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「カスタマージャーニー」「ペルソナ」で里親を増やす政策を考えてみよう


みなさん、こんにちは!藤井史帆(埼玉県庁で働く公務員)です。
前回は、民間企業のビジネススキームを行政の仕事にどうやって取り入れていけるかということを書かせていただきましたが、今回は、「ペルソナ」という概念についてです。

私達行政は、施策を作るときについ、全ての住民を施策の対象として考えてしまいがちですが、中にはターゲットを絞った方が効果が出る施策もあります。
そんな事例として児童相談所の養育里親を増やす方法について、SPIのメンバーがマーケティング手法を使って考えた時のことを書いてみます。

里親を増やす方法は、みんな頭を悩ませている

SPIには公務員や民間の色々なメンバーがいて、各々が相談したいこと、話してみたいことを持ち込んで、他のメンバーと話し合うことがあります。
この時は、児童相談所で働いているメンバーが、日頃から考えている悩みとして、「里親を増やすいい方法って何かないかな」と言い出したのがきっかけで、みんなで考えてみました。

児童相談所と言えば、虐待など様々な理由で家庭で生活をすることが難しくなった子どもを保護しているというイメージですが、そうした事情の子どもを家庭で育てる養育里親になってくれる人を見つけたり、育成するということもやっています。
でも、養育里親になってくれる人を見つけるのはなかなか難しく、埼玉県でも養育里親を増やす方法について頭を悩ましているとのことです。

どうしたら、養育里親は増やせるのだろう??

地域課題を解決するために、市民に協力してもらうという施策がありますが、協力の負担に見合った報酬を払うというよりは、熱意を持った方を見つけて、その人達を支援するというケースが多いかと思います。

養育里親についても同様ですが、養育里親という制度を知ってもらって、さらに申込という行動に移してもらうまでには、ハードルが高そうです。(子どもを預かるのですから、当然ですよね。)
養育里親を増やすためには、どのような施策が効果的なのでしょうか。

児童相談所では、これまでも養育里親を募集するポスターの掲示や里親制度を紹介する説明会を開催しているものの、なかなか思うように増えないとうのが現状とのことでした。

養育里親は、さきほど書いたように、制度を知ってもらって相応の対価を払えば、誰でもなってくれるというものではないので、「どうしたら里親を増やせるのかな?」ということを考えるためには、「どんな人が里親になるの?」「その人達はどういうきっかけで里親をはじめるの?」ということを調べてみないとわからないという話の中で、民間のメンバーが教えてくれたのが「ペルソナ」という概念でした。

ターゲットを理解するための「ペルソナ」とは

私もこの勉強会で初めて「ペルソナ」について知ったのですが、どういうものかと言うと、

・商品やサービスの典型的で象徴的なユーザー像のこと。
・特定の人物像を思い浮かべて、それを一般化してターゲットの心情を理解するもの。
・年齢・性別・住んでいる地域・家族構成などの基本的な項目から、職業・年収などの働いている環境、趣味・価値観などのプライベートな部分まで詳細に設定し、実在する人物のように仮説することによって、戦略の方向性や具体的な施策を立てやすくする。

というもので、「ペルソナ」を作り、里親になってくれる人のイメージ(人物像)を明らかにすることによって、里親に関心を持って、申し込んでもらうためには、どのような広報、支援策を用意すればいいのかが考えやすくなります。
ただし、分析を単純化するために作るものであって、一人の事例をもって特定の集団にレッテルを貼ったり、特徴を一般化しようとするものではないことに注意する必要があります。

今回作ったペルソナ

 今回はこんな作ったペルソナ(この人に響かせたいという人物像)を作ってみました。

(属性)
・年齢としては30~50台の女性
・仕事をしていても時間的に融通が利く
・地元非出身者だが、今住んでいるところでは友人を多く作っている
・バイタリティがある
・特別経済的に裕福ではないが困窮もしていない
(考え方)
・本人としては学歴や経歴を重要視していない
・子どもとの生活は、楽しいと思える
・優しいだけでもなくあえて厳しく接することも必要と思っている


ここまで想像を作りこんでゆくにあたり、今回は児童相談所のメンバーに、これまで養育里親になってくれた人がどのような人だったかを思い出してもらい、他のメンバーからも養育里親になってくれる人の特徴について質問しながら、イメージを作っていきました。

メンバーそれぞれが異なるバックグラウンドを持ち、養育里親のことを初めて知った人も多かったので、このように、施策の対象の「ペルソナ」を作って、深く分析することは、市民に訴え、行動を促す施策においては、有効かもと思いました。

でも、「ペルソナ」を作ることによって、里親になってくれる人の人物像(イメージ)ができましたが、そのような人物像の人に対し、どのようなアプローチをすれば、里親になってくれるのでしょうか。


ピッコロさん

ピッコロさん

画像は「ドラゴンボール超」のサイトより引用

余談ですがこれらの特徴を誰かに例えられる人物像があった方がイメージしやすいということで、誰だろう?と設定してみました。多くの人でペルソナを共有する際はイメージしやすいキャラクターを置いてみると皆のイメージが一致しやすくなると思います。
そう考えていたら、メンバーの一人がつぶやいたのは、「これって、ドラゴンボールのピッコロさん?」(正直、私にはあまりピンと来ませんでしたが、メンバー(特に男性)は、その後しばらくピッコロさんトークで盛り上がっていました^_^;厳しくも優しく育ててくれる人物像ってことだったんですね!)


次回は、「ペルソナ」を使って、具体的なアプローチ方法を考える手法「カスタマージャーニーマップ」について書いてみたいと思います。
最後まで読んでくれて、ありがとうございます。次回もお読みいただけると嬉しいです(^^)


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