豊岡演劇祭2022を終えて

豊岡演劇祭2022が終了しました。
同時に、最多観劇プロジェクトも終了しました。

演劇祭が終了して翌日は変な感覚に襲われていました。11日間の観劇等を通して日常とは異なる空間・世界観に多くの時間身を置いてたからでしょうか、演劇祭が終わり、翌日は海外旅行から帰ってきたときの状態に近いような、普段過ごしていた日常の生活に体が馴染んでいない感覚でした。
ようやく元の生活に体が馴染んできています。

最多観劇プロジェクトの企画が行った理由はいろいろありますが、ひたすら数や量だけを求めて観劇した先に自分に何が起きるのか(何も起きない可能性も含めて)に興味がありました。もちろん、たくさん観劇をすることが正しいとも思っていませんが、観客としての1つの楽しみ方かなとは思っています。
そして、演劇祭が演劇祭が始まる前と比べて、自分自身に少なからず変化があったなあと感じています。これはあくまで感覚であるので、言語化するのが難しくて、この変化の感覚を100%他者に伝えることはできないと思うのですが、自分なりに言語化できる範囲で伝えてみたいと思います。

今まで書いてなかった気もするのですが、豊岡市に移住するまでの27年間に演劇を見た回数は片手で数える程度で(しかも自分が好きな俳優が出てる作品と自分が好きな小説の作品)、豊岡に来てから江原河畔劇場と城崎国際アートセンターでの観劇をときどき見に行くようになった程度で、こんなにたくさん観劇をしたのは今回が初めてでした。

以下で、自分に起きた変化についての気づき・考察を3点に分けて書いてみました。結構思うままに書いたので、話が飛んでたり、分かりにくかったりしているように感じられたらすみません。

①最多観劇プロジェクトを通して、ひたすら数だけを求めたことによって、結果としてたくさんの作品に出会うことになりました。さまざまな作品の形、いわゆるさまざまな表現方法・創作方法があるというのは、当たり前のことなのですが、実際にさまざまな作品を自分の目で見たことによって、作品それぞれに異なる形があるということを体をもって実感できた気がします。そして、さまざまな形の作品が僕にいろんな感情・感覚を抱かせてくれました。おもしろいと思う作品もあれば、よくわからない作品もあるし、心にとても印象が残る作品があれば、ぼーっとしながら見ていた作品もありました。あくまで、これらは感情・感覚の一例です。ここで伝えたいのは、自分にとっておもしろいから良い作品、よくわからないから悪い作品という意味ではなく、さまざま作品の形があって、それぞれの作品によって僕自身がさまざまな感情・感覚を持ったということです。
そして、1つの作品をとってみても、その感想は人さまざまということでした。僕にとって印象的な作品は、ある人にとっては全くわからなかったり、ある人にとっておもしろかった作品が、僕にはあんまり響いてなかったりなどなどということがありました。
またまた当たり前のことではあるのですが、さまざまな表現方法・創作方法があるということ、1つの作品に対してその感じ方は人それぞれであることを実感して、(普段から極力心がけるようにはしていますが)自分と異なる考え方や意見、価値観などをより受け止められるようになったり、なぜそう思うのか・考えるのかといった自分と異なるものの背景等により考えるようになったりした気がします。少しばかり他者に対して優しくなった気がします。(気のせいかもしれません)

②上記の1点目に関連していることでもあるのですが、たくさんの作品に出会い、いろんな形があるということを感じてなのか、演劇祭中盤くらいの時期ぐらいから今も、何か自分も創作をしてみたい、何か自分も創作をできるんじゃないのかなと思うようになりました。どういう形かはわからないですが、いわゆる謎の創作意欲が湧いてきたということです。芸術作品を簡単に作れると思っているとかではなくて、様々な形の作品に出会ったことで、こういう作品の形もあるんだなと感じたことからというのか、自分なりの何かを創作できるんじゃないのか、創作してみたいという思いが出てきているのです。創作活動って、ある種の特殊な人だけが行うもので、自分にとっては遠いものという感覚があったのですが、誰でもしていいものだし、できるものじゃないのかなという感覚になってきています。
これは、今回のプロジェクトを通して、いろんなアーティストの方や劇団の方などとお話しさせていただくことが多かったのもあるかと思います。アーティストや創作活動をする人が自分とは異なる世界にいる人というイメージ(今となっては偏見でしかないのですが)があったのですが、実際に話してみて同じ世界で生きている人間なんだなというのか、身近に感じるようになりました。

③数年前に海外文学を毎月10冊ほど3-4ヶ月読んでた時期があり、読み始めた前と3-4ヶ月後で、自分の価値観・考え方が変化したなあと(この世の中を生きていく上にはよりタフになったような)実感したときがあったのですが、今回の最多観劇プロジェクトの開始前・終了後の状態がそのときと近い状態だなあと感じています。これは僕だけに起きたことかもしれず、万人に共通して起きるかはわからないのですが、文学や演劇などたくさんの物語に触れることは、人の価値観・考え方にプラスの変化・影響を与えるのではないのかと個人的に考察しています。その変化・影響は、短期間にたくさんの物語に触れると、自分がより実感しやすい形で現れるかもしれません。(実際に試されてみて、何の変化・影響もなかったらすみません)

最後になりますが、本企画を応援いただいた方々、面白がってくださった方々、サポートいただいた方々、ありがとうございました。特に、豊岡演劇祭2022に参加いただいた団体・アーティストの多くの方々に応援いただいたり、面白がってくださったりしたのは、とてもうれしかったです。
そして、豊岡演劇祭2022に参加いただいた団体・アーティストの方々に、それぞれの作品を通して、少なからず僕の何か(うまく言葉には表せないですが、価値観・人生観のような)にいい意味で変化を与えていただいたと思います。本当にありがとうございました。

これにて、豊岡演劇祭2022最多観劇プロジェクト終了です。


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