馬乳のチーズ
昨日に引き続き、馴染みのない乳チーズについて。
ブタさんのミルクから造られる豚乳チーズは「ない」ですね。
それは、搾乳量がものすごーく、少ないから、でした。
じゃあ、馬乳チーズはあるのか。
…これは、めんどくさいオジサンからの質問ではありません(苦笑)。
象と違って、お馬さんも飼育されてます(笑)
だったら、あっても良さそう…ですが、
答え→ありません
馬乳チーズがないのは、豚乳チーズがない理由とは若干違って、成分の問題なんです。
馬乳は、たんぱく質、脂質が少ないので、チーズ造りには不向き。
100gのチーズを造るのに、牛や羊や山羊のミルクよりも多くのミルクが必要、つまり、
効率が悪い
のです。
そもそも「チーズ」とは、
ミルクを固めて水分を抜いたもの、ですね。
(詳しくはこちらを!)
ミルクの成分で固まるのは「固形分」と呼ばれる成分。
固形分とは、たんぱく質や脂質、ミネラルなど。
日本で飼育されている牛の最も多い品種、ホルスタインの乳でも約9割が水分!
馬乳は、ざっくりホルスタインの半分くらいしか固形分がないのです。
チーズ造ろうと思ったら、効率悪いでしょ。
だから、馬乳チーズはないんです。
でも馬乳は、ほかの動物に比べて
糖質が多い!
だから馬乳は、アルコール発酵には向いてるの。
あ、「だから」の意味がわかんないって?
アルコールは、糖質が酵母によって分解されてできる物質。
ワインはブドウの糖分からできるし、ラムはサトウキビの糖分からできる。
日本酒やビールやウイスキーの原料は、米や麦といった穀物だから、一回穀物たんぱく質を分解して糖化してから、この糖分をアルコールに分解する。
モンゴルやカザフスタン辺りでは、この馬乳から造られる「アイラグ」「クミス」といったお酒が造られ、嗜まれているみたいです。
まぁでも、ブドウやサトウキビに比べると少ない糖分なので、アルコール度数は低くて、子どもでも飲めちゃうみたいですけどね。
海に囲まれた日本では、
もともと「肉」より「魚」を食べる食文化があったように、
チーズもお酒も、
その地域の気候風土と、そこに住む人間がどのように生活しているかによって異なる食文化が醸成されるのが、なかなか面白い。
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