コーヒーなんて飲めないけど、

女の子はスタバが好きだって聞いた。
だから、スタバって単語を出せば、
興味を持ってくれると思ったんだ。

「あの、さっ、スタバ行かない…?」
ほら、これならきっと
君もオッケーしてくれるよね。
だって、スタバだよ!

「えっ、私コーヒー飲めないよ?」

あれ…?
予想外の反応で僕は
どうしたらいいか困ってしまった。
スタバってコーヒー以外のものなかったっけ。
フラペなんちゃらとか。

「フラペなんちゃらとかは興味ない…?」
恐る恐る聞いてみた。
「フラペチーノも興味無いよ。
抹茶も嫌いだから
抹茶フラペチーノの飲めないし」

終わった。
スタバって言えば
興味を持ってくれると思った僕が間違いだった。
彼女の横で凹んでいたら、
「ごめんね、せっかく誘ってくれたのに」
って眉を下げて困った顔をする。
そんな顔が見たかったわけじゃないんだ。

「あの、違うんだ。
別にスタバに行きたかった訳じゃなくて、その…」
彼女は明らかに不思議そうな顔をしている。
そうだよね、
さっきはスタバに行こうって誘ったのにね。
「君ともう少しだけ話をしたかったんだ。
そう、あの、えっと」
もごもごと焦る僕を見て、
ふふって柔らかく笑う彼女。
そう、その笑顔が見たかったんだ。

「行こっか、スタバ」
彼女が微笑みながら僕に言う。
「う、うん!」
僕もコーヒー飲めないけど、
彼女の前ではかっこつけて飲んでみようかな。

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