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昭和のプレート、大人のお子様ランチなり

腹ぺこなのに、2人でどう考えても何を食べればいいのかわからないようなときってたまにあるもので、そんなときによく来てたのが「はやしや」って店。

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新宿のスタジオアルタの裏側の、三平ストアっていうディスカウントショップのビルの中にある。
昔は三平食堂ってなのってて、いつからだろう…、はやしやって名前になった。
林家三平師匠にちなんで…、って後でわかって洒落っ気があっていいじゃないのって思ったりした。

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洋食系の料理ならとにかくなんでもメニューにあって、ファミレスらしい店の少ないこの界隈ではありがたい店。窓の外に見える歌舞伎町の景色がとても新宿的で、夜のネオンは眩しいくらい。

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長崎や松山という遠くから東京くんだりにやってきて、田舎暮らしにない自由を手にした代わりに田舎にいればしなくてもいい苦労をしてる。そのご褒美がこの景色なのかもしれないね…、って言ってのんびり食事をしました。

昭和のランチって言う料理があってそれは必ずたのんで食べた。

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楕円形のピカピカの皿。
型抜きのご飯に料理がギッシリ。エビフライにサーモンソテ。ポークロースのグリルにハンバーグと食べたいモノがズラッと並びマカロニサラダに千切りキャベツ。カップスープにソースポットにカレーが入ってひと揃え。
エビフライにハンバーグとか、ポークソテとハンバーグ…、って盛り合わせ料理はよくあるけれど、なんでもかんでも乗っけてお皿をにぎやかにするお子様ランチみたいな料理は今じゃあんまり流行らない。
昭和の時代は足して足して、足せなくなるまで足して行くことを喜ぶとてもおおらかな「足し算の時代」だったんだなぁ…。昭和が終わってみんなどんどん縮んでいった。今やこれ以上引けないほどに縮んでしまってみんなあたふたしてるもの。

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タルタルソースをエビフライとサーモンフライにのっけていきます。
これも案外たっぷりあって、大きなエビフライがたちまちタルタルまみれになってく。
1390円という値段の割に立派なエビ。
伸ばして大きくしたわけでなく、パン粉で無理やり太らせたわけでもなくて、元々大きく太ったエビだと、大きな尻尾が凛々しくアピールしていらっしゃる。

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ご飯にカレーをザザッとかける。
食べるところにちょっとづつなんて小洒落たおとなんて考えず、ザーッとかけてご飯が受け止められたなかった分がハンバーグやら千切りキャベツやらを汚してしまうカオスをたのしむ。
カップスープはビーフコンソメ味で飛行機に乗ったときに選べるスープのような味わい。安っぽくってなのになんでビーフコンソメの味がするんだろう…、っていつも不思議に思いながらも、飛行機旅行しているみたいな気持ちになるねって無邪気に飲んだ。

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食べはじめる前にザクザク、ナイフですべてのものを一口大に切り分ける。テーブルにやってきたときにはしっかりとした正面と裏側が料理にあって、けれどそれがあっという間にどっちが前だか後ろだかわからぬ姿に成り果てる。
テーブルの両側から手が出て食べられていく宿命ですから前も後ろも、裏も表もない状態が考えてみれば正解で、おしゃべりしながらパクパク食べてく。食べてるうちにいろんなものが混じり合い、例えばハンバーグはカレーマヨネーズハンバーグみたいになってくんだけどそれがおいしい。中でも一番成り上がるのがマカロニサラダ。業務用スーパーで売ってたのであろう、ブヨブヨマカロニのマヨネーズ和え。それがいろんな料理の味をまとめておいしくなっていくのに今日も笑った。腹一杯。


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