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わかりやすいテキストってなんだろう?・1

まず最初に「わかりやすい」という構造についてお話ししますね。

 「わかる」というのはどういうことだと思いますか?

 全く何も知らないところから、新しいものをイメージすることはとても難しいものです。
多くの場合、人は自分の頭の中で知っている情報と情報をつなぎ合わせ「これは知らなかった」という情報を認識するという仕組みになってます。

 例えば……パソコンやスマホに触れたことがない人に、ホームページを説明するとします。ある人は「パソコンで読む雑誌のようなもの」というかもしれません。またある人は「文字で読むテレビ番組のようなもの」というかもしれません。その時、説明する側は「この人は新聞なら読んだことがあるだろう」「テレビ番組なら観たことがあるだろう」と想像して例えに出しているわけです。新聞もテレビも知らない人がいたら……説明はもっと大変なことになってしまいます。これを、ちょっとカッコつけた物言いで「読む側の情報リテラシーに合わせる」とか言うことがありますね。とにかく相手が知っている言葉で説明する。それで相手が「ホームページ」を想像してくれるようになったら、次からはストレートに「ホームページを作るには……」と説明することができるわけです。

 文章も同じことです。
 専門家同士が文章で情報を伝えあうとき、専門用語を使った方が情報が正確に伝わりやすいと言うことはありますが、専門的な情報を一般に向けて解説するときには、専門家以外でもわかる言葉で補ってあげなければ理解できません。10歳の子どもに読んで欲しい文章であれば、10歳の子どもが知っている言葉で書かなくてはいけません。とにかく、伝える相手にわかる言葉を使うことが大事です。

「わかる」ということは、新しい情報を得るための素になる情報が、その人の頭の中にあることが前提です。そして、それを組み立てて、新しい情報にしてあげれば良いわけです。基本の基本なので、面倒くさい話をしてしまいましたが、「わかりやすい文章」を書くためには、まず「わかる」とはどういうことか?を頭の中で整理しておきたかったのです。普段「『わかる』ってどういうこと?」なんて考えることはないんだから、たまには意識してみるのも良いことです。

 さて、「わかる」という仕組みを知った上だと「わかりやすい文章」がどういうものか、説明がしやすくなりますし、読んでいる方理解しやすくなっているはずです。

「わかりやすい文章」というのは、読んだ人が、頭の中にある知識を引き出しやすい道筋がある、ということです。難しく考えなくても、世の中にある本や、雑誌を読めば、大体の文章はそうなっているはずなので、参考になるものは山ほどあります。
 例えばインドカレーの作り方というレシピサイトを想像してみてください。使われている単語に意味のわからない単語はありますか?。

【材料】
  玉ねぎ 2個
  にんにく 1片
  しょうが 1片
  トマト 1個
  鶏肉  200g
  塩 大さじ1
  ヨーグルト 大さじ2
  クミン 大さじ1
  ターメリック 大さじ1
  コリアンダー 大さじ1

あ!もしかしたら人によっては「馴染みのないスパイスの名前が出てくるな」と思われるかもしれませんが、これはレシピサイトを読む人ならなんとなく聞いたことのありそうなものとして書いてあるわけです。もちろん子供向けの絵本だったら出てこない単語ではありますね。ここは、情報リテラシーを読者に合わせてあるということなんですね。
 次に何が書いてあるでしょう

【作り方】
  1・玉ねぎ2個をみじん切りに。
    フライパンに大さじ2のサラダ油をひいて、
    あめ色になるまで強火で炒める。
  2・みじん切りにしたトマトを入れて、潰しながら約10分間炒める。
  3・クミン大さじ1。ターメリック大さじ1。コリアンダー大さじ1、
    を入れて2〜3分炒め、塩大さじ1を入れ味を整える。
  4・一口大に切った鶏肉を入れて15分煮込む。
  5・火を止めてヨーグルト大さじ2を混ぜ合わせる。

 ほとんど箇条書きに近いですが、レシピだったら大体こんな感じです。レシピサイトを読む人なら分からないような言葉は入っていないはずです。また「材料」と「作り方」という感じの見出しをつけて、レピピサイトを読み慣れた人ならどこに何が書いてあるかわかるように整理されています。作り方の順番に番号を振っているのも同じ理由です。レシピサイトの場合は大体スタイルが決まっているので、文章を書き慣れない人でも料理の作り方さえ知っていれば苦労することなく書くことができそうですね。

では、同じようにニュース記事の場合も検証していきましょう!。

「わかりやすいテキストってなんだろう?・2」に続く

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