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性犯罪をめぐる問題は、“日本社会のジェンダー不平等の反映”にすぎない~被害者視点を取り入れた刑法改正について~

日本の性的同意年齢は13歳という驚愕

  

日本では13歳、中学1年生から性行為に同意する能力があるとしています。※13歳以上の子どもに対する性行為は成人と同じように扱われる刑法の規定

このため、もしあなたの大切な人たちが、13歳で性的暴行を受けた場合、脅迫されたか、抵抗したかなどを、少年少女自身が具体的に説明しなければなりません。

被害者が激しく抵抗できなければ加害者を罪に問えない「暴行・脅迫要件」また「心神喪失」「抗拒不能」が起訴の要件として残されている「準強制性交等罪」がいまだに存在しているため

私はその事実を知って驚愕でした。



 引用:「13歳」のYES、それは本物?
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200629/k10012487511000.html


抵抗しなかったからYES?


今の日本では、性教育が遅れており中学生でさえも性交について学びません。
それなのに13歳以上で(恐怖や驚愕などにより)抵抗できずに被害にあった場合、それはYESでしょ?とされてしまう現状があります。

不同意であったことを証明しなければならないのは被害者側なのです。


子どもの頃から、性犯罪はすぐそばにあったし、今もそうだと思っています。

大人になってからも子どもへの性教育が世界と余りに遅れており、人権やジェンダー平等教育も後進国だと気付いていましたし、こんな日本じゃ安心して子育てできない…と驚愕でした。

2017年の110年ぶりの、性犯罪民法改正後の2019年に、地裁段階で相次いだ無罪判決は、フラワーデモのきっかけになりました。

国連は2008年に日本に対し、性的同意年齢の引き上げを勧告する所見を採択していますが、明治時代に決まった13歳という年齢は、2017年の刑法改正では変更されませんでした。


また、2017年の民法改正では、監護者(保護者など)によるわいせつ行為・性交等は、子どもの同意の有無を問わず犯罪となりましたが、教師や家庭教師、コーチ、施設関係者など、子どもを保護・指導する立場の者によるわいせつ行為・性交等はその対象となっておらず、実態に即していません。



内閣府の調査によると、女性の13人に1人、男性の67人に1人が「無理やりに性交をされたことがある」と答えています。
また、公訴しても約6割が不起訴となっているなど、いまだに性被害に遭っても泣き寝入りをせざるを得ない人が多くいます。


勉強会の企画・実施


私は被害者視点からの改正賛成派です。

 今回、党内の自治体議員有志で、大阪大学法学研究科教授、島岡まな教授(刑法専門)をお招きして『性犯罪刑法改正・課題についての学習会』を企画、実施しました。

テーマは「被害者視点からの性犯罪刑法改正のために必要なこと」と題しました。


前提としてお願いしていた要点は以下の5点でした。


1. 刑法改正検討委員会のこれまでの議論の評価について
2. 同意がなかったことをどう立証するかという問題について
3. 地位関係性の対象の拡大について
    教師や指導者、障害者施設の優位な地位にあるものも含められるか
4. 性的同意年齢の引き上げと、少年法の問題について
    例えば中学生同士のカップルの性交を犯罪にしないために諸外国ではどのような方法をとっているか
5. 冤罪をどう防ぐか

結論から話すと、私は全ての疑問点を払拭することができました。

大変、勉強になりました。

やはり専門家の話は人の心を動かすと感じました。
島岡教授は、10年前から活動して下さっているそうです。

(参加者の皆さまからも好評でした。)

性犯罪をめぐる問題は、“日本社会のジェンダー不平等の反映”にすぎない
という教授の結論は、全く同意見でした。



それでは、ここで今回の勉強会の要点として学んだことを以下にまとめます。


1.法務省「性犯罪に関する刑事法検討会」のこれまでの議論の評価について

 前回入らなかった精神科医、被害者支援団体代表、臨床心理士など被害者心理をよく知る委員が入ったことは高く評価できる。


ただ、刑法学者に関しては伝統的刑法学を尊重する正統派学者が選ばれているので、処罰に慎重な保守的意見が多く出た印象がある。
そのため、とりまとめ報告書には、改正に対する賛否両論併記の形をとっていて、玉虫色の報告書という印象がある。


2. 不同意であったことをどのように規定するか


→行為者の手段と被害者の状態を細かく規定することにより、そのような客観的事実があれば不同意であったと認定され、そのような事実を認識していれば故意があると認定できるようにする⇒刑法改正と法曹の研修が必要

その際に「抗拒・抵抗が著しく困難」など、抵抗義務を前提とするような表現は避けるべきとのご意見が表明されました。


抵抗義務が前提とは:113年前の家父長制度の日本の時に作られた「女は貞操を守るべき」という考え


この「抗拒・抵抗が著しく困難」という表記が残ってしまえば、NOと言わなかったからYESでしょ?という考えが残ってしまいます。

それは避けたいと思っています。


3. 地位関係性の対象の拡大について


教師や指導者、障害者施設の優位な地位にあるものも含められるか→含められる


例:親族、教師、スポーツなどの指導者、上司、その他一定の権限または影響力があることに乗じて、または警察署、拘置所、医療施設、障害者施設、その他の場所における被収容者の弱い立場を利用して性的行為をした者

とするなどして、年齢要件ではなく(若年に限らず)地位関係性でカバーするべき。

4. 性的同意年齢の引き上げと、少年法の問題について

 

 例えば中学生同士のカップルの性交を犯罪にしないために諸外国ではどのような方法をとっているか→加害者と被害者の年齢差要件や一定の地位・関係性を要求している

そもそも中学生同士の同意のあるカップルの性行為に親や警察が介入する危険など欧米にはない。
小学校からの真の対等な関係を育むジェンダー教育、性教育が充実し、本人同士が望まない起訴の危険などあり得ないそうです。

島岡教授によれば、この問題は未成年者の人権がどれだけ重視され、保護されているかの試金石であり、先進諸外国から児童婚の風習などと同様に、人権後進国とみられる傾向があるそうです。


また、実際海外の立法例では、刑事責任年齢より、性交同意年齢が高い例はいくらでもあるそうです。


例:イギリス、スイス:刑事責任年齢=10歳、性交同意年齢=16歳、フランス:刑事責任年齢=13歳、性交同意年齢=15歳


 性犯罪被害者の保護を目的とする性交同意年齢は、一般犯罪に関する加害者側の刑事責任年齢の話と一致しなければならない必然性は何もないですよね。

5. 冤罪をどう防ぐか

→この問題は、性犯罪の処罰範囲の拡張とは基本的に無関係な問題である。つまり冤罪を防ぐことは至上命題であり、どの犯罪でも変わりはない。(たしかに!)

被疑者、被告人の人権を守ること、すなわち
・先進諸外国のように、被疑者段階から弁護士を国費でつけて、取り調べに同席させる
・取り調べの録画を徹底する
・自白しないと保釈されないような、人質司法をやめる
・裁判官が予断を持たず、客観的証拠に基づく判決を行う 

などが必要。

島岡教授によれば、むしろそれができていない人権後進国だからこそ、最も弱い立場にいる性犯罪被害者の保護も不十分なのであり、冤罪を防ぐことと、性犯罪被害者の保護は両立できることは、先進諸外国の動向で証明済みであるそうです。(なるほど…!)

6. その他(公訴時効の在り方)


公訴時効の在り方についてもお話下さいました。
(大切なことです!)


公訴時効 (強制性交等罪=10年、 強制わいせつ罪=7年)を過ぎたら、 加害者を罪に問えない現状があります。


フランス:成人(18歳)まで時効は停止し、その後30年告訴が可能
ドイツ:21歳に達するまで停止し、その後30年告訴可能


性暴力からの回復には長い時間がかかるため、公訴時効は実態に即していないため、被害者視点により成人まで停止すべきと考えます。



以上、要点のみですが、今回学んだことをまとめました。


最後に


 この記事が性犯罪刑法改正について学ぼうとされている方にとって、少しでも(ひとつの意見として)参考になれば幸いです。

私が一番取り組みたいことは「女性の味方でいること」なんですが、どれも根本にはジェンダー差別、不平等があります。


これは早急に是正すべきであり、例えば性教育や人権尊重が不足している人権後進国だからこそ、同時進行で解決しなければならない問題がたくさんあるということに毎度気づかされています。

そういった意味でも大変勉強になりました。


同じ課題意識を持っている方、共に活動しましょう!

SpecialThanks!

今回の勉強会で共に企画した有志の自治体議員

高木さとこ 狛江市
宮原りえ 清瀬市
かみまち弓子 東村山市
滝沢泰子 江戸川区

サポート頂きました

大河原まさこ事務所塩田さん
川名雄児 武蔵野市議
東京都連 津田さん
二宮よしこ 東大和市議
寺田学衆議院議員

参加してくださった
自治体議員の皆さま


江東区議会議員 酒井 なつみ

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