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我が子が保育者を目指したら②~衝撃のオープンキャンパス

中三の時からどうやらうっすらと「保育士を目指す」と決めていた長女ですが、エレクトーンを習っていた時から、練習嫌い、発表会だけ頑張る、おまけにどんどんやる気がなくなって中一でやめてしまった、という過去がありました。
 当時の彼女は、座学大嫌い、お勉強嫌いの自己肯定感が大変低い子だったという前提をふまえて。

  すったもんだして決まった進学先の某私立女子高は系列・付属の大学や短大がない高校でした。そのためか、一年生から提携している大学の説明会がありました。提携している大学には保育系の学部もあり、大学の先生の

「ピアノは未経験でも、入学してから頑張ればなんとかなりますよ」

という話を本人は鵜呑みにしていたようです。
 そんな訳あるかいな、エレクトーンの発表会前に泣いて練習して、先生にも怒涛の追加レッスンをしてもらったのを忘れたのかと、母は思っていました。

説明会に参加した母(私)は、

「音大でも週1回しかレッスンがないのに、練習習慣がついていないピアノ未経験の子が短大2年で弾けるようになるって、すごいレッスンをしてるのかな」

なんて思ったのです。音楽専門の母である私ですらそう思うのですから、きっと音楽に詳しくない保護者の方はもっとのんびりだったに違いありません。

しかし、知人の元保育士の方などから

「さきこさん、(長女)ちゃんピアノやってなくて大丈夫?短大は忙しいよ」

と言われ、さすがに心配になりました。

 高校2年の時に訪れた、長女が志望していたとある短大のオープンキャンパスでの出来事。
 学長先生の挨拶の際、開口一番

「うちは、ピアノについてはどこよりも厳しいです」

とおっしゃったのです。

 私と同じように付き添いに来ていた保護者の方がざわめきました。ほかの学校では「大丈夫ですよ」「丁寧に教えます」という話ばかり聞いてきたからでしょう。

その短大は、入試に実技試験こそないものの、「バイエル終了」が、入試に有利に働く学校でもありました。そして。

 1年生の進学説明会で話を聞いた保育系の学部を持つ大学や短大と違い、この短大の学生の目標はなんと


「チェルニー100番の前半」

だったのです。私自身はチェルニー100番という教材をやった経験がなかったので、内容が気になってあとで楽譜を見に行ってきて驚きました。

「入学してから始めたんじゃ、無理じゃん!!」

 そして更に驚いたのは?

どこの大学・短大でも、オープンキャンパスでカリキュラムの話があったり、学校案内パンフレットに学生の時間割例が書いてあるんですが。

音楽の時間、週1日で実技レッスンは10分、一斉授業で45分?!

 この厳しい短大の先生方がいかに良心的か、ということに気づきました。
ほかの「大丈夫です」「うちは四年間ありますから」なんて言っている学校の言うとおりにしていたら、多分うまくいかないだろう。

 本人が暗澹たる気持ちになったのは、言うまでもありません。オープンキャンパスの帰り道、顔に縦線が入っていて(ちびまる子ちゃんの愕然としたときのように)表情が暗かったのです。

長女がピアノを始めたのは、それから間もなくのことでした。

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