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中国特許/実用新案の同日出願、(ほぼ)同じ内容を2回読むのは回避できる?

こんにちは! 特許調査の仕事をしてます、酒井といいます。今日は「中国特許/実用新案の同日出願、2回読むのを回避したい問題」について書きます。質問BOXに頂いたおたよりからです。

■おたより■
中国の実用新案は特許出願との同日出願が多数ありますが、特許公開公報と実用新案公報の発行日に時間差があるので、日々のSDI配信の際、同じ発明を別のタイミングにダブって確認するはめに陥っています。
実用新案公報の方が公開公報より早く発行されるので、できることなら実用新案の段階で把握したいと考えています。
この無駄をなくす方法があればご教授願います。

・・・これ、わかりみが深すぎます。
同じ発明に2回出会うのって、なんか「やられた・・・!」って感じしませんか? (←え?しない?)



現状、データベース側で処理するのは難しそうです。(残念!)
Excelで検出するだけなら、ある程度可能なのですが
SDI配信と組み合わせるとなると、一手間増えてしまいそうです。。

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2021/09/21のライブ配信でも取り上げさせて頂きました。
以下の記事は概要 +α です。

中国特許/実用新案の同日出願とは?

■ 概要
中国では、同一の発明創作には1つの専利権のみが付与されるが、同一の出願人が同一の発明創作について特許と実用新案を同日に出願する場合(以下、「特実同日出願」という。)、出願人は、先に取得した実用新案特許権が終了する前に当該実用新案権を放棄すれば、特許出願について権利付与を受けることができ、特許出願の内容を修正すれば、特許と実用新案との両方を維持することもできる。

・・・という制度です。詳細はこちらでご覧ください。

そのため、おたよりで頂いた通り

中国の実用新案は特許出願との同日出願が多数ありますが、特許公開公報と実用新案公報の発行日に時間差があるので、日々のSDI配信の際、同じ発明を別のタイミングにダブって確認するはめに陥る

という状況が起こりやすいんですよね。。

考え方のポイント

このような場合、私が考える順番ってだいたい決まっています。

1)制度を読んだり、公報を確認したりする。
2)検出できるポイントを検討する。
3)1)がデータになっているかを確認。
4)検出方法を検討する。

という感じなんですが・・・

「中国特許/実用新案の同日出願」問題だと、1)は

という規定があります。 (出所:INPIT
ということで、今回のパターンだと

同日出願を検出できそうなポイント

■「同日出願をしている」旨の 記載か
■ 同一の出願人が同日に出願している という状況

どちらかで検出できるんじゃないかな、と考えます。

同日出願している旨の公報記載例

実用新案公報の「同日出願している」旨の記載例です。(赤い囲みの箇所)

これを中国特許庁のデータで見ますと、
一応、基本情報でも表示されるのですが・・・

CNIPAや手持ちの商用データベース、EspacenetにGoogle Patentsと
色々なデータベースで検索してみても、同日出願の表示である

同样的发明创造已同日申请发明专利

を検索する事ができませんでした。

以上の結果から
「現状、データベース側で処理するのは難しい」と考え、
「同一の出願人が同日に出願している」状況をExcelで検出する方向に切り替えました。

Excelで検出するなら

同一の出願人が同日に出願している

事が要件なので、Excelだと

・既知(SDI閲覧済)の公報リストを作り、配信のたびにデータ追加
・今回配信分のリスト(CSV)を取得
・出願日+出願人名(実用新案権者名)で照合する

という方法で「同日出願があるかも?」な公報を
検出する事自体は可能かと思います。
たとえばこんな感じに。

出願日+出願人10文字は =U3&UPPER(LEFT(V3,10))

実案番号候補は、既読公報シートを読ませて
 =VLOOKUP(W3,既読!W:X,2,FALSE)  の関数を入れてます。

公報発行件数がそこまで多くない分野は、上記の感じでよいのですが
件数が多く、「同日にたくさん出願している出願人がいる」場合は
発明の名称も表示させると、判別しやすいかもです。
(同日出願はほぼ同一の内容で行う、という規定があるため)

・・・という感じです。
中国特許の情報収集って、いつも色々な悩みが出てきますよねー。
よかったら質問BOXにぜひおたよりを。ネタ提供お待ちしております!


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