見出し画像

【フリゲ感想】最近の日常的不可思議 Monday Loop

この記事の文字数は約4,700字です!

おはこんにちばんは! 富井サカナです。
今回も溜めに溜めてのフィナーレ直前になっての応援感想記事です!
未プレイの方はとってもおススメですよ~!

1.どんなゲーム?

今回紹介したいのは、Plastic Tekkamakiさんの「最近の日常的不可思議 Monday Loop」です!!

【制作】Plastic Tekkamaki 様
【制作ツール】ティラノスクリプト
【プレイ時間】約2~3時間
【ジャンル】音楽つきノベル
【KW】lo-fi、Hiphop、ループもの、選択肢なし、ジュブナイル、日常
【筆者プレイ時期】2022年11月、2023年3月にプレイ
【筆者プレイ状況】クリア(×2)
【あらすじ】
フリーライターっぽい女が“何回も何回も同じ一日をループしている”と言い張る高校生たちに巻き込まれて、張り切ったり傍観したりする話。

【一言でいえばどんなゲーム?】
シナリオもビジュアルも良くBGMの数々が耳に心地良すぎるゲーム

本作のサウンドトラックが上記より聴けます!
上はbandcamp、下はSpotify



2.こんな方に特におススメ!

・音楽好きな人
全曲作者さんによる自作曲となります。音質や音そのものにもこだわった音楽単体で聴いても非常に心地良い曲ばかりですし、曲数が多いので耳の満足度が素晴らしく高いです。ちゃんとしたスピーカーもしくはヘッドホンかイヤホンを装着してのプレイがおススメです。やっすいイヤホンしか持ってないのが惜しくなる曲の数々でした。

・サブカル好きな人
本作は多少の主人公の地の文を除き、全編を通じてキャラクターたちの会話による掛け合いによりストーリーが進行していきます。この会話の内容がなんともセンスに溢れていて、エンタメの王道よりちょっと通好みの作品を好むような人には特にたまらないように思いました。登場人物が好きなものについて語り出す時の感じはたまらないです。

・タイムループモノが好きな人
サブタイトルにもある通り本作は月曜日が繰り返される作品となっています。同じ日を繰り返して翌日に進むことができなくなってしまった登場人物たちの感情の機微が解像度高く描かれており、こういった作品群が好みの人は特に楽しめると感じました。


ちなみにネット検索したら以下のレビュー・感想記事が見つかりました。
私は単純に面白かったところを書き記すだけの感想なのですが、どちらの記事も非常に解像度の高いレビュー・感想となっておりますのでとてもおススメです。正直、これらの記事に目を通して頂いてからプレイするorプレイしてからこれらの記事を読む、で十分です。
(実は本記事の公開が後回しになった理由でもあります)



3.ネタバレなしの感想

ここではネタバレなしの感想を記載します。
ノベコレでの私の感想+補足という形にします。

👇こちらはノベコレでの私の感想へのリンクです
ゲームのプレイ・DLページへのリンクを兼ねています

ネタバレなし感想で言うと上記のリンクの感じです。
シナリオ、グラフィック、BGMのノベルゲームにとって超重要な3点セットがいずれもオリジナルかつ高レベルかつ個性も際立っているという素晴らしいゲームです。マルチクリエイターという肩書が似合いすぎる作者さんで非常に素晴らしいです。

どうしても音楽に関しては聴け!!グラフィックに関しては見ろ!!という雑な推奨になってしまいますがもう少し言葉でおススメしていきたいと思います。

■シナリオ

月曜日のループに囚われた主人公と、既にループを繰り返している高校生の男女の計3人のやりとりとどうやってループから抜け出すかというのが本作のシナリオの本筋となります。ここだけ見るとミステリー要素やサスペンス要素をイメージするかもしれませんが、むしろ非日常における日常を描いており、特に会話描写の解像度の高さはクセになります。3人とも会話のセンスがあるので会話を追っているだけでとても面白いです。映画に詳しい人は主人公の語りが更に楽しめるはず。

■グラフィック

グラフィックも素晴らしいです。シーンに合わせて表示される画像は一部アニメーションもあり、例えるなら映画のように構図もシーン毎に様々変化します。グラフィックの点数も非常に多いため、テキストでの状況説明が最低限で済ませるという大きなメリットを感じました。また、常に画面にゆらぎのようなエフェクトを掛けているのですが、これがBGMの雰囲気と非日常であるという演出に感じられて本作にピッタリだと思いました。

■BGM

何と言ってもやはり特徴的なのはBGMです。繰り返しになりますが強制的に日常が繰り返される作中のシナリオと3人のシャレオツ陰キャ風(良い意味で)な会話とノリに本作のlo-fi曲調はコレシカナイ感がありました。途中に全くテイストが異なる曲調の曲が流れた時は登場人物と一緒にこちらも非常にテンションが上がりました。他の候補作もいくつかあるとは思いますが、ティラノゲームフェスに音楽賞があれば最有力候補ではないでしょうか。

未プレイの方はぜひぜひプレイしてみてください!



4.ネタバレありの感想

というわけでここからはネタバレを割と含みます。
未プレイの方は必ず先にゲームのプレイをどうぞ!


↓ネタバレ記事開始カウントダウン5

↓ネタバレ記事開始カウントダウン4

↓ネタバレ記事開始カウントダウン3

↓ネタバレ記事開始カウントダウン2

↓ネタバレ記事開始カウントダウン1


■キャラクターについて

〇楓井瑛(かえでいえい)
26歳の独身自称フリーライターというそれだけで不安定そうな肩書を持つ主人公。こういう人物だからこそ高校生コンビに寄り添って、向こうからも警戒されることなく良い関係が気付けたのだと感じました。自身の現状(職業・年齢)に対する自虐ネタも割と発しますが、心底ではそれほど気にしていないからこそかなと思いました。高校生の延長線上のようなスタンスとループから抜け出そう、しっかりしなければという大人としての自覚と責任感が絶妙なバランスに感じました。


〇赤々実 理素(ああざねりそ)
自由奔放な無敵な女子高生感が出つつも、一方で繰り返すループによるストレスで心身に支障をきたしてもいる本作のメインヒロイン?
ミズミという仲間がいてもループを数年、数十年分も繰り返していたらストレスはかなり酷そうなのでこの設定はとてもリアルに感じられました。中二病丸出しで下ネタもバンバン飛ばして冗談ばかり言っているのも弱い部分を隠したり不安を紛らわすためなんだと思えてかなり愛着が湧いたキャラです。(みんなに湧いたけど)


〇式色ミズミ(しきしきみずみ)
冷戦沈着なドM男子高生。どう考えても理素と恋に落ちるパターンなのに表立ってそうでもないのは、昔は草食と呼ばれ現代ではむしろスタンダードとも思えるような本人のキャラによるところが大きそうです。理素と同じくダメージを受けているはずがあまりそれを見せずに、理素のオモチャでもあり瑛のオモチャにもなれる強キャラでした。私も身長が自己ベスト記録(?)で179.8cmなので、身長ネタのところは気持ちが良く分かりました。


■ネタバレ感想

〇高いテキストの解像度
他のレビューでも指摘されていましたが、テキストの解像度が高いです。「タレもカラシも付いてない納豆」といったような言い回しもそうですし、瑛の朝のルーティンやSiriを使ったリマインダーなど、かなり描写が詳細にわたっている印象です。登場人物たちの会話もループからの脱出というド級の非日常イベントに直接かかわらないような、日常のリアルなテイストの会話となっております。こういった作品のもつ雰囲気のおかげで非日常における日常感が味わえたように思います。

〇印象に残ったシーン・こと
・「俺たちに明日はない」
映画ネタがたくさんあるので映画好きや詳しい方はニンマリだと思うのですが、映画は留学時代に語学学習も兼ねて香港映画を1年で100本観た以外はほぼ見ておらず、今作で言及された作品でちゃんと観たのはロッキーシリーズと「パラサイト半地下の家族」くらいな気がします。が、有名な『俺たちに明日はない』はあらすじだけは知っていたので、この映画に言及している時にタイトルが分かり、なんてこの状況に対する皮肉めいたタイトルなんだ!と思ってたら同様の会話になっていて嬉しくなりました。

・コイン投げのシーン
日常に戻るためにベストを尽くすまでのタイムリミットを何日に設定するかどうかをコインで占うシーンは印象的でした。そこだけ急に時間の進みがスローになり、コインを見つめながら3人に視点が移っていく演出はなかなか味わい深かったです。コイン投げのシーンとか銃弾が発射されたシーンとか、今後テキスト書くときあったらパクります!(堂々と宣言)

・ドライブのシーン
やはりこのシーンは1度目のプレイでも2度目のプレイでも気分が最高潮になりました。メイン喫茶店、サブ学校、1回だけ主人公宅で基本的には屋内のシーンが続く中で、3人揃って家族の車を勝手に借りて海に行く、開放感が最高です。暗転から先にBGMが流れて、ドライブシーンがドーン!でテンションがバーン!と上がりまくりでした。伏線&伏線回収とかじゃなくて単純に話の流れで盛り上がれるのは強いです。

・エンディング
月曜日のループから火曜日に移るシーンでBGMが途切れず流れ続けるの、非日常と日常の地続き感があってとても印象的です。ループから脱出した瑛の日常が非常に日常日常しており、非日常で出会った理素とミズミについての言及が一切ないので、あのループの日々については色んな解釈ができるように敢えてしたのかな、と思いました。(2周もやって読み取れてないだけかも)


〇画面レイアウト
私はゲームを作る際に画面のレイアウトは初期にかなり時間を掛けて検討するのですが、それだけに本作のレイアウトは非常に大胆だと感じました。タイトルと音楽のDL先は常に画面内に表示しておき、画像が左手、文章が右手、システムボタンはコンパクトに。奇跡的なバランスで成り立っているように感じました。かなり変則的なのにプレイ中に全く読みにくさを感じないのも驚きです。前作、前々作もプレイしていますが、毎回考えられていることが見て取れます。こういう細部にわたってベストを尽くそうという姿勢は素晴らしいですし見習わないと!と思いますね。



ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯

ネタバレ防止緩衝地帯



5.おわりに

というわけで「最近の日常的不可思議 Monday Loop」の感想はこれでおしまいです。プレイ後はあとがきも見られますが、ググって見つからないようにしているようなのでプレイ後に是非ご自身で見に行ってください!

作者さんが最もこだわっているのは音楽なのだろうと感じますしもちろん音楽は素晴らしいのですが、映像表現やテキストの魅力にも溢れた作品だと思います。時には有名なIndigameと同列な形で本作の話題は目にしましたので、目の肥えた愛好家の評価が特に高いのだと思われます。過去作も共通の雰囲気がありつつも異なる魅力もある作品なので、これらも是非どうぞ。


ちなみに以下のTwitterを見ると次回作開発中とのことなので非常に楽しみです。公開は2023年内とのことで首を長くして待ちます!!


以上、富井サカナでした!


↓↓↓↓面白いと思ったフリゲをたらふく紹介しております↓↓↓↓


↓↓↓↓私自身もゲームを作ってます↓↓↓↓


👇私のTGF2022参加作はコチラ!フェスのフィナーレ後もご愛顧下さい👇


この記事が参加している募集

全力で推したいゲーム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?