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不二家と味覚糖、権利保護のスタイルに滲み出す「お菓子の個性」

コンビニに立ち寄ると、時折「珍しいフレーバー」に手を出したくなる癖?があります。今日の戦利品はこちらの「ミルキー塩すいか味」。

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中身もピンクと緑の色分けになってます。ちょっと凝ってますよね!
こちらの新商品を見て、ふと思いました。

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「製菓メーカーって、各商品の”基本形”の特許出願はしていそうだけれど、季節毎の "〇〇味" (イチゴ味、抹茶味、チョコレート味・・・など) は、よほどの特徴がない限り、いちいち特許出願していなさそうなイメージ」
「・・・って、個人的には思うけど 本当にそうなのかな?」と。

1.不二家/ユーハ味覚糖 の 出願件数総計

ミルキーの会社、不二家だけでは判断できない、と考え、
キャンディー類で最初に思い出したユーハ味覚糖も加え、両社の特許出願を検索してみたところ、自分の予想しなかった結果になりました。
こちらは 特許+実用新案/意匠/商標 の過去の全出願件数です。

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このグラフだけでも「特許・実用新案の味覚糖」「商標の不二家」という個性が伝わるかな、と思うのですが、
更に驚いた点がありまして・・・

2.商標に注力する不二家

ミルキーの販売元、不二家さんです。

いちいち特許は出していないかも・・・?という
ぼんやりした予想から始めた検索でしたが、蓋をあけてみれば

現時点で不二家の生存中特許は1件のみ

なのです・・・。

一方、商標はかなり古いものも、ずーーっと権利維持されていて、その数も1000件以上になってます。一番古いのは大正時代の出願で、不二家ではなく、なぜか「野球」。

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どうやら、下記記事の「高砂屋さんの野球」のことらしいのですが、掘り下げずに続けさせて頂きます。

さて・・・商標に力を入れているらしい不二家。
おなじみのペコちゃんや

きっと皆さんご存知の「カントリーマァム」

「ルックチョコレート」も

当然、思いつく商標は全部持っている印象でした。その割に生存中特許がゼロ件なのは、シンプルでオーソドックスなお菓子を、どこか可愛らしいブランドイメージで売っているからなのかも・・・?と感じました。(技術開発の要素だって、きっとありそうな気がするのですけどね)

一方・・・

3.ユーハ味覚糖 商品に直結した特許出願

「キャンディといえば」で連想したのがユーハ味覚糖。

「過去の総出願件数グラフ」も、もう一度貼ります。

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生存中特許も192件あって(2020/06/24時点)、特許・商標をバランスよく出願されている印象が強いです。

特許出願には「これは・・・きっとあの製品ね?」と予想できるものも多くて、個人的には読んでみてとても楽しかったです。
たとえばこちら▽。 「発明の名称」でおわかりですよね?

きっと・・・▽これじゃないかな? 

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食品メーカーの特許出願は、身近で入手しやすい製品と結びつくケースが多いですよね! 実施例を見て「どれが製品化されたのかな?」と想像するのも楽しいです^^ 

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特許の実施例って こんな風△に、色々な成分を試した結果が載ってるんですよ。比較例を揚げた結果は「空洞ができたり」「割れたり」で、なかなか実験も大変そうですね。

4.ユーハ味覚糖 意外だった意匠出願

不二家もユーハ味覚糖も意匠出願は少なめです。不二家はゼロ、ユーハ味覚糖6件です。件数は少ないのですが、ひとつ「え!斬新!」と思った出願がありました。こちらです。

説明+図面はこちら。

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そう!きっとあれ▽です!

自分には「あのお菓子、あまり形が定まってないのに、意匠登録でいいんだ・・・」という驚きが。(小並な感想ですみません)
特許が出てるのは、全然驚かないんですけどね。

まとめ

コンビニでの買い物から思いついての検索でしたが、
オーソドックスで懐かしくて、可愛いイメージの不二家さんと、
時々斬新で(昔GACKTさんのCMもあったし)アイデアいっぱいのユーハ味覚糖さん。権利保護にも個性が出ているのかも、と感じました。

食品や日用品の特許は、実際の製品に触れる機会も多く
特許と製品を見比べやすいので 楽しいですね!

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