢やこれからのことについての占い、自分の運気がよくなるような有益な情報や話題に使える情報を無料で受け取れるのですから、投稿を読みにSNSやブログにやってくる人は増えます。
無料占い投稿を行うことで「自分の占いの特色や個性、占い師としてのキャラクターを伝えられ」ます。
言葉遣いや表現力だけでなく、「この結果や象意のどこに着目しているのか」「(配信なら)相手とのコミュニケーションの取り方」などといったところにも、占い師としての個性やキャラクターがあらわれます。動画や配信では、視覚効果や占い道具の見せ方で、自分のカラーを伝えられやすいのではないでしょうか。
「投稿した占いを身に着けやすい」というのも、無料占い投稿のメリットです。なにかを身につけるには、インプット(知識やスキルを入れる)だけではなくアウトプット(入れた知識やスキルを何等かの形にする)も必要です。「本を読んで知識を身につけた(インプット)」を「無料占いとして投稿する(アウトプット)」ことで、座学止まりになりがちな占いを実践的に習得することができます。
投稿を行うことで「占いを言語化する力が鍛えられ、占い情報を相手に正しく、豊かな言葉で伝えることができるようになる」のも、無料占い投稿を行うメリットといえます。
占いを仕事にするには、占いの結果を適切な言語表現で正しく伝えられる力が必要です。極端な例ですが、占いができても「あれが、それな感じになります」では相手に伝わらないですよね……。
「無料占い投稿」は、繰り返し行うことでこれまでにインプットした言葉を引き出せるようになります。言いたいことに合った言葉を探すために辞書を引いたりネットで言葉を調べるきっかけにもなり、新たな言語表現の獲得や言葉の使い方の見直しもできるのです。
(確か、石井ゆかりさんの星読みも、毎日ホロスコープを読み多くの言葉を鍛えるために「筋トレ」と名付けてブログを投稿していたと記憶しています)
無料占い投稿のデメリット
「無料占い投稿」を行うデメリットもあります。
それは「『無料だから占い投稿を読みたい(見たい)のであって、有料までは手は出したくない』ユーザーばかりが集まる」という点です。
私もこれまで無料占い投稿を行っているのですが、経験上「『無料占い投稿』をみて有料鑑定を受けてみたくなった」というお客さんはめったにいません。無料占い投稿を求める人の大半は「無料で受け取れる占い情報」を求めているのであって、有料の占い鑑定を求めていない人が多いのです。
有料鑑定に結びつけようと無料占い投稿を頑張ったのに、なんの反応もなく悲しい思いをした経験をした占い師は多いと思います。
また、「無料占い投稿」を長く続けると、「この占いは無料で読めて(見れて)当たり前」と思い込む人や「無料占い投稿」を催促する人も現れる場合があります。自分の好きなときに好きな内容で投稿をしているのに、受け取り手にケチをつけられることもあります。
「無料占い投稿を楽しみにしている」という「やりがいの搾取」を感じて、もしくは自分の頑張りに無料の価値をつけられたようでやる気をなくして、「無料占い投稿」を辞めたいと思った占い師もいるのではないでしょうか。
「投稿し続けないと、読んでくれる人(見てくれる人)が離れていく」という恐怖と戦い続けないといけないのも、「無料占い投稿」のデメリットでしょう。「無料占い投稿」は、多くの読者やフォロワーを獲得できる可能性のある強い武器にみえますが、どちらかといえば、一度相手に与え始めると止めどころがわからない惚れ薬。やめたいときにやめようと思っても「これをやめてしまったら、相手が離れていなくなりそう」と思ってしまいやめられなくなってしまいます。人を惹き付けたい一心から「無料占い投稿」を始めた人は、この恐怖を振り切ることが出来ず、苦しんでいるかもしれません。
無料占い投稿で、あわよくば得られるもの
無料占い投稿を続けることで、あわよくば得られるものは「SNSやブログ等のフォロワー数、読者数」と「仕事」です。
無料で、よい日々や人生を送るためのアドバイスを手に入れられるのです。無料占い投稿を続ければ、占い投稿をみるために集まってくる人や「いいね数」は増えるでしょう。
「無料占い投稿」の反響が大きいと多くのフォロワー数を獲得できます。フォロワーの数が多ければ多いほどフォロワーとのつながりも生まれやすく、フォロワーを通じて仕事のチャンスも獲得しやすいのです。
(大手のメディアでお仕事をもらっている占い師は、フォロワーの数の多さから出版社等に目をつけられるか、フォロワーとのつながりがきっかけでお仕事をもらえる場合がほとんどです。過去の私は後者です)
無料占いを投稿する上で気をつけておきたいこと
「無料占い投稿」をする上で、以下のことに気をつけておきましょう。
・無料(無料占い投稿)と有料(本来の仕事)の線引きを行っておくこと
無料でできることと有料でできることを曖昧にしていると、有料で行っていることを無料で求められてしまいます。占い師側も、線引きがはっきりしていないと、有料で行いたいことをついつい無料でやってしまいがちです。
「ここまでは無料で提供できる」「ここからは何が何でも有料」という区切りははっきりつけておきましょう。
・「無料占い投稿」よりも自分の本来の仕事の情報を多く発信すること
本来の占い師の仕事は「有料で占いを提供すること」です。
有料鑑定等の本来の占い師の仕事を商品とすれば、「無料占い投稿」は商品の試食のようなもの……と例えるとわかりやすいと思います(他の占い師さんも同じ例えで思っているのではないでしょうか)。試食を多く配ったら、お客さんは試食で満足してしまい商品を買ってくれません。
人が集まりやすいからと「無料占い投稿」に力を入れがちですが、「無料占い投稿」に一生懸命になっていては、商品である有料鑑定の依頼は入りません。「無料占い投稿」以上に本来の仕事の情報を発信して、有料の依頼につなげるようにしましょう。
・「無料占い投稿」をする目的が「自分のため」ではなく「周りに媚びるため」にならないこと
・練習のために始めた文章投稿を集客アピールとしての投稿に変えた
・人間性をみてもらうために無料占い配信を投げ銭での収益につなげるためのお試し占い配信に変えた
……など、「無料占い投稿」を行っている目的が当初のものから変わってしまうことはよくあります。
でもそれが、
・占いの練習のために投稿を始めたのに、たくさんの人がみるようになってしまって、いつのまにかその人達を喜ばせるための投稿になってしまった。
・なにかの役にたったらいいなと思い投稿を始めたのに、見てくれる人が少ないからとウケを狙った投稿をするようになってしまった。
……といった、自分のために行う投稿ではなく、周りのために行う投稿や周りの反応を伺うための投稿(=周りに媚びる投稿)に目的が置き換わってしまわないようにしましょう。
「無料占い投稿」は、相手に占いの情報こそ渡しますが、主導権や所有権はあくまでも自分です。
・無料占い投稿の反応を自分の評価だと勘違いしないこと
「無料占い投稿」で得た相手の反応は、あくまでも「自分が投稿した(もしくは配信した)無料の占いの」反応であって、占い師としての本来の評価ではありません。「無料占い投稿」をすると人が集まりチヤホヤもされやすくなりますが、他人の反応を真に受けないようにしましょう。
(もし「無料占い投稿」によって自分が評価されたいのであれば、「この先生の投稿をお金出してでもみたい!」と相手に思わせるような投稿を続けないといけません。)
・「無料占い投稿」を目的としている人よりも有料鑑定を求めている人を優遇する
当たり前ですが、無料の占いを求める人よりも有料で占い依頼をお願いするお客さんのほうが大事です。有料のお客さんの対応で忙しいときは、「無料占い投稿」は後回しでもかまいません。事情を言っても「『無料占い投稿』をして」と文句を言う人ははっきり言って大事にしなくていいです。
「無料占い投稿」を途切れさせたくない場合は、どこかで埋め合わせをする等をして対応しましょう。事前に投稿スケジュールをたてておいたり、予約投稿を利用するのも手です。
無料占い投稿は根気がいる。なんとか継続するためには
「無料占い投稿」はまるでマラソン
過去の占いライティング(無料で読める占い記事を週に1〜3本ほど書いてました)の経験や現在「無料占い投稿」を行っている経験から言わせていただくと、「無料占い投稿」はマラソンをするようなものです。
やりはじめは体力もあり、楽しくて仕方がないのですが、次第に言葉が出てこなくて行き詰まったり途中でやめたくなったりと、しんどくなってきます。
「無料占い投稿」は気力・体力・忍耐力・持続力が必要です。
もし「無料占い投稿」を始めたいのであれば、自分のペースに合った投稿スケジュールを組みましょう。「月に一回のブログ投稿は面倒だけど、半年ごとの無料占い記事なら書けそうだからチャレンジしてみる」みたいな感じです。
「面倒くさくていつも投稿をサボっているけれど、投稿頻度を増やせば投稿の癖がついて習慣化できるはず!」と思う人もいるかもしれませんが、それは人によります。やってみないとわかりません。
ただ先ほども言ったように、「無料占い投稿」はマラソンのようなものなので、気力・体力・忍耐力・持続力がなければすぐに投稿がストップしてしまいます。「やらないと!」と自分を追い詰めすぎて、投稿が怖くなったり逃げたりする人もいます。人によっては、投稿すること自体に飽きを感じてしまいます。
「無料占い投稿」は、自分に無理のないやり方を見つけてから始めるようにしたほうがいいでしょう。
予約投稿やメモアプリ、スケジュールアプリを利用する
「無料占い投稿」を毎日・毎週・毎月……と、欠かさず投稿するために、ブログやSNSの予約投稿機能やメモアプリ、スケジュールアプリを利用するのもおすすめです。時間があるときに記事を書き溜めておいたり、画像や動画を作っておき、アプリに保存しておきます。前もって内容を作っておけば、余裕を持って記事や画像、動画を投稿できます。リマインダー(時間になったら通知してくれる機能。アラームもつけられる)を使用すれば投稿漏れもなくせます。
(ちなみに私はNotionで管理しています)
こういったツールを使うと、投稿がとても楽になります。
「無料占い投稿」自体が自分に合っていないようなら、それもそれで大丈夫。お客さんの目に届くように仕事の情報発信をしていたりイベント等で顔出しをしていれば「無料占い投稿」がなくても認知されますし、有料の依頼はきます。
「無料占い投稿」は見ているほうは楽しいのですが、投稿する側は大変です。「占う→結果をみる→文章化する・画像や動画の製作をする・配信や動画で喋り言葉にする」と、相手の見えないところで頑張っています。
その頑張りが有料のお仕事に繋がったら嬉しいのですが……。
くれぐれも「無料占い投稿」が自分のお仕事、にならないようにしたいですよね。