ボクサーの左右差と背中の痛み
ボクサーの方へオステオパシー施術を行いました。
主な訴えは右の背中の痛みで、身体を前にかがませると痛みが出るようでした。
痛みは数週間ほど引かず、かがむと痛むので練習がちゃんとできず(ボクシングは体幹屈曲動作が多い)困っているようで、
問診してみるとどうやらきっかけは、自分よりもウェイトが重い選手とスパーリングしているとき、ガードの上から顔面を叩かれたことのようでした。
トップの画像は本人のものですが、かなり強く歪みが生じているのが分かります。(許可をいただけたので、最後に施術前後の写真を載せておきます)
検査をしてみると屈曲で痛みは強く出ますが、最初の姿勢の状態では特に痛みは起きませんので、痛みからの回避行動として歪んでいるわけではなさそうでした。
痛み自体は脊柱を屈曲していくとある一定の場所で痛みだし、さらに回旋を加えると増悪します。
おそらく脊柱の横突起のあたりが引っかかっているようで、肩甲骨のポジションも良くないのは首の問題もあるようです。
首の影響は仙腸関節に影響を及ぼすことがあるとオステオパシーでは考えますので、骨盤なども検査しましましたが今回はそこまでではなく、
肋骨もアヤシイですがこれも今回は特に引っかかりませんでした。
ちなみに首や頭の調整を行うときは、全体的なバランスを取らないと反応が強く起きてしまうこともありますので、それを込みで全身調整をしていきます。
施術後だいぶ姿勢がスッキリしましたが、まだ首の歪みと体幹屈曲したときの痛みがやや残ります。
再検査をしてみると、今回のキーは頸板上筋のようでした。その上部のマニュピレーションをし、
さらにピラティスのスワンをゆっくり慎重に指導し何回か行ってもらいます。
首の歪みと体幹屈曲したときの痛みはまだ残るものの先ほどよりも改善したので、ここでスワンを宿題にして様子を見てもらうことにします。
ちなみにスワンを取り入れたのは、再検査をした時に、身体のエロンゲーションが機能すると、腹圧がより適正化され、脊柱が減圧され、
椎間関節のコンディションが良くなり、頸板上筋が “ ラク ” できて痛みの緩和につながったからです。
後日、話を伺うと初回の術後2~3日でほぼ痛みが消失したとのことで、だいぶ調子が良いようでした。オプションでボクシングの動きがやりやすいような調整もしておきました。
(※追記:「上体はかなり柔らかくなり、右のパンチの力が乗るようになった」、と連絡がありました。これにももちろん理由があります)
私はパーソナルトレーナーでもあるので、オステオパシー施術だけではなくボクサーなどの格闘家のフィジカルトレーニングを指導する機会があります。
格闘技は非常に強いコンタクトスポーツであると同時に、高強度の運動かつ、左右差のある運動です。
ですので左右差はあるべきなのですが、この左右差を活かすために必要なら左右差を整える必要もあります。
その人の培って育ててきた感覚や動作やリズムと、
もともとの身体がどこまでリンクしているか?
どこまで身体が壊れずに感覚について来られるか?
という面もフィジカルトレーニングの重要な要素であり、かつ、日ごろのケアが生きてくる面でもあります。
このあたりはまた別の機会に書ければと思います。
最後に施術前後の写真を載せます。
今回は視覚的に分かりやすい事例だと思いますが、なんでもかんでも無理やりまっすぐにするのではなくて、
大切なのは「その身体がきちんと機能しているか?」と、繰り返しですが日々のケアです。
ケアの量や頻度はその人の身体の特徴や行っている競技でも変わってきます。
興味のある方やピンときた方は、ぜひオステオパシーやコンディショニングトレーニングを受けてみましょう。
施術前
↓
施術後
↓
細かい修正とスワン後
染谷 清行
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?