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HCD-Netセミナー『UXからサービスデザインへの変化とDX概論』受けての感想

はじめに

昨日のセミナーを受けて、ポイントをいくつか抜き出して、自分なりに考えたことを記録として残しておく。HCD-Netが開催するセミナーでいいのか?と思うくらい、攻めた内容だったと感じる。その分、UXデザイン信者にとって考え直すきっかけになるし、視座が上がったような気持ちにもなれた。

次の将来、社会はどう変わっていく?

みんなご存知、今はVUCAな時代だ。何か成功方法・事例が確定して取り組み始めるのでは遅く、試行錯誤しながら実務でやっていくしかない。
しかし、日本人の特徴・文化として海外と比べて下記の違いがある。

日本
→一番いいものをしっかり考え抜き、磨きをかけ成熟させるのが得意。
海外→トライ&エラーで新しいものをすぐに作り出すのが得意。

 新しいことを始めたときに、よく「事例は?」と聞かれる。もちろん事例を求めたくなる気持ちは分かるが、始めたばかりで試行錯誤している最中なのに、成功事例を聞こうとするのはなぜなのだろう。自分で考える気はないのか、成功事例をただ真似すれば自分も成功できると思っているのか。そういえば、『アフターデジタル2』でも日本人の事例頼りを指摘されていた。
 こんなことを言っておきながら、私自身も考える力が弱いと感じる。今までの義務教育で知識や正解をインプットすることしかしていなかったし、私自身も何も考えずに受け身で「そうなんだ」で止まっていた。いかに不確実な状態に耐えながら、考え続けられるか、そんな人材が重視される世の中になるのかなと思った。
 考えないと頭をきちんと使わないといけないと思い、読んだ本の中で個人的に『具体と抽象トレーニング』が一番参考になったのでおすすめだ。

日本の課題を解決するにはマインドも変えないといけないし、試行錯誤していく上で重要なことは ”多方面から見て仮説を立てる力” も身に付けていかないといけない。

 UXデザインをやっている方ならあるある、定性データだけしか見ていない人も多いのではないだろうか?私も時間がないときにやりがちだ。よくUXリサーチの書籍には「定性と定量データを組み合わせましょう」と書かれている。今はIoTなど全てがインターネットに繋がっている時代なので、更に「行動データ、fact(事実)データ」を収集しておくとより良い。1つの軸からだと真実は絶対見つからないそう。UXデザインという軸だけでは危険だという危機感を感じた。更にデザインは個人戦ではなく、チーム戦へと移り変わっている。私も早く社内のデータ分析チームやビジネス視点を持ったチームと繋がらないといけないと感じた。自分自身でももちろん身に付けるが、全てを1人でやるトップランナーは今の時代はいないそう。各自の専門性や多様性を活かして、チームとして会社として挑み続けたい。

UXデザイン、デザイン思考は時代遅れ?アート思考が次?

今のまま日本の視点で進もうとすると、グローバルな世界では考え方もステージもルールも実力も全く異なる。今までの延長で物事を考えてはいけない。

 そもそもUXデザイン・HCDは20年ほど前にできた考え方で、ここ数年バズワードになっている。昔からの考え方だと知っていたが、既に古い考え方であるという認識が足りていなかったように思う。いかにも最近できた、新しいものだと捉えている人も多いと感じる。
 もちろん古いからと言って不要なわけではない。ベースの考え方としてはもちろん必要で、全員が持っておくべき考え方には違わない。しかし、もっとその先を見据えた上で活用しないといけないと感じた。
 きっと詳しい人はデザイン思考の先はアート思考でしょ?と思うだろう。アート思考は上層部(経営、管理職)に必要で、デザイン思考は中下層部(実行部隊)に必要だそう。経営層には自分の価値観から今の時代に対応した会社のコア(個人的にはコアを名詞から動詞に変換できるといいのでは?と思っている。車屋→モノ人を移動させること。SIerだとシステム屋→モノことを作る?形にする?とか)を考え、ハイコンテクスト(日本は勝手に背景読み取れ感が強いが、それはNG。海外の映画やドラマでは直接的に詳しく背景を表現する。)に変換できて、ビジョン(自己理念)やパーパス(他者評価)を思い描けることが必要だそう。
 現状はデザイン思考を実践できるデザインシンカーの数が圧倒的に足りておらず、かつアート思考をできる上層部も少ない。デザイン思考に関しては各企業が大々的に教育したり、新しい組織を作ったりして進もうとしているのを感じるが、アート思考はどうなんだろうか?私はまだあまり聞いたことがないので、なるはやで取り組むポイントだとも思う。

ビジネス視点でUXデザイン考えるとは?サービスデザインへ

UXデザイン、デザイン思考の弱点とは、ビジネス、収益化に向いていないこと。ビジネスを仕組化を考慮できていないこと。

UXデザイン→ユーザを中心に、全体の体験を考える。サービス・コト作り、成長社会
サービスデザイン→ステークホルダー(地球、社会含めSDGsもポイント)、注力ポイントにのみ力を入れる。あるべき世界観を作る、脱成長社会

 会社として進めていく上では、ユーザだけに焦点を当てすぎても、ビジネスだけに焦点を当てすぎてもいけないと思う。両方のバランスを取るのが必要で、それができるのがサービスデザイン。いくらか前から勉強し始めた。おそらくUXデザインから入った人は必ず行きつく先だと思う。デザイン思考やUXデザインでは事業作れない…と悩んでいる人は一緒にサービスデザインに入ろう。

何を学んだら、やったらいいの?

 個人的にすごく安心する言葉があったので紹介する。安心して初心者もデザインやアートの世界に入ってきてくれると嬉しい。

UXデザインは0から学び始めた人の方が強い
UIデザイナーやビジュアルデザイナーから入った人は困ったときは自分が既に持っているもの(今までの成功体験)で対応しようとする。新しいことを学び始めるときに大変なのは、新しいことを覚えることではなく、今持っているものを0にするのが難しい

 上司や年配で、今までの思考から全く変わらない人は周りにいないだろうか?もちろん、年齢は関係ないが、今までの経験を成功したと思って、そこで満足している人は、成功体験を捨てれず、自分の経験の中で対応してしまうので変わらないそう。逆に、まだその先がある、自分はまだ成功していないと貪欲に考えている人は、いくつになっても変われるそう。
 私もエンジニアからUXデザイナーにキャリアチェンジしたので、0からのスタートだった。初心者ほど強いものはない!とポジティブにこの世界に入ってきてくれる人が増えると嬉しい。ただ、自分に対して注意なのが、UXデザインだけに囚われないこと。今後少しうまくいっても成功と認識しすぎないこと。常に視野を広く、自分が間違えていたら、いつでも変われるおばあちゃんになりたい。

 また、社内教育する側として、すごく勇気づけられた言葉を紹介して、つらつらと内容のない感想文を終わりにする。(常体で書くと偉そうになりました…)

社内教育は、素質のスクリーニング(審査、選考、ふるい分け)だと思えばいい

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