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【連載】『君と夏が、鉄塔の上』

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『君と夏が、鉄塔の上』著:賽助  の連載です。 ~あらすじ~ 鉄塔マニアの地味な伊達(だて)は中学3年生の夏休みをダラダラすごしていた。 しかし登校日の学校で、破天荒な同級生、… もっと読む
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記事一覧

【最終回】君と夏が、鉄塔の上

 たった一つしか取り柄のない僕だから、とにかくひたすらに頭の中を叩く。  僕と帆月を繋ぐ…

【84】君と夏が、鉄塔の上

「やあ」  出来るだけ明るく挨拶をしたのだけれど、帆月から返事が来ない。 「比奈山の家も…

【83】君と夏が、鉄塔の上

 やって来たのは比奈山で、比奈山は鉄塔を見上げたあと、ぐるりと公園を見渡した。 「また一…

【82】君と夏が、鉄塔の上

 僕は一歩、帆月へ近づく。  帆月は唇を噛み、身構える。  そこへ、スッと一人の男が近寄…

【81】君と夏が、鉄塔の上

 その集団は誰もが浴衣姿で、自転車の接近に気が付いたのか、一斉に振り返った。どの顔にも兎…

【80】君と夏が、鉄塔の上

 自転車は地面とほぼ水平に、確実に空を飛んでいて、送電線と並走している。もうすぐ川に差し…

【79】君と夏が、鉄塔の上

「椚彦、しっかり掴まっててよ。僕の命は君が握ってるんだから」  背中にそう声を掛けると、首元にギュッと反応が返って来た。 「行こう!」  僕はとにかく恐怖を振り払うために、大声で叫んだ。 「よし!」比奈山も声を絞る。 「……二人とも、自転車を押してくれ!」  僕は大声で叫んだ。「自分からじゃ漕ぎ出せないんだ!」 「格好悪いなあ」  ヤナハラミツルが笑った。 「伊達、これ持ってろ」  比奈山はそう言うと自分のお守りを外し、僕の首にぶら下げた。 「これ……?

【78】君と夏が、鉄塔の上

 ヤナハラミツルが持っていた鍵を使い、工事用のエレベーターで屋上に上がった。  屋上には…

【77】君と夏が、鉄塔の上

「どういうことだ?」比奈山が首を傾げる。  どんなに目を凝らしてみても、送電線の間にあっ…

【76】君と夏が、鉄塔の上

 比奈山は鉄塔の天辺を見上げ、それから僕に言った。 「場所を変えよう。こっちだ」  そう…

【75】君と夏が、鉄塔の上

 どちらが上下か分からない。それでも僕は無我夢中でもがいた。  ようやく水面へ顔を出すと…

【74】君と夏が、鉄塔の上

「……これで終わりかな」帆月は立ち上がり、前後を見渡した。 「そうかも」 「あそこ、集ま…

【73】君と夏が、鉄塔の上

「みんな、忘れられるために歩いてるの」 「忘れられるって、どういうこと?」  彼女の顔は…

【72】君と夏が、鉄塔の上

「川に流すって、言ってたよね……」 「え?」 「調神社で、お面の人たちが言ってた。川を流し、海に返すって」 「そう言われれば……」  そうだったかも知れない。僕はあまりにも慌てていたから、ほとんど覚えていなかった。 「すべて忘れる……記憶……」  帆月は後ろを振り返った。  物の列は94号鉄塔を乗り越え、93号鉄塔へ向かう送電線をゆっくりと歩いてくる。 「あれは、記憶なの? 物の記憶?」  帆月が小さな声でそう呟いた。 「え? どういう意味?」 「古くな