見出し画像

如何賞・2020年8月|受賞作発表

如何賞(いかん-)は、物書きVtuberの如何屋サイとが、作家応援を兼ねて、個人的に推したいと思った作品(主にweb小説など)を選定しました。
あくまで独断のため、こちらから作者に連絡することはありません。

如何賞は毎月1日に発表されます。
賞金はありません。

期間
2020年8月1日~8月31日に読んだ作品

(7月は純粋に推したい作品がありませんでした)

2020年8月期の如何賞・受賞作

倒した生物の力を吸収できる世界に転移したら、時間差で移ってきた空港が始祖的なのにぶち当たり初日でえげつない能力を得てからの、泥状のギギルコンと

作・がら がらんどう

如何屋サイと評|ドライな文体が難解な世界を支える

はじめに断っておくと、4話まで凡作。
だけど4話から天才だと思った。
なんていうか「俺には書けねぇ」と思わせるものがあった。

それは気が利いた人間ドラマだ。
登場人物は人間じみているが、同時にキャラクター性を持つ。
「実際こんなやつ居ないだろ」と「居たらおもしろそうだな」が同居する。

このバランス感覚の部分、作者にはズバ抜けて才能があると思う。

もちろん全てが優れているわけじゃない。
導入3話の展開は不親切だし、何よりタイトルが意味不明すぎる。
荒井小豆さんに紹介されなかったら一生読まなかった。

でも、導入の不親切さも題名の意味不明さも、後になって「良い」と解る。
人間じみた登場人物、ドライな文体、独自性が強い世界観だ。
これらも絶妙にミックスされている。

設定が分かりづらい異世界だが、これが謎を作り出している。
森見登美彦の『熱帯』と意味合い的には近い。
しかし、『ギギルコン』は突き放したようなドライな文体で作風が違う。

この突き放した感覚は石黒正数の『それでも町は廻っている』に似ている。
作品に共通点は特に無いんだけど、読了感が、ね。
それを敢えて形容するなら「ドライ」だろうか。

たぶん作者自身が元から持つ資質な気がする。
マネしようとしてもマネできないから嫉妬はしないが、やっぱりこう思う。
俺には書けねぇ、と。

作品リンク

https://ncode.syosetu.com/n8542ga/

ノミネート作品

毎月20~30作品ほど作品を読んでいます。
こちらもオススメなのでぜひ読んでみてください。

天地妄創 ~天女が綴る異世界奇譚~

作・武石雄由

紹介:メタフィクション百合SFという新しい風
評:海洋中華を舞台に明朗快活なチャイナ少女とミステリアスな金髪碧眼少女が活躍する小説。投稿ジャンルはハイファンタジーだが、正直カテエラだと思う。これは百合SFだ。あと、筒井康隆が好きならこの作品も好きになれるだろう。00年代のロボットアニメが好きな人もたぶんハマる。

https://ncode.syosetu.com/n3929gh/


彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大芸術家や」

作・2chスレ

紹介:アウグスト・クビツェクとか言うぐう聖に見えてただの友情のお話
評:『アドルフ・ヒトラーの青春―親友クビツェクの回想と証言』をベースにおんJ文学としてまとめた一作。難しい本の内容を要約し、ストーリーラインを整理してやきう民SS仕立てに仕上げたイッチに脱帽や。クビツェク君は永遠にアドルフの親友だったんやなぁ。泣けるで……

(まとめスレやYouTubeがいっぱいあるので題名で検索してください)

この記事が参加している募集

読書感想文