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今週の台所・お雑煮

おもちを食べるときは、お雑煮より磯部巻き派だった。

けれど、今年に入って我が家で出てきたお雑煮を静かにすすっているとき、だしがおいしいなあ、もちっておいしいなあ、とホッとしている自分がいた。もはや2月だけど、せっかくなので書き残してみよう。

今回お雑煮について書くにあたって、いろいろ調べてみておもしろかった本がこちら。

全国のお雑煮文化が、本には紹介されている(沖縄県だけはお雑煮文化がないため、沖縄県のページではお雑煮代わりのハレの汁「中味汁」という汁について触れられている)。すまし汁文化圏、味噌仕立て文化圏、小豆汁文化圏、角餅か丸餅か、もちは煮るのか焼くのか…などなど。見開きページの左側にはお雑煮の写真が載っていて、右側にはその都道府県のお雑煮の解説がされている。東のほうに住んでいる私にとって、お雑煮といえば、もちは角餅で、お醤油ベースのすまし汁。そのため味噌仕立てや、あんこが入ったお雑煮を見たときは、こんなに違うんだとおどろいて、見ているだけでもおもしろい。

話は我が家のお雑煮に戻って、我が家のお雑煮の具材は、大根、里芋、鶏肉、昆布、青菜(小松菜や大根菜)が多いということだった。おだしは、イワシ、サバなどが入った混合だし。最近は、香りがいいということで厚切りのカツオ節を使うこともあるそうな。

我が家では、昔から正月以外にもお雑煮が出てくる。そのことを聞いてみると、母の母、つまり私のおばあちゃんがお正月でなくてもお雑煮を作っていたからということだった。お雑煮の具材も、祖母がそうだったから上の具材を使っているということだ。普段何気なく食べているものも、自然とこうやって引き継がれているのだなあと実感する。

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ちなみにこちらは少しずれるけれども、祖母と孫、一緒にカツオ節を削る、の図。数週間前に東京渋谷にある、削り立てのカツオ節をのせたごはんが食べられる『かつお食堂』を訪問した。そのときいただいた削り立てのカツオ節がおいしくて、カツオ節を削ることに興味を持つ。祖母の家になら削り器があるのじゃないかなと思って行ってみたところ、あった。写真はそのときのもので、味だけじゃなくて、こういう時間も大切にしていきたいなあと思った。

さて、お雑煮がおいしかったので母に作り方を聞いてみると、かなりざっくりとしていた。おだしは混合だしをもみほぐしてお鍋に一緒に入れて、お醤油と若干の塩を入れたということだった。そして、今回は母レシピを参考にお雑煮を作ってみた。

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母レシピにならって、だしはちゃんととったけれど、まだまだ母の姿は遠し、というのが今回感じたことだ。でも、おいしかった! おだしをすするときに、お醤油ベースのおだしにホッとする。カツオやサバがきいただしのうまみに、お醤油や塩の適度な塩分。味付けはシンプルだけど、だからこそだしの味がいきておいしい。シンプルな味付けの料理には、シンプルだからこそしみわたるなにか、みたいなものがある気がする。

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おいしいおだしの話だけだったら、きっと投稿まではしなかったと思う。おいしいおだしにカリッと焼いたり、柔らかく煮たもちを入れるお雑煮。もちとおいしいおだしって合うんだな、とはじめて実感をともなって気づいたということが今回は大きかったのだと思う。遅いけれど…。食わず嫌いじゃないけれど、もったいないことをしていたなあと反省…。

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お雑煮は、もともとはハレの日の料理。今回おもちについて調べてはじめて知ったのだけれど、お正月料理の主役はお雑煮なのだそう。

でも祖母にならうわけではないけれど、お正月ではなくても、お雑煮をときどき作りたいなあと思った。お雑煮は炭水化物、たんぱく質、野菜とバランスよく栄養素が摂れるから、という視点ももちろんある。でもそれだけじゃなくて、気分を整えたいときに、おいしいおだしをすすったら、ホッと一息つけそうな気がするのだ。

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