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Adobe Illustratorで風景をかく~遠近法は都合よくつかえ!~

今回は風景の描き方についてです。人物を描くのは好きだけど、風景は苦手という話をよく聞きます。

必ずしも3次元のように描くことが正解ではないし、それで絵の良し悪しは決まらない。

遠近法も道具の一つと考え、目的に合わせてつかっていきましょう。
技法にとらわれると楽しくなっちゃうからね〜。

空間把握能力が弱く、覚えの悪い私がつまづいた点、工夫している点も書いています。みたまま描くことになんの疑問もないという人にはなんのこっちゃかもしれない…。

いろんな技法を組み合わせて、現実にはないけど二次元だから成立しちゃってるっていう絵も面白いと思う

ーというわけで、必ずしも正確な描き方ではありませんが気軽に読んでみてね〜

※例のごとく今回もあくまで、私のやり方です。
※作業環境はmac14.5、Illustrator 2024 バージョン28.0


◎厚みを全カット、真正面からみた視点で描く

現実には上のイラストのような見え方はしません。

どういうことかと言うと、下記のように赤い点線を視点(目の高さ、アイレベルともいう)とした場合↓

本来はみえるはずの上面、側面、底面をカットして正面のみを描いています。

必要最小限の情報でかたちを構成しているのでイラストというよりアイコンに近いかも。

同じように今度は真横からの視点で乗り物を描いて↓

最初の橋と合わせると違和感なく絵として成立します↓

ポイントは一方向からのみの視点で描き奥行きをカットすること。

さらに背景に空を入れて雲と鳥を加えるとこんな感じ↓

でもこれ、イラストひとつひとつの主張が激しい。そのせいか、ごちゃごちゃしてみえるし圧迫感がある。
そんな時は空気遠近法をつかってみましょう。

空気遠近法をつかう

簡単にいうと遠くにいくほどうすぼんやりと近いほどくっきり濃くみえるというアレです。
そこをふまえて色を調整すると…

どうでしょう?最初の絵と比べて、イラストの前後に空間ができ圧迫感が解消したようにみえませんか?

このようになんか違和感あるなぁという時にはいろんな技法を組み合わせると解消できるかも。

◎アイレベルってなんやねん


教本にもよく出てくるアイレベル(目の高さ)という言葉ですが、いったい誰の目の高さ???と覚えの悪い私は思ったものです…。

アイレベルは絵の中に出てくる人物の目の高さではない。

例えば上記の絵、収束線(緑色の線)をたどってアイレベルはわかったけれど、これって誰の目の高さ??座ってる人でもないし、右下の犬でもないし、窓外の雪だるまでもない…。正解はこのシーンを見ている人の目の高さなんだけれど、教本を片手に絵を描きはじめたばかりだと混乱する人もいるのではないでしょうか。

そんな時はそのシーンを撮影するカメラの高さと考えるとわかりやすいと思う。

あ〜この高さで撮ってるのね〜〜〜とわかりやすいし、自分が描く時にもどの高さで撮ろう(描こう)かなぁと外側からシーンをイメージしやすい。

(注:上記のアイレベルの解説に使った絵はPhotoshopで制作しています。)

◎一点透視図法をつかう

次は一点透視図法つかった描き方です。

特徴のある建物のイラスト

一点透視図法は主に屋内を描く時に使われますが、今回は建物の特徴をおさえつつなるだけ少ない要素で簡単に描きたい…。この場合、細かい描写は必要ないので一方向からの厚み(奥行き)の表現で十分かも…ということで一点透視図法で描いてみることにしました。作業的に片面だけパースをとればいいので楽というのもあります。

⚫︎工程1
まずは長方形ツールでかたちをとっていきます。ざっと四角で描いて、面ごとに色を変えるとわかりやすい。オレンジと赤を建物、緑は地面で色分けしました。

建物のシルエット

パースのとり方

さて、パースのとり方ですがここで便利なのがペンツール。

①消失点を中心にVの字になるようペンツールで3つ点を打って線をひきます。

②ひいた線の先(アンカーポイント)をダイレクト選択ツール(白い矢印)で動かして各建物のパースをとっていきます。

(小さいですが下のGIFをご覧ください〜↓)

ペンツールをつかったパースのとり方

ペンツール動かしやすくてめっちゃ便利なんですが、これ全くの自己流なので変なやり方かもしれない…。

⚫︎工程2
次は建物の細かい部分を描き込んでいきます。長方形ツールで正面と側面からなる二面の立方体をつくり、側面のパースを合わせていきます。(厳密には底面もあるけど、今回の絵の場合そこは隠れちゃうので描かなくてOK。)

長方形ツールで描いた建物

⚫︎工程3
ペンツールの収束線を動かしてパースをとりながら、各建物、窓を描き込んでいきます。

建物の窓を描きこむ

遠近法的には奥にいく(消失点に近づく)につれて、窓の柵の幅はせまくなりますが柵同士が近いとごちゃごちゃしてみえるので同じ間隔で描いています。また、建物全体のかたちをなるだけたくさんみせたいので階下の部分は実際のパースより幅を広くして描いています。

窓枠のパースについて

ポイントはパースは絶対ではないということ。都合のいいように変えてしまおう。

上記と同様の方法で描いた別の建物↓

こちらは草が絡まっていますが、基本的には上の建物と同じ。構造物を描いた上に草をのせています。草は下のような描き方をしてつくりました。

イラレを使った草の描き方

ブラシについては過去記事の「◎ブラシをつかう」の章をみてみてね〜

補足
イラレには遠近グリッドという機能もありますが、使い勝手がいまいちなので私は使用していません。もしかしたらそちらの方が合う方もいるかもしれないのでやりやすい方でお試しください!


長くなってしまったので、今回はここまで。
お読みいただきありがとうございました!

次回は二点透視図法、アイソメについて描く予定です。

◯おすすめ参考本


スペース・ドローイング入門

背景、パースについていろんな本を読みましたが、この本が一番わかりやすかった。なにより自分にも描けるのではと思わせてくれるところがいい。
空間把握が苦手な私でも理解できたし、解説につかわれている著者の絵がとても魅力的で読んでいてわくわくします。

◯今回参考につかったイラストについて


数は少ないですが、ニッチな分野のイラストをAdobeストックにあげています。

コロナ禍で時間のある時につくったもので、ニッチすぎて需要ないかなと思いきや月に数点はダウンロードされているようです。ローカル観光地イラストは狙い目かもしれない。
ただ、今後こういうイラストはAIにとってかわられそうだなぁ。

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