コロナ時代の新築マンション値引き交渉術

この原稿を書いている時点(2020.5.20)では、まだ東京の緊急事態宣言は解除や一部緩和の方向が見えていない。
しかし、この流れでは近々解除または一部緩和になるのは確実だ。

現状、緊急事態宣言下のエリアでは新築マンションの販売活動がほぼ停止状態である。少なくとも大手デベロッパーが売主の物件では販売活動を自粛している。
しかし、これが再開ともなれば猛烈な勢いで営業攻勢が始まると考えていい。
その理由はもちろん「2か月間のロスを取り戻す」ことにある。
例年GWは販売のひとつのヤマとされている。今年は、その期間を丸々失ってしまったのだ。だから、各社ともに焦っている。

焦る理由はもう一つある。
それは、コロナ前とコロナ後ではマンション市場の風景がガラッと変わっている可能性がある、ということだ。
何よりも2013年の異次元金融緩和以来市場に吹いてきたフォローの風が途絶える。そして、猛烈なアゲンストの風が吹き始めている。
約5年ちょっとの間続いた局地バブルは、コロナをもって終了となるのだ。

すでに日本経済に襲い掛かっている「コロナ不況」は、新築と言わず中古と言わず、マンション価格を下落させることは間違いない。
モデルルームで営業マンが「来年はもっと高くなりますよ。今買わないと買えなくなります」なんてトークを繰り出してきても、誰も信じないだろう。

何といっても世界は1930年代以来の大恐慌に見舞われる、と囁かれている。
それでいて足元のマンション市場は、もう何年にもわたる供給過剰で新築も中古も空家だらけになっている。人の住んでいない住戸がなんと多いことか。
みなさんも自分の住んでいるマンションが分譲タイプならお気づきだろう。必ずといっていいほど空いている住戸があるはずだ。
日本の分譲マンションは、そもそも余っているのだ!

今、大手に限らずマンションデベロッパーで事業展開のキーマンとなっている人の年齢は、おそらく50代の後半だ。かくいう私も今年58歳になる。
私と同年代の業界人には、ちょっとした特徴がある。
それは今回を含めて過去3回のバブルを経験しているということ。そのうち2回はすでに崩壊した。
そして、彼らは人生で3度目のバブル崩壊を、これから経営中枢にいる当事者として体験することになる。

ハッキリ言って、50代後半の彼らは焦りまくっているはずだ。
過去2回のバブル崩壊では、在庫を処理しきれずに倒産してしまった多くのデベロッパーを、横目で眺めてきた人々なのだから、それは当然。
そんな彼らに率いられたマンションデベロッパーが、間もなく猛然と販売活動を再開する。

そこでは間違いなく値引き合戦となる。
時間は彼らに味方しない。エンド(一般消費者)に味方する。
少しでも早く売り抜けないと、相場は時間とともに下がり続けるのだ。

さて、彼らの焦りはこれからマンションを買おうとする人々の値引き交渉にとって、最高に恵まれた環境を形成してくれる。
マンション購入を考えている人々よ、今こそ上手に交渉して買いたかったマンションをうんと安く手に入れよう。
いってみれば、これからはマンション購入におけるちょっとした好機到来。
この機会を活かして、値引き交渉を仕掛けるべきである。

しかし、相手はマンションのプロ。不動産業者でもある。
不動産の専門知識や業界の内部事情を知らないエンド(一般消費者)さんが交渉を仕掛けても、「気が付いたら相手のペースにはまっていた」なんてことにもなりかねない。
そこで、かつてリーマンショック直後から「マンションの値引き交渉」について数々のノウハウを提供してきた私が、この有料note用にポイントをまとめてみた。
かつて世に出したノウハウ集は1万円前後の価格設定だった。
今回は「コロナ時代」向けの簡易版だが、かつての購入者との兼ね合いもあって、あまり安くできない。noteとしてはやや高額の2990円に設定するが、これから値引き交渉に臨む方には、十分に元は取れると考える。ボリュームは7600字強。

ここで示すテクニックや情報の中には、コロナ時代でなくても使えるものもあれば、今のようなコロナ不況だからこそうんと効果を発揮できるものもある。
今回は、むしろ「コロナ不況ならでは」のポイントを豊富に盛り込んだ。
では、以下にその内容を説明していこう。

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