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家の中から世界を前に進める 2020.3.27

今日も1日在宅勤務。3月は多分4日くらいしか出社しなかった。その数日の出社は新メンバーのOJTのために行っていたのだけど、それも今後はリモートで実施ということになった。

前職時代からずっと、ビデオ会議にはGoogle Meetsしか使ったことがなかったのだが、最近ついにZoomに乗り換えた。画面共有が綺麗で見やすいこととか、画面共有している側もちゃんと参加者の顔が見えるとか、マイクOffにしていてもリアクションで反応ができるとか、バーチャル背景を使って自宅が雑然としていても気にせずに繋げるとか、細かいところでよくできたサービスだなと思う。

さすがに初期の段階は横に並んで説明しないと仕事を教えられないのではと思っていたけど、ここまでシームレスにオンラインで会話ができると、あとは慣れの問題だけで作業自体はまったく支障はなさそうだ。テクノロジーの導入にはそこそこ意識が高い方だと思っていたのに、まだまだ固定観念が強かったなあと思う。

初めてしまえばとてもスムーズだったものの、Zoomを使い始めるにあたっては全員会社アカウントでのログインが必要で、そのための準備をメンバーがまったくしてきていなかったので、最初の設定をあれこれするのにだいぶ時間がかかってしまった。

人は基本的に#generalに投稿された全体向けアナウンスをちゃんと読まないし、やっておいてと言われたことも目の前で催促されないとやれないし、招待メールは行方不明になっちゃうし、キャッシュが溜まって動かなくなったPCをどうにもできないし、付箋にパスワードを書いて画面に貼ってしまう。どんなに技術が進化しても結局そんなもんだ。それをちゃんと普通に使えるようにするには、どうしたって丁寧なコミュニケーションと、手間暇かけて新しいものに慣れる練習が必要だ。いまはそのための期間だと思って粛々とPCのスクショの取り方を説明したりしている。(これまではずっとスマホで画面の写真を撮っていたらしい……。)

まあそういうわたしだって、つい4年前にIT企業に入るまでは、Macを触ったこともなかったしcommand + c のショートカットすら知らなかった。アルバイトでの入社から数ヶ月経って、これじゃあぜんぜん仕事にならないと気づいて、丸一日かけてあらゆるキーボードショートカットを覚えたり便利ツールをインストールしたりして、必要に駆られてひとつひとつ覚えたのだ。

目視で大量の情報をチェックして手作業で仕分けるのが果てしなすぎてSQLを書くようになったし、最低限のシステムの挙動の知識も障害や不具合に遭遇するたびに調べて聞いて勉強して、そうやってひとつずつできるようにしていった。やればやるほど何もわかっていないことが突きつけられて、まだまだ不十分だけど、それでも、ここまで過ごした環境に確実に育てられてきたんだなあと最近よく思う。

いま一緒に働いているメンバーは、40歳前後のアルバイトの人たちで、いわゆる「主婦」の方々だ。たいていは長く非正規で働いていたりブランクがあったり、子育て中や出産を控えた人もいる。扶養の範囲内で限定的に働きたい、という方も多い。もちろん、働き方の選択は個人の生き方に合わせればいいし、全員ががむしゃらに働いた方がいいとまでは思ってはいない。

だけどそれでも、できればここにいる人たちにも、何かしらできなかったことができるようになったり、工夫をして業務を少し良くすることができたり、スキルを身につけて評価されて収入が上がったり、そういうちょっとした進歩する楽しさを体感できるようになってもらえたらいいな、とずっと考えている。

キャリアの途中で仕事を休んでいたって、家庭の事情があったって、時間が限られていたって、これまで未経験だからって、それは何かに熟練するのを目指さない理由にはならない。今日までできなかったことが、これからもできないわけじゃない。みんな学んでいくし、成長していく。「何歳までにこれができていないともうダメ」みたいな考え方をする人もいるのは知っているけれど、わたしは人の可能性をそんなふうに勝手に諦めて見切りをつけるのはとても失礼だと思う。

そういう考え方によってこれまで潰されてきた、出産後の女性や、就職がうまくいかなかった若者や、歳を取ってから新しいことをやってみたい人や、そういう人たちの仕事や人生を、できるだけ救い上げて前に進めるようなことをしていきたいと思っている。

在宅ワークが急激に普及したみたいに、こうやって危機に陥るたびに必要に駆られて、環境によって人間は進化していくんだと思う。

目の前のチームの仕事から、自宅のパソコンから、世の中を前に進めることはできるはずだ。だからまずはこの画面の向こうの人たちに、新しい環境を使いこなしてもらえるように頑張っていこう。

たのしいものを作ります