助産師議員として、国会&自治体議員向け「HPVワクチンに関する勉強会」を主催しました
こんにちは、江東区議会議員の酒井なつみです。
この度、自治体議員有志で、立憲民主党議員向け「HPVワクチンに関する勉強会」を企画、主催しました。
HPVワクチンは、小6~高1の女の子を対象とした定期予防接種です。
『子宮頸がんワクチン』と呼ばれることもありますが、『子宮頸がんのみを予防するワクチン』というよりも、正確には『HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するワクチン』です。
「2013年頃、副反応疑いの症例がたくさん出たが、どう考えたらいいのか」
「“子宮頸がんは検診で予防できる”と発信する議員がいるが、どう考えたらいいのか」
これは、今回の勉強会の参加者から出された質問です。
勉強会を主催した経緯
私は28歳で子宮頸がんに罹患したので、なぜ予防できるワクチンがあるのに約8年間も積極的勧奨が停止したままであるのか、ずっと疑問に感じています。
12年間医療現場で働きながら、社会の課題に何もできなかった自分を振り返り、今、微力ながら助産師として、いちサバイバーとして社会のために活動できていることに、喜びを感じます。
2021年5月19日、参議院会館にて、一般社団法人 HPVについての情報を広く発信する会(みんパピ!)の皆様にお越しいただき、国会議員及び自治体議員向けの勉強会を行いました。
自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」ができたこともあり、立憲民主党としても、HPVワクチンについて学んだり、議員としての役割を考える場を持ちたいと考えていました。
政府や自治体にも科学的根拠に基づいた政策判断を行なって欲しいと感じています。もちろん、立憲民主党にも!
そのため、国会議員、自治体議員に呼びかけ、この場を設けることができました。
呼びかけには衆議院は津村啓介代議士、参議院は塩村あやか議員にご協力頂きました!
自治体議員有志は中村延子中野区議会議員、ゆざまさ子昭島市議会議員とお声がけ&勉強会を実施させていただきました。
勉強会 第1部みんパピ!木下先生・稲葉先生の講義
第1部に講義、第2部に自治体議員に必要な知識と役割、事例の共有をしました。(会場とオンラインのハイブリッド開催)
今回講義をしていただいたのは、みんパピ!の代表理事 稲葉可奈子先生(産婦人科医)と副代表 木下喬弘先生(救急医)です。
木下先生からは以下のお話を頂きました。
『ワクチンに関する最新のエビデンス』
✅副反応と有害事象の違い
✅ワクチンの有効性・安全性については数多くの研究で確認されていること
✅積極的接種勧奨の差し控えによって5,000人以上の女性が死亡すること
※接種率の高いオーストラリアでは、子宮頸がん撲滅も視野に入っている(撲滅の基準:女性10万人当たり4人)
稲葉先生からは以下のお話を頂きました。
『積極的勧奨再開に向けて』
✅2021年2月に実施した10~50代の女性4194名を対象としたアンケートから、約半数が子宮頸がんを予防するワクチンがあることを知らないという情報格差の現実
✅みんパピ!さんの活動
✅日本と同様に接種率が低下した国の取り組み
✅子宮頸がんリスク(132人/1万人)と有害事象リスク(5人/1万人)
✅子宮頸がんはHPVワクチンと検診で予防できること
50人程の参加議員の中には、我が子のワクチン接種時期に有害事象の報道があり、途中で接種をやめた方や、副反応を疑い苦しむ当事者の話を聞いたり寄り添ってこられた方もいました。
参加した皆さんからの質問や感想からは、
◯2013年頃、副反応疑いの症例が多発したが、どう考えたらいいのか
◯検診で予防できると発信する議員がいるが、どう考えたらいいのか
◯男性への接種について有効性は
◯口腔粘膜への有効性は
◯学びが深まり、自分の口で説明できそう
◯有害事象と副反応の違いが理解できた
◯素晴らしかった
◯同テーマの他の勉強会より良かった
◯参加者を増やして次回に繋げたい
◯党内での理解を深めたい
など、多くの反応がありました。
最後の質問まで稲葉先生、木下先生は質問に丁寧にかつ確実にお答えいただき、素晴らしい対応でした。
いつもtwitterを始め、様々な媒体でご活躍を拝見し尊敬している先生方にお会いでき、大変うれしかったです。
第2部 自治体議員からの発表
第2部は私たち自治体議員有志からの発表を行いました。
テーマは「自治体議員に必要な知識と役割事例について」
✅国の動向(勧告の改正により自治体に個別の情報提供を求められたこと)
✅自治体の取り組み(中野区、昭島市の紹介)
✅自治体議員に必要な知識と役割
また、私、中村延子議員、ゆざまさ子議員の議会での質問(議事録)も共有し、議会活動に役立ててもらえるようにしました。
・積極的勧奨を再開し、がん検診の普及によって、より多くの女性の子宮頸がんを予防する
・医療機関で不安を感じる対象者とご家族に、丁寧な説明と同意がなされる
・接種後に健康に異常がある方に寄り添える自治体・医療体制を整える
これらの目標達成のために自治体の役割はとても大きいです。
そのために私たち自治体議員の議会での質問が役立つと考えています。
今後の動きは決まっていませんが、次回に繋げていくことや、賛同して活動して下さる仲間を増やしていきたいと考えており、具体的に話し合いをしています。
今回は有志での開催でしたが(お声がけしておらず参加できなかった方がおられたら申し訳ございません。お声がけ下さい。)個人的には党内から自発的な行動や発案が広がり、大きな動きとなることも期待しています。
自分から動くことって大変ですが、勉強になります。
またひとつ経験することができ、成長できたなと思います。
無事、開催できてよかったです。
終了後、胸がいっぱいになりました。
自己満ですが、自己満足しながら進めることは幸せですよね。
おわりに
この記事を最後まで読んで下さりありがとうございました。
【20歳以上の女性へ】
✅ワクチン接種の有無に関わらず、20歳を過ぎたら2年毎の子宮頸がん検診(細胞診)を受けましょう!(69歳まで)
✅30歳から69歳まではHPV検査も新たに推奨されました。5年毎に間隔を延長できることが大きなメリットです。
※HPV検診はまだ国の検診(対策型検診)としての予算はついていないため現在公費では受けられません。(一部独自に行う自治体あり)今後受けられるよう働きかけて参ります。
【HPVワクチン対象の方(小6~高校1年生までの女の子)と保護者の方へ】
自分の身体を守れるのは自分自身です。
小6~高校1年生までの女の子には正しい情報を知って判断してもらいたいなと思っています。
ぜひみんパピ!さんのサイトをご覧下さい。
子宮頸がんについて深めたい!という方は前回投稿した記事もぜひご参照下さい。
今回調べて役に立ったオススメのサイトを下記にご紹介します。
(医療現場で日常的に使われていますが、一般の方にも役立つかと思います)
HPVワクチンや子宮頸がん検診についても記載があります。
助産師議員として、また元サバイバーとして、皆さんが正しい知識をつけ、ワクチン接種や検診等の行動にうつせるように、発信や活動を続けて参ります。
また、困った時に使える制度(医療、介護、保健、福祉など)が充実するよう、国や自治体に求めて参ります。
Special Thanks!
みんパピ! ( https://minpapi.jp/)
代表理事 稲葉 可奈子先生
副代表 木下 喬弘先生
運営メンバー 重見 大介先生
衆議院議員 津村 啓介さん、秘書の皆様
参議院議員 塩村 あやかさん、秘書の丸子さん
中野区議会議員 中村 延子さん
昭島市議会議員 ゆざ まさ子さん
参加者の皆さま
江東区議会議員 酒井 なつみ