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因幡うどんの肉ごぼ天

東京から熊本までの陸路の移動。
長い移動の中継地点でうどんが待ってる…、と思えば新幹線の旅もたのしい。
贅沢を言えば牧のうどんで腹ごしらえをしたかった。
けれど30分ほどの乗り換え時間に駅の反対側まで行くのは無謀なチャレンジ。それで新幹線の改札口の近くの「因幡うどん」を選ぶ。

ここも好きなお店です。
経営されてた方が高齢で事業継続がむつかしくなり、一風堂の運営会社が事業引き継ぎ、しばらくギクシャクしてました。企業風土を理解して、できることからちょっとづつ。絡まる糸を一本一本ほぐすような手間を惜しまず、やっと新たな形ができたようです。
お店の姿もうどん屋らしく様変わり。おばちゃんたちが元気にリードしながら営業している様は昔通りでホッとする。

まずかしわめしのおむすび一個。
焦げた醤油の香りがこうばしく、しっとりとしたご飯の食感が口にやさしい。鶏の脂をまとってツヤツヤ。風味も豊かなご飯がハラリと口に散らかるおごちそう。
出汁をとった残りの昆布でつくった佃煮も食感豊かで昔のまんま。

肉ごぼ天を選んでたのむ。
ちょっと浅めで、代わりに口が広い丼。
大きなごぼ天、たっぷりの煮込んだ牛肉が居心地良さげにうどんの表面を覆ってる。透き通った汁から湯気。一緒においしい香りが湧き立ちお腹を鳴らす目のゴチソウ。
箸で持ち上げうどんを取り出す。軽い飴色。麺はくったりやわらかでこれまた汁の中でなんとも心地よさげで、シアワセになる。

甘い汁です。でも甘み以上に旨味があって、しかも塩の輪郭がはっきりしている。すべてがギュギュッと凝縮されてるような味わい。やわらかでなめらかなうどんをたぐりあげると、一緒においしい汁の味わい。口の中がたちまち潤い、みずみずしくなる。

あぁ、うどんだなぁ…、やさしさと力強さが同居していて一口ごとにお腹がポカッとあったかになる。前歯を必要とせぬうどんです。だから麺を意識することなく汁の味わい、風味をたのしめる。
甘く煮込まれた牛肉、玉ねぎ。衣たっぷりのかき揚げ状のごぼ天は、食べてるうちにどんどん汁を吸い込んで上等な天かすみたいにふるまっていく。汁をすすれば天ぷら衣も一緒にフルンと口に飛び込みとろけて消える。旅の疲れが吹っ飛びました…、あと一息で熊本です。

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