にやにやしながらゆっくりと、の夢(2022.10.2)

 自宅。夕食後。
 テレビでも見ながら家族団らんと、なれば良かったのだが。
 十歳くらいの男の子が、果物ナイフの先端を僕に向けて、にやにやしながら、ゆっくりと近付いてくる。どうやら僕の弟らしい。
 強い殺意は感じないので冗談のつもりなのかもしれないが、何にせよ刺されてはたまらない。なだめすかしながら、ナイフを奪う。
 そのとき少し、手を切ってしまった。痛みを感じつつ、ナイフは台所のシンクに放り込み、手の傷には絆創膏を貼った。
 弟は未練がましくシンクの縁に手を掛けて、ナイフを覗き込んでいる。台所から遠ざけるために、後ろから脇の下に手を入れ、抱え上げた。
 持ち上げてみて気付いたのだが、弟はやせ細っていた。簡単に折れてしまいそうな腕、これで頭の重さを支えらるのかと疑問に思うほどの首、あまりにも軽い体重。
 ひとまず隣の部屋に運んでドアを閉めた。
 母に、弟の異常なやせ方のこと、いつか殺されるのではという心配を話したのだが、聞き流された。
 何ともいえない気分でソファに座ると、小鳥が飛んできて手にとまった。大きさはコザクラインコくらいだが、まん丸い体で、全身の白い羽毛はふさふさしていた。

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