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オリジナル書体製作 [フォントデザイン] その1

職場を退職した後、少し時間ができたので今までやってみたかったけれど、時間がなくできなかった書体のデザインに挑戦してみました。常々、ローマン体の書体はオーセンティックなフォルムが多く、もちろんそれは美しいのだけど意外と使いどころが限られてしまうなぁと思っていました。ローマン体というのはセリフという文字につく飾りがある書体です。画像で言うと上のGaramondなどです。一方、セリフのない書体はサンセリフといい下のHelveticaなどが特に有名です。

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見ていただくとわかると思うのですが、サンセリフの書体に比べ有機的なカーブが多く、それが魅力であるのですが、自分としてはもう少し整ったモダンなフォルムの書体を使いたいシーンが多く、なら自分でつくってみようというのが今回の書体製作の動機です。今回はこのGaramondを基により洗練され、いろいろなシーンで使いやすい書体も目指して作成しました。アプリケーションはGlyphsを使っています。


どう変化させていったか

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これが参考にした基の書体のGaramondです。よくみると直線のようで直線でなかったり、セリフ部分も法則がありそうでない感じが結構気になります。なのでこれらをできるだけ決まりをつくって整えていきます。

そうしてできた「m」がこちら

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バランスなどを見ながら必ずしもすべて統一してるわけではないのですが、できるだけフォルムに共通性を出して形状の統一感を出しています。こうすることで基の書体とは違う魅力があるような気がしませんか?二つの書体を重ねてみると…

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いかがでしょう?基のフォルムをベースにしながらより洗練した形になったのではないかと思っています。セリフのぷっくりとした丸みがカッチリとした形の中である種のかわいらしさの表現になっているかなと。このルールでAtoZ、数字をつくったのが下の画像です。一つひとつのフォルムを整えているのもそうなのですが全体として書体のサイズに幅が出すぎないように、ということを心掛けています(フォルムが狭い書体は広く、広い書体は狭く、しています)。

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上が元の書体、下が今回製作した書体です。こう見ると微妙な差ではあるのですが、元のものよりモダンな印象になったかと思います。ちょっとマニアックなのですが元の書体よりxハイト(小文字の高さ)を高くしています=小文字を少し大きくしています。これは個人的な気づきだったのですが、一つひとつのフォルムを整えても意外とモダンな印象に近づかなく、いろいろいじっている中でxハイトを大きくすると一気に雰囲気が変わりました。この一気にパッと変わる瞬間、デザインやってて気持ちいい瞬間です。デザイナーのみなさん、わかりますよね?

それでは最後にいくつか例文を…。

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このTHE QUICK BROWN FOX JUMPS OVER THE LAZY DOG.というのはアルファベットAtoZがすべて使われてるということで定番の例文です。

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ルイスキャロルの鏡の国のアリス第1章。

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namecard_01_アートボード 1 のコピー

自分の名刺でも使っています(しかし、こちらまだ未完成のものので、例のxハイトが低いままのものです。)

書体を作っていて面白かったのが、自分で形状をデザインしているはずなのに正解の形はすでにその数値上の空間に存在していて、それを選ばされているような感覚におそわれたことでした。まだまだ自分の知らない世界や感覚が存在しているのだなぁ、と。もっと精進せねばと思う瞬間です。

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グラフィックデザイナー / アートディレクター 2019年よりフリーランスのデザイナーとして活動開始。音楽や映画、ビールが好きです。 [WEB] https://www.saitoshunsuke.com
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