最近読んだ恋愛本とその実践、最近のできごと

先日、林伸次さんがマガジンの中で触れられていたのが気になって、久しぶりに恋愛マニュアル本を読んだ。
下田美咲さんの『新型ぶりっ子のススメ』。

この本、とても面白い。
下田さんの文章は以前cakesで結構読んでいたのだけど、書籍ではさらに実践的に、再現性高くまとめられている。
林伸次さんが「男性側からすると、ほんとその通り」と何度も太鼓判を押されていたから余計にそう感じるのかもしれないが、なるほど!と思わせる説得力がすごい。

私が特に腹オチした(そしてこの本の肝だと思う)のは、この部分。

人が人を好きになるキッカケの半数は「好かれている」という意識です。人は、かなりの高確率で、「自分のことを好きな人」のことを好きになります。 
つまり「好き」はバラしてナンボであり、むしろ「好き」をどれだけ知らせることができるかが、恋愛成就の鍵となります。 
相手に勝ちたがることをやめて、「好き」をだし惜しみせず伝えるようにするだけで、恋は100倍叶いやすくなるのです。

つまりは、相手にちゃんと「好き」を伝えることが重要、ということ。
ただしいきなり告白するのではなく、軽い感じで日常会話に織り交ぜながら何度も伝えるべき!と書かれている。

詳しく知りたい方はぜひ本を読んでいただきたいのだが、このくだりを読んで、大いに反省させられた。
私はそもそも無駄にプライドが高いタイプで、特に恋愛(というか異性)に関しては「相手に弱みを見せてはいけない」「無闇矢鱈にかわい子ぶってはいけない」という無意識の意識がベースにあった。
しかし北川景子ならともかく、私のような普通の女が男性から好かれるには、やはり「かわいげ」が必要なのである。当然である。
「かわいげ」について、下田さんは以下のように定義している。

①俺にほほえんでくれる女はかわいい
②俺の話に笑ってくれる女はかわいい
③自信満々ではなくて、イジれるところがある女はかわいい
④してあげたことに対して、まんまと喜んで幸せになってくれる女はかわいい
⑤俺でもどうにかなる範囲内の手間ひまがかかる女はかわいい
⑥「私はあなたにかわいい女だと思われたい」という素直さがある女はかわいい
⑦一見ワガママ風なんだけど根が優しい女はかわいい

…自分が男性だと仮定したら、そりゃそうだよな、こういう子がかわいいよな、と納得することばかり。
でもなぜか、女性として男性の前に出るとこれができなかったりするのだ。40年近くプライドを積み上げてきてしまった女が「かわいげ」を出すのはなかなかに難しい。

とはいえ、せっかく読んだので実践してみようと思い、最近Bさんと会うときにはなるべく「かわいげ」を意識している。
下田さんは台詞レベルで【ドリカム度数を上げる】=「嬉しい!楽しい!大好き!」を言いまくる、ことも提案しているが、それだと私にはややハードルが高いため、まずは無理せず「好きだと思ったらそれを隠さない」「良いと思ったことはストレートにほめる」ことだけを目標にした。

戦略的に言動を変えるというのは負荷がかかることのように思われるかもしれないが、意外にも、これを実践したことで私自身はむしろ楽になった。

おそらく、「自分の好意が相手の好意を上回ることを恐れない」ようになったからだと思う。
世間ではよく「女性は追いかけられるほうが幸せ」とか「力関係が女性>男性のほうがうまくいく」みたいに言われている。
それもきっと真実だと思うのだけど、その言葉に縛られすぎて、自分が相手を好きだと思ってもあまり素直に表現できていなかったのかもしれない。好意を伝えてしまうと「追いかけられる女性」像からどんどんかけ離れていくような気がして。「重い、うざい、キモい」と思われるのが怖くて。
下田さんが書いているように「キモくてあたりまえ」と思えたことで、そのへんの固定観念から解放されて、すごく楽になったのだと思う。

まだ実践してほんの数日なので成果と呼べる成果はないけれど、いまのところ、私が多少キモくなってもBさんとの関係は悪化していない。

先日の記事で書いたように最近のBさんはダイエットをやや放棄気味で、このところ2〜3日に1度のペースで飲みに行っている。(太るわ)
酔っ払った私たちが最近よくやるのは、「スマホのカメラロールで、お互い痩せてたころの写真を見せ合う」というしょうもない遊びである。ほかに家族やペットの写真を見せたりもする。
Bさんのお気に入りは私の結婚式の写真。
少し前にいきなり、「結婚式の写真見せてや」と言われた。見せると
「おまえ、これ…めちゃくちゃ可愛いやないか!」
とものすごく褒められ、その数日後にも
「ちょっとあれもう一回見せて」
と所望された。「他人の結婚式の写真なんかどうとも思ったことないけど、これは見てられるわ」と延々眺めていた。変な趣味だ。
(ちなみに当然元夫も視界に入ってくるわけだが、「俺のほうが男前やな」と一蹴していた。ポジティブ!)

それはまあいいのだが、そういう遊びをしていると必然的に、次は相手にどの写真を見せようかと過去のカメラロールを遡ることになる。
で、遡っているうちに、LINEの画面を見つけた。
スクショではない。元夫の、女の子とのLINE画面を私のスマホで撮ったものだ。
元夫と離婚したきっかけは向こうの不倫だが、直接の理由となった不倫の前にも、ちょくちょく浮気疑惑があった。このLINEは、いま思えば遊びだと思うのだが、かなり初期のものだったので見つけたときにはショックで吐きそうになったのを憶えている。

すっかり忘れていたそれを、思いがけず数年後に、遠い町の居酒屋で見つけてしまった。
普段なら別にもうなんとも思わないのだが、だいぶ酔っていたせいか、それまでにも結婚式だの新婚旅行だの思い出の写真を目にしていたせいか、なんだかそのときの辛い記憶がフラッシュバックした。
もちろんそんなことはBさんには言わないし、写真も見せていない。ただ、気持ちが落ちるのをどうしようもなく、そこから私は理由も言わないまま泣き出すのを堪えている変な奴になってしまった。

たぶんBさんも酔っていたからだろう。私の唐突な落ち込みぶりを、自分が何か良くないことをしたせいだと解釈したらしい。
帰り道、
「そういえばクリスマスに買ってあげるって言ってたマドラー、買いに行かなあかんな。どこに売ってるんやったっけ?駅のとこやんな?今度いこな。なっ!」
と、見たことがないような機嫌の取り方をしてきた。
そのときも私の落ち込みは続いており「うん」という生返事しかできなかったのだが、いま考えると、あんなにBさんが私のご機嫌取りをしてくれるなんて珍しすぎてちょっと面白い。
家に着いてからあらためて「さっきなんで泣いてたん?」と訊かれたが、「え?泣いてないで」ととぼけてやり過ごした。

いつものように、狭いベッドでくっついて寝る。
明け方、お互いに目が覚めてしまいなんとなく朦朧としているタイミングで、私からキスをした。
いつもならそれで終わるけど、
「たまにはBくんからチューしてくれてもいいんやで」
と言ってみた。
意識のどこかにまだ「かわいげ」が刷り込まれていたのかもしれない。
やだ、と断られるかなと思ったら
「え、俺してなかったっけ」
と言いながらキスしてくれた。
言ってみるもんだな、と、下田さんに感謝しながら二度寝した。


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