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病理的なフライエットの法則


前回のブログ 脊椎の生理的運動 ~フライエットの法則~ で、タイプ1・タイプ2・タイプ3のお話をしました。


今回はもう少し詳しくこれらのことを考えていきたいと思います。


まずフライエットの法則を簡単におさらいをしますと、脊椎の動きにおいて、

タイプ1は、脊椎が中立位の時に、側屈と逆側回旋を起こす

タイプ2は、脊椎が非中立位の時に、回旋と同側側屈を起こす

タイプ3は、脊椎の運動面が加わる毎に、可動性が低下する

と考えるものでした。


これは脊椎の関節面の構造で考えられる、生理的(=自然)な動きです。


身体のさまざまな動作の中でこの動きが働き、私たちは活動をしています。


脊椎に限った話ではありませんが、何らかの要因でこの生理的な機能が妨げられる時があり、それを私たちは病理的な変化と考えます。


つまり、「生理的な機能が妨げられる = 自然な動きができなくなる = 病理的な動きになる = 障害や痛みになる」という考え方です。


(ちなみに、「なにを持って生理的、病理的なのか?」というテーマは非常に深いものだと思います。しかし今は単純に、機能障害を起こしている要素=病理的として話を進めていきます。)


フライエットの法則も他の生理的な機能と同じで、どんなことがあっても絶対に生理的に働く!というわけではなく、生理的な動きが妨げられ病理的な動きになることがあります。


この病理的な動きとは「脊椎が動いて行ったとき、24個ある脊椎椎骨の中で動いて行ったまま、元に戻って来られないものが生じてしまった」という状態です。


このことをタイプ2で例えると、

「身体がまっすぐの状態(椎骨は24個とも前を向いている)で立っている」↓
「身体を傾けて、右回旋右側屈をした」

「身体をまっすぐの状態に戻した」

「腰椎の3番だけ、右回旋右側屈のままで引っかかってしまって戻ってこられない」

というようなイメージです。


(まるで木に登ったのは良いけど降りられなくなった猫のようですね……少し違うか笑)


タイプ2の機能障害を起こす原因は様々ですが、タイプ2は通常、単分節で起こしやすいといわれています。


そしてタイプ1の病理的な変化は、このタイプ2の病変を起こして上手く動けなくなった身体の「補正」の機能として、タイプ2より上の分節を連ならせて起こすことが多いとオステオパシーでは考えられています。


ではこの病理的な状態のタイプ1とタイプ2の脊柱に、タイプ3の原則を当てはめるとどうなるでしょうか?


身体をまっすぐにしているつもりでも、すでにこの脊柱は病理的なフライエットの法則によって運動面を使ってしまっています。


すると運動面を使っているつもりがなくてもタイプ3の原理が働いてしまい、筋や靭帯の要素ではなく動きの要素によって通常以下の可動域になり、さらにタイプ1とタイプ2の特徴により側屈と回旋が捻じれます。


つまり、病理的なフライエットの法則=脊柱のゆがみによって、身体の動きや可動域が制限されて脊椎の可動性は不自由になってしまっている、ともいえるでしょう。


このような身体の動きは、脊椎のエクササイズを行う方や指導をしている方は、思い当たることがあるかもしれません。


もし身体に窮屈さやシブさを感じているのなら、病理的なフライエットの法則が潜んでいるかもしれません。


このあたりに関してはオステオパシーでも、運動領域のオステオパシーでも、詳しく書いていきたいテーマでもあります。



染谷 清行

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