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妄想短編:「零れる季節」

※もしも自分の作詞で短編小説が出来たらと妄想して書きました。
 何となく作詞の情景が浮かんで頂ければと。

妄想短編:「零れる季節」より

トラック1 秋風ハレルヤ


澄んだ空気が風に乗り、颯爽と秋空を駆ける季節。

晴れの日、家路の途中に子供の頃を思い出して、よく通っていた公園に足を運んだ。

広場から少し離れた所によく遊び場にして、隠していた場所がある。
落葉樹が落ち葉を敷き詰めている空間、強い風が吹くと波の飛沫のように枯葉が舞っていた。

久しぶりに来たら相変わらず落ち葉が山のように積もっていて、それ以外何もない場所だった、と思った。

落ち葉の山がむくりと跳ね上がり、中から出てきた、その人は大きく背伸びをして、「あー寝てた。」と言い、あっけらとしている僕を見て、「見たな少年。」と笑った君。

何もないと思っていた。

返そうとした言葉の前に、その日一番の秋風が吹いた。上昇して二人を巻き込み青空へ高く舞い上がる。山ほど落ちていた紅葉が鮮やかに散って、
晴れた空を埋めていった。

晴れ時々落ちてくる空。秋の空の下で出会った君の顔や髪に、紅葉が混ざった姿を憶えている。




サポートをして頂くと有頂天の気分になって、心躍る作品を作りたいと思います。