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Sanrio+で作り上げる顧客体験(CX)ファンに寄り添う「絆」づくり|セミナーレポート

2022年10月18日(火)に、株式会社サンリオの田口 歩氏(グローバル・デジタルマーケティング本部/CRM推進部 部長)をお迎えし、共催ウェビナー【「Sanrio+」で作り上げる顧客体験(CX)|ファンに寄り添う「絆」づくり】を実施しました!

サンリオが手がけるアプリ「Sanrio+(サンリオプラス)」の導入ストーリーから効果まで、盛り上がりをみせたパネルディスカッションをメインに、セミナーレポートとしてお届けします。


登壇者紹介


株式会社サンリオ
グローバル・デジタルマーケティング本部
CRM推進部 部長 田口 歩 氏

国際データ通信事業者のエンジニアとしてキャリアをスタート。インターネット黎明期にISP事業立ち上げに参画した後、外資系スタートアップにて動画ストリーミング、音楽配信事業の立ち上げを経験。その後、Webコンサルティングサービスを提供するイグジスト・インタラクティブ株式会社の代表取締役を経て、株式会社アイ・エム・ジェイの執行役員を歴任。2012年より株式会社サンリオにてオウンドメディアを統括。2020年にCDPを導入して全社共通ポイントサービス「Sanrio+」 を立ち上げ、現在は顧客データの活用とサービス強化を通じたサンリオファンとのエンゲージメント向上に注力。

プリズマティクス株式会社
シニアコンサルタント ⾦⼦ 傑 氏

2000年イオングループのミニストップに入社。システム部門にてECサイト、DWH、商品マスタ等のPMを担当。また同期間に社内留学制度にてMBA取得。2011年にマーケティング部門のマネージャー、2012年より九州営業部長として160店舗を統括。2015年より社長室長として中期経営計画を立案。翌年より、サービス・デジタル推進部長としてデジタル関連事業を管轄。2017年下期よりマーケティング部長、翌年より会長付として部門横断の課題解決やID-POS分析を担当。2018年11月クラスメソッドに参画。顧客情報統合基盤の『prismatix』を「Sanrio+」へ提供。

メグリ株式会社
プランナー 篠田 健吾

2014年 入社。受託開発を中心に行っていた頃からWebサイト・アプリの分析および企画を担当。『MGRe』のサービス開始後は営業担当として新規案件の提案業務に注力。現在は『MGRe』のプロダクト開発チームでプランニング担当として新機能の企画や改善検討に勤しむ日々。「Sanrio+」のアプリを制作。

「Sanrio+」とは

株式会社サンリオは、ハローキティなど世界中で愛される多くのキャラクターを生み出している企業です。サンリオピューロランドやハーモニーランドなどのテーマパーク事業をはじめ、グッズ販売や映画・音楽・出版事業を手がけています。

そんな株式会社サンリオがリリースした「Sanrio+(サンリオプラス)」とは、サンリオショップ・オンラインショップ・サンリオピューロランド/ハーモニーランドなど、サンリオ各所で使用可能な共通ポイントサービスのこと。「スマイル」と呼ばれるポイントを貯めることで、ギフトへの交換などができます。

Sanrio+の魅力は、随所から感じられるサンリオらしさ。「何よりもユーザーが楽しく使えて、ユーザーのことをよく知れるものにしたい」という想いから完成した共通ポイントサービスです。
そのため、Sanrio+の機能の一つである会員証は21種類のキャラクターから選べたり、電子スタンプがもらえるスタンプラリーに参加できたりと、サンリオらしさにあふれています。

会員証を21種類のキャラクターから選んで設定することができる。
■参考:サンリオ公式アプリ「Sanrio+」より

パネルディスカッション【「Sanrio+」導入後2年を振り返る】

本セミナーでは、リリースするまでの苦労や運用のポイントなど、Sanrio+導入にまつわるトークセッションを実施しました。

「Sanrio+」導入から2年、効果を生み出すまでの難所や苦労は?

⾦⼦さん「Sanrio+の導入から2年経ちましたが、一定の効果を生み出すまでの難所や苦労した点などありますか?」

田口さん「苦労した部分としては、Sanrio+の立ち上げがコロナ禍と重なりリリースを2回延期した点です。
加えて度重なる感染拡大や自粛要請もあって、お客様が店舗に来なくなっており、「来店」が鍵となるポイントシステムを使ってもらえるのかも不安でした。
しかし実際にリリースしてみると、初年度で約70万ダウンロードを記録することができました。」

金子さん「約半年で多くのダウンロードがあったと伺ったのを覚えています。」

田口さん「一方で、ポイント(=スマイル)の使い道が店舗での利用のみだったので、お客様からすると使えるところが少ないと感じるのではないかと思いました。
また、今回導入したCRMのコンセプトは顧客体験の向上です。
なので、お客様のエンゲージメントを高めるためのポイントサービスとは?というテーマをしっかりと考えることが課題でした。

そこで、初の試みとしてサンリオサンクスパーティー(※1)への申し込みをSanrio+を通して行う施策を実施することに。
手元にあるスマイルを使い、Sanrio+のクーポン機能を通してサンクスパーティーへの申し込みができる仕組みを整備しました。

しかし、先着申し込みとした結果、多くのトラフィックが集中しシステムがダウンする自体に…
大きな失敗となってしまったのですが、懲りずにその他のイベントにもこの施策を導入しました。

また、キャラクター大賞への投票にSanrio+を利用するという試みも実施しました。
Sanrio+にログインしたまま投票を行うと、お気に入りのキャラクターに複数票を投票できる、というものです。

このように、共通ポイントサービス導入の初年度は、ファンの方に喜んでもらえるようなサービスを、トライ&エラーを繰り返しながら地道に積み上げました
サンリオプラスの認知のため、色々と動いた年でしたね。

そして、2021年の夏に大きな山場を迎えました。
Sanrio+以前からあるサンリオフレンドシップクラブ(※2)で貯めたポイントは、Sanrio+に移行後、1年間で失効する仕組みにしたのです。

お客様によっては、Sanrio+リリースから1年後に多くのポイントを失う可能性が出てきてしまったため、反応がとても心配でした。

お客様に繰り返し何度もポイント失効のアナウンスを実施した結果、リリース以来、最大のポイント利用額を記録しました!

コロナ禍ということもあり、来店してポイントを利用してもらうのは難しいのではないか、という不安もありましたが、多くの方にSanrio+をご利用いただけたのを感じました。」

金子さん「環境が厳しいなか、トライ&エラーを重ねられたんですね。」

田口さん「そうですね。システムに関しては、プリズマさんにもメグリさんにも柔軟に対応いただき、本当に感謝しています。

フルスクラッチで仕様を切ってしまうと、融通がきかないため世の流れについていけないと思っていました。
パッケージとフルスクラッチのいいとこどりをした今のアプリは、本当にサンリオにマッチしていると感じています。」

顧客エンゲージメント向上の施策のひとつとしてスタンプラリーを実施。店舗やイベント会場に設置されているスタンプをスマホ画面に押すと、キャラクターの電子スタンプがもらえる。
■参考:サンリオ公式アプリ「Sanrio+」より

※1 サンリオサンクスパーティー:ファンに向けたイベントで、当選者は入場料とアトラクション利用料なしにサンリオピューロランドの利用が可能
※2 サンリオフレンドシップクラブ:Sanrio+の前身となるサンリオのポイントクラブ

「Sanrio+」導入で見えてきた顧客像・顧客行動とは?

⾦⼦さん「次に、Sanrio+導入で見えてきた顧客像・顧客行動について聞かせてください。」

田口さん「Sanrio+からイベント申し込みを行った会員のうち、実際にイベントに参加したユーザー・不参加だったユーザーを比較し、数字をもとに顧客接点ごとの分析を行ったんです。

そこで明らかになったのは、普段からピューロランドに行ったり店舗に行ったりしている人は、イベントの参加率が高いということでした。

同じSanrio+の会員なのにこの違いは何だ?と考えたときに、普段からリアルでアクションを取っているかがポイントだと実感しました。

そのため、小さなアクションを促す手段のひとつとがアプリで、ユーザーをアクティブにさせるための施策を打っていくことが重要だと感じています。」

⾦⼦さん「アプリを通した施策として、何かポイントはありますか?」

篠田さん「まずはアプリを使ってもらうということが重要で、普段からアプリの存在を意識しているユーザーはほとんどいないと思います。
プッシュ通知などを利用し、アプリの存在を意識してもらうのが大切です。

また、アフターコロナのポイントは、リアルな体験はオンラインと違う良さがあるとお客様に実感してもらうことです。

コロナ禍を経て、あらゆるイベントがオンライン化した今、いかにリアルな体験を提供し顧客ロイヤリティを高められるかが重要だと、他の企業様を見ていても感じます。」

⾦⼦さん「リアルとデジタルを行ったり来たりしてもらうのが大事になってきますよね。」

篠田さん「そうですね。購買にだけフォーカスして顧客体験を考えてしまうと、内容が薄いものになってしまう気がします。」

田口さん「今回のイベント申し込みのデータを見て、アプリを起動してもらうのは、店舗に来てもらうくらい重要なものだという仮説を持つことができました。」

「Sanrio+」導入で見えてきた今後の課題とは?

⾦⼦さん「何かSanrio+導入で見えてきた今後の課題はありますか?」

田口さん「やはりどうやってアプリの利用率を上げるか、KPIでいうとMAU数(※)を上げていくか、というのが最大の課題ですね。

さまざまなアプリからのプッシュが届くなか、最近はプッシュのメッセージを見ていない人もいると感じています。

メルマガもプッシュよりは開封率が高いのですが、決して多くの人に見てもらえているわけではありません。
こういった現状を踏まえ、どのようにアプリの利用率をあげていけるかが今後の課題です。」

⾦⼦さん「MAUをあげて利用率向上を狙っていく上で、何かアプリ運用面でのアドバイスはありますか?」

篠田さん「たしかにプッシュ通知は拒否されやすくなっています。そのため、送りすぎると嫌われてしまうのは事実です。

一方、お客様のメリットになる内容であれば、多少送りすぎても拒否されない傾向があるので、個人の興味関心に近い内容のプッシュを心がけることが重要だと感じます。

プッシュならではのお客様サービスを考えると、よいのではないでしょうか。」

田口さん「本当にこれはその通りだと感じています。お客様ごとに価値のあるお知らせを、プッシュを通して提供していけたらなと思いました。」

⾦⼦さん「そうですね。プッシュに加えて提供するコンテンツの整理なども、今後は必要になりそうですね。
加えて、ID統合に関してはどうでしょうか?」

田口さん「Sanrio+を立ち上げてすぐの時は、ECサイトの会員・ピューロランドの会員・Sanrio+の会員と別々にIDが存在し、システムを統合ではなく連携する形で運用をしていました。

これを、ECに関しては今年の8月にプリズマティクスさんの情報基盤で、Sanrio+と完全にIDを統合。

結果、ユーザーの情報が一元化されて行動が追いやすくなりました
ピューロランドの情報はまだ連携ベースなので、これもID統合を目指しています。連携だとユーザーにとって複数のシステムを使わなくてはならないので、カスタマーサポートコストが高くつきます。

しかし今回、ECとID統合を行ったことで、カスタマーサポートコストの低下にも繋がりました。

MAU:「Monthly Active Users」の略。1か月あたりのアクティブユーザー数のこと。

さいごに

ウェビナー視聴者に向けたメッセージ

⾦⼦さん「最後に、ウェビナーを視聴してくださっている皆さまに、何かメッセージなどあればよろしくお願いします。」

田口さん「システムを作る際、きっと様々なことに悩むと思います。
顧客変化のスピードが昔と比べて各段に早くなっている今、システム構築をしている最中に社会環境や顧客行動が大きく変わる可能性もゼロではありません。

そのため、システムの柔軟性×スピード感が、今後とても重要になってくると感じています

もし、システム構築を検討することがあれば、ぜひ柔軟性×スピード感というキーワードを思い出してみてください。」

「Sanrio+」から見えるMGReの柔軟性

サンリオらしさを何よりも大切にしている「Sanrio+」。
アプリのプラットフォームでありながらカスタマイズがしやすい点を、サンリオ様に高くご評価いただきました!

MGReは、15年の受諾開発の経験を活かし、お客様のやりたいことを柔軟に叶えたいという想いから生まれたサービスです。

高い技術力を武器に、これからも「Sanrio+」でサンリオらしさを出せるよう、引き続き伴走していきたいと思います!

プラットフォーム×カスタマイズのしやすさでアプリの高い柔軟性を実現。

まとめ

「Sanrio+」を通して、ファンに寄り添う絆を作るためにサンリオが取り組んだことや、導入秘話、今後の課題などを紹介しました。

今回のセミナー内容を、ぜひアプリ運用やシステム構築のヒントにしてみてくださいね。

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