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海外のアニメグッズ販売会社とコラボする意味=ドイツ・ベルリン編

ドイツの首都ベルリンで今月、アニメのフィギュアやグッズを扱うショップ「Figuya」がオープンしました。

公式アカウントではオープニングセレモニーの様子などを撮影した動画が公開されています。

今回はアニメの関連商品の流通モデルについて、ドイツの事例から考えてみたいと思います。

このグッズ販売会社「Figuya」はアニメのフィギュアに特化しており、ドイツ各地のイベントやパリのジャパン・エキスポなどに出店しています。同時に普段はオンラインショップを運営しています。

イベントへの出店+オンライン販売

という実店舗を持たないビジネスモデルはドイツでは一般的です。というのも、ドイツの人口はフランスやイギリスのように首都に集中しておらず、各地域に分散しているからです。

フィギュアの販売に特化して実店舗のオープンにまでこぎつけた「Figuya」は同業他社とどこが違うのでしょうか。

まずは以下の写真を見てください。

これはドイツのケルンで開催される世界最大級のゲーム産業見本市「ゲームズコム」に出店する「Figuya」の様子です。ブースには、「ねんどろいど」シリーズなどで有名な日本のフィギュアメーカー「グッドスマイルカンパニー」のロゴが見られます。日本のメーカーとコラボしての出店ブースだと思われます。

そして、今回のベルリンの実店舗が開店した直後に、こんなニュースを見かけました。

内容は、初音ミクの欧州ツアー「Miku Expo 2020 Europe」はベルリン公演に関連して実施される公式ワークショップイベントを「Figuya」で行うというものです。

実店舗があると、こうしたインストアイベントが開催できます。初音ミクなどヴァーチャルシンガーを手掛ける日本のメーカー「クリプトン・フューチャー・メディア」とのコラボです。

日本のメーカーとの積極的なコラボという戦略

が、競合他社と一線を画し「Figuya」がドイツのファンに支持されている理由なのかもしれません。

日本のメーカーにとっても海外企業とのコラボは簡単なものではありません。ドイツ側から見た場合、

日本のアニメのフィギュアを輸入、販売する際に、どのような課題、問題があるのか、

非常に気になり、今回は「Figuya」に直接聞いてみることにしました!

取材に応じてくれたのは創業者で共同代表のひとりイェシカ・ヤーヌスさんです。

「Figuya」は、2011年末に創業。2014年に拠点をベルリンに移し、2016年に法人化しました。

日本のメーカーと直接やり取りすることの重要さをヤーヌスさんは、販売ライセンスの調整にあると語ります。アニメのグッズに関しては、そもそも海外での販売が許されていない仕様のものがあり、その見極めが重要だそうです。

そして、その次の課題となるのは、日本と欧州における販売要件の違いです。玩具の場合、例えばぬいぐるみをドイツで販売するためには、欧州の安全基準マーク「CEマーク」を取得する必要があります。

ただし、この認証ロゴの取得の必要性に関しては、必ずしもすべてのアニメグッズに共通するものではありません。例えば、「コレクション向け商品」と説明することで玩具向けの認証ロゴの取得を免れるケースもあるそうです。

また、日本メーカーとのやり取りを円滑に進めるために「Figuya」では、日本人スタッフを雇用したそうです。

以上が回答の概要となります。

このドイツ、ベルリンの「Figuya」の事例からどのようなことが読み取れるのでしょうか。考えてみたいと思います。

現地での輸入・販売要件を熟知し、日本のメーカーとも堅実に協業を推進する「Figuya」の経営戦略には日本のメーカーにとっても成功のヒントがあると思いました。

海外の見本市やイベントに出展する日本のメーカーは確かに多いです。ただ、「現地で大絶賛!」といった報告、報道を目にするたびに、筆者は出展は失敗したと判断しています。本来なら報告するべき成果は、現地の流通会社と契約し、商品やサービスを持続的に輸出することになった等々でしょう。反響だけを伝える「欧州の〇〇(国名)で大人気!」といった内容はむしろ日本国内の市場に向けた付加価値を作り出すマーケティングにしか思えません。輸出を志していたはずの目的はまさに本末転倒になったといえるでしょう。

海外の市場を攻略するなら、現地の流通会社とコラボする

このような姿勢が改めて求められているように感じました。読者の皆さんはどう思われますか?

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タイトル画像は「Figuya」のツイッター公式アカウント(@Figuchan)
から借用しました。


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