アマチュアと麻雀界のこと
zeRoさんとゆうせ-さんという方がいる。
少なくとも天鳳をある程度プレイしている方にとっては、超がつくほどの有名人だ。このお二人を知らない方はほぼいないだろう。お二人とも最高段位の十段(その上が天鳳位)に複数回到達しており、その実力は誰もが認めるところだ。
活躍はそれだけに留まらず、麻雀戦術本の出版にはじまり、配信や雑誌等様々な媒体でもお見かけする。
zeRoさんのプロフィールには次のように書かれている。
「麻雀&天鳳に全てを賭けている男」
最初目にした時少し大げさだな。。と思った。全てを賭けるとかそんな簡単なことではない。
zeRoさんは通称「ゼロマガ」と呼ばれる月額制の購読マガジンを刊行している。その概要にはこのように書かれていた。
「月に40本近く麻雀戦術中心のコラムを書いていきます。」
目にした時、余りにもビックリして誤植かと思った。
zeRoさんはMリーグの観戦記コラムも書いている。
毎回非常に面白かった。Mリーグを見ていなくても、読むだけで試合の状況や選手の心情がスッと入ってくる。恐らく読みやすさにも非常に気を遣っているのだろう。読後感もよい。
才能だけでここまで書けるとは思えない。
麻雀だけでなく文章を書くことについても努力されているんだと思う。
現在は月に40本書くと記事の多さに読者が追いつかないということで、1日1記事にしているらしい。ただそれでも十分に凄いことだ。
1つの記事も4000字程度と中々のボリュームになっており、既にそれを100日以上書き続けている。
自分もnoteを書いてみて分かったのだが、モノを書く作業は結構時間がかかる。自分と比較するのも何だが、自分は1つの記事(2500字程度)を書くだけでも4時間近くかかる。zeRoさんはコラムのクオリティーを保ちつつ、毎日4000字相当の文章を書き続けている。
しかも執筆と並行して、購入者の牌譜検討(初回無料)もこなしている。ご自身も真剣に天鳳に取り組んでおり、打ち手としての研鑽も積んでいる。
並大抵な覚悟と熱意がないとここまで出来るものではない。
「麻雀&天鳳に全てを賭けている男」
。。。全然大げさじゃなかったな、と思い直した。本物だと思った。
「ご報告」
7月半ば、ツイッターにこのタイトルのnote記事が流れてきた。
投稿主はゆうせ-さんだった。
芸能人や女流麻雀プロの方がこのタイトルで投稿される記事は、結婚・出産に関する内容のモノが多い。
知り合いの記事ならまだしも、この手のツイートに自分は余り興味がない。普段は読まずに流しているのだが、今回は自分と同じ天鳳民であるゆうせ-さんということで読んでみた。
そこに書かれていた内容は想像とは全く異なるものだった。
「本格的に麻雀youtuberとして活躍したいのと、ネット麻雀を打つ時間を作るために仕事をやめます」
大筋でこのような内容だった。
ゆうせ-さんは10年近くニコ生で牌譜検討放送を行っている。
(現在はyoutubeに移行している)
この放送は週に1回行われ、依頼してきた方の牌譜をリスナーを交えて検討する。という内容になっている。
毎回無料で、それでいて2時間以上もかけてじっくり検討している。
いつかの放送を見ていた時に、「この検討放送は自分の雀力向上にも繋がるし、ある種ライフワークのようなもの」ということを仰っていた。
なるほど、と思った。確かに自分のためという要素なしでここまで続けるられるものではない。
しかしそれでも、である。
配信には色々と苦労も多いだろう。自分のためという要素があっても、みんなの為に貴重な時間を費やし、長年に亘り無償で提供し続けるのは並大抵のことではない。この番組を通じて皆と一緒に強くなろうともしている。
それだけでなく、今度は仕事を辞めてまで麻雀に真剣に取り組む。とのことだ。
もう本当に凄いなと思った。お二人とも素晴らしいなと思った。
何が凄くて素晴らしいのかと言うと、お二人ともアマチュアでこれだけのことをやっている。ということだ。
プロの方で、ここまでの熱意をもって麻雀に取り組んでいる方がどれだけいるだろうか。
いや、たくさんいるのだとは思う。
ただ少なくともこの2人の熱意は、プロの方と比べても全く遜色ないのではないだろうか。
世の中には凄い方がたくさんいる。
この2人だけにとどまらず、他のアマチュアの方でも相当の熱意を持って取り組んでいる方はたくさんいるのだ。
自分が昨年参加した最強戦のことを鑑みても、自分が知っているアマチュアの方は、みな熱意を持って取り組んでいた。
何かしらの事情を抱えながらも、並々ならぬ決意で挑んでいた。
表だって活動するかしないかだけの違いで、麻雀に熱意を持って取り組むことについては、プロとアマに違いはないのだと思う。
みな本当に麻雀が好きなだけなのだ。
最近は麻雀関連のyoutuberやVtuberがたくさん活躍している。
プロにはプロのメリットがある。プロでなければ出来ないこともあるだろう。
ただ今は、プロ団体に属さなくてもセルフプロデュース次第で活躍できる場所がたくさんある。アマチュアでも頑張ることが出来る舞台は増えている。
自分はこのようなアマチュアの方たちと比べると全く何もしていない。
今年は店舗予選にすら参加できていない。
実力がないだけのこともあるが、配信などの表立った活動をする訳でもなく、ただただ毎日ネット麻雀に明け暮れているだけだ。
ただ、それでも。
こうしてnoteを書いて伝えることはできるのかな。と思った。
アマチュアでも凄い方はたくさんいるんだよ、と言うことを。
1人の麻雀ファンとして、麻雀界を盛り上げていく一助にはなれるのかな。なりたいな。とも思った。
配信番組が増え、麻雀界も大分変わってきたように感じる。
もう難解な記号が飛び交う紙媒体の牌譜でしかプロの一打を追えなかった時代ではない。
Mリーグも始まり、一部のプロは年俸(契約金)をもらえる時代になった。
麻雀を打つ女性も増え、自分が麻雀を覚えた昭和時代とは比べものにならないくらい麻雀界は発展した。
それでもまだまだ全然足りないとも思う。これからなんだとも思う。
まだまだプロがプロというだけで食べていける訳ではない。
中学1年から近代麻雀を読んでいた。
遠巻きからだが昔からずっとプロの世界を眺めていた。
当時の麻雀界の現状に夢を砕かれ挫折した方をたくさん見てきた。
もっともっと良くなって欲しいし、これからの世界なんだと思っている。
ロッキー堀江さんが生きていたら、今の麻雀界のことをどう思うのかな。と考える時がある。
麻雀は賭けることが当たり前。ノーレート雀荘など世にほとんど無かった時代から、ノーレート麻雀の普及に尽力されてきた方だ。
たまに誤解されていたが、賭け麻雀を否定している訳ではなかった。
ノーレートでも麻雀は面白いんだよ、ということを常日頃仰っていた。
一発も赤も裏もカンドラもなくても、ノーレートでも麻雀は十分面白いんだよ、ということを自分に教えてくれた方だ。
もう今となってはお話することができないが、いつか自分もそっちに行ってしまった時は、朝イチの誰もいない店内で2人で話していた麻雀界の話をまたできたらな。と思う。
その時に色んな話ができるためにも、自分も麻雀を続けていこう。
1人の麻雀ファンとして、ロッキーさんが生前願っていた競技麻雀とノーレートの世界を盛り上げていくためにも。
そのお気持ちだけで充分です。読んで頂きありがとうございました。