
バズる顔面
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この世には、バズる顔面というものが一定数存在する
広告代理店やいろんな人がコツコツと積み上げてくるブランディングやPRなんてものを一瞬で蹴散らしてしまうような圧倒的な美しさを持つような顔が
バズる顔は周囲を黙らせる
誰か知らない端正な顔が流れてきた瞬間に自分の友達の関係ない日常は一気に色あせ、一流の芸能人が現れたかのように画面が華やぐ
私たちはその写真を拡大し、まずは見とれ、時には粗を探し、何も非の打ち所がないことに観念して讃えたつもりでファボを押す
おそらく彼女たちは自分が持つわかりやすいアドバンテージを駆使しているだけなのだけど、
望んで得た顔でもないわけだから何も悪くはないのだけど、
それは足が速い人が陸上選手になることのように自然で
仕方がないことなのだけど、
やっぱり持つものの眩しさに僻んでしまう
残念だが美しいものに世界は優しいのだ
残念ながら私はバズらない顔面だった
もちろん、研究不足・努力不足という至らない点は多々あるだろうにしても
彼女たちからしたら私は圧倒的に平凡な顔だった
平凡な人間は決して不幸せではないけれど、
どこか寂しく感じてしまう
あと少し鼻が高かったなら
あと少し顔が小さかったなら
あと少し目が大きかったなら
私もあの子になれたかもしれないのに、
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いとうという名前でいろいろ書き綴ってます。ミスiD2019 文芸賞。物書きと被写体と映像と服作りとマルチクリエイターを気取ってます。