セゾン投信 相談室のツブヤキ第22回【財政検証で未来を予測!あなただけの資産形成プランを作ろう】
いつも相談室のツブヤキをお読みいただいてありがとうございます。セゾン投信顧客本位の相談室、ファイナンシャルプランナーの黒須かおりです。
9月も中旬を過ぎ、今年も残り3ヶ月強になりました。この時期になると、なんだが気持ちが焦るのは私だけでしょうか?
1年が終わる前に始めておけばよかったことはなかったかな?目標は達成できているかな?など振り返ることも多くなります。
やろうやろうと思っていてもあと回しにしていると、時間だけが過ぎてしまいますね。
そこで今回は、決して後回しにすることができない、老後資金の準備について最新の調査報告をもとに一緒に考えていきたいと思います。
さて、皆さまは財政検証という言葉をご存じでしょうか。
これは、国の年金制度が将来どうなっていくのかをある一定の期間ごとに計算し検証したもので、2024年7月に最新の結果が公表されました。
この財政検証の結果は、私たち一人ひとりの将来の生活に深く関わってくるものです。なぜなら、年金が老後の生活を支える重要な収入源の一つだからです。
残念ながら、今回の財政検証の結果は、将来、年金だけでは現在の生活水準を維持することが難しいという結果となっています。
だからといって将来が暗いわけではありません。私たちには、自分自身で豊かな老後を実現できるチャンスがあります。今回は、財政検証の結果を踏まえ将来に向けて、私たちが今なにをすればよいのかを考えたいと思います。
◆財政検証とは何か
財政検証とは、現在の年金制度が将来も安定して続くかどうかを5年に1度チェックする、いわば公的年金の健康診断のようなものです。
健康診断を受けることによって、将来の成人病への予防ができたり、病気を早期で見つけることができたりするのと同じように、将来の年金がどのような状況になるのかを予測し、対策を考えています。
しかし、将来の人口がどの程度になっているか、経済がどのように変化するのかは今の時点で確定しているわけではありません。そこで4つのシナリオで検証されています。
① 高成長実現コース
経済が活発に動き、財政状況が改善する可能性が高いシナリオ
② 成長型経済移行・継続ケース
① ほど急激な成長ではないものの、持続的な成長を通じて財政状況が改善 していくと見込まれるシナリオ
③ 過去30年投影ケース
過去30年間の経済成長率を基に、今後も同様のペースで経済が成長すると想定するシナリオ。比較的現実的なシナリオ
④ 1人当たりゼロ成長ケース
人口減少による社会保障費の増加などが財政に圧力となる可能性があるシナリオ
今回は、③の過去30年投影ケースを見てみましょう。
※厚生労働省:令和6(2024)年財政検証結果の概要より
※モデル年金:夫が平均賃金で 40 年間働いた会社員で妻が 40 年間専業主婦である世帯が受給する年金額
賃金上昇や経済成長が過去30年間と将来も同じ水準だった場合の所得代替率を見ると、2024年は所得代替率が61.2%であるのに対し2057年には50.4%と、政府の目標である50%に対してギリギリの割合であることがわかります。
◆所得代替率とは
ここで重要な指標となるのが所得代替率です。
所得代替率とは、年金を受け取り始める時点における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示すものとなります。
例えば、過去30年投影ケースでは現役世代の手取り収入額が月37万円だったとき、年金で月22.6万円受け取るとすると、所得代替率は(22.6万円 ÷ 37万円) × 100 = 61.2%となります。
つまり、年金で受け取る金額は現役世代の手取り収入額の約61.2%の水準ということになります。
それが、2057年なると、現役世代の手取り収入額の50%程度の水準に変化していくということです。
ではなぜ所得代替率が大切なのでしょうか。
それは、所得代替率が高いほど、老後の生活を現役時代と近い水準で維持できる可能性が高くなるからです。言い換えると、所得代替率が高ければ、現役時代よりも生活水準を大きく下げなくてすむ可能性が高まります。
これは、国民全体を対象とした年金給付の水準であり、個人の具体的な状況を反映しているわけではありませんので、独身や自営業、夫婦共働きなどによっても異なります。将来の給付の水準が変化していくことは覚えておいた方がよいでしょう。
◆資産形成の重要性
では、どのようにしてこの状況に対応すれば良いのでしょうか。
答えは簡単です。自分自身で資産形成して老後の資金を準備することです。
今では資産形成は単なるお金を増やす手段ではなく、自分らしい豊かな生活・老後を築くための不可欠な要素になりつつあります。
さらに、将来物価が上がれば、同じ商品を購入するにも今よりも多くの費用がかかります。物価上昇に負けないように資産形成することで、生活水準を維持することや老後資金の確保が可能になります。将来のために今できる資産形成に向き合ってみましょう。
資産形成は長期的な視点でコツコツと積み立てていくことが大切です。
資産形成にはリスクが伴いますので、元本割れの可能性もあります。そのため、自分のリスク許容度をしっかりと把握することが大切になってきます。
◆資産形成を始めるなら、iDeCoとNISAを有効活用しよう!
資産形成を始めるなら、iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISA(少額投資非課税制度)は、ぜひとも活用したい制度です。この2つの制度は、税制優遇制度があり、効率的に資産を増やすことができます。
iDeCoは、掛金が全額所得控除となり、運用益も非課税です。60歳以降に一時金または年金として受け取るときにも、一定の非課税枠があります。ただし、原則として60歳まで引き出せないため、老後資金などの長期的な資産形成に向いています。
また、NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つの投資枠があり、年間最大360万円までの投資が非課税となります。iDeCoとは異なり、引き出し年齢に制限がないため中長期的な資産形成ができます。例えば、老後資金の準備や、教育資金の準備などに向いています。
iDeCoとNISAは、それぞれの特徴が異なるため、自身のリスク許容度とライフプランに応じて、これらの制度を有効に活用するといいでしょう。
※iDeCo・NISAについて詳しくは以下のリンクをご覧ください。
iDeCo:厚生労働省 自分で育てる、自分の年金 iDeCo(PDF)
NISA:金融庁 NISAを知る:NISA特設ウェブサイト
◆まとめ
年金だけでは老後が不安という声は多く聞かれ、他人事ではありません。今回の財政検証は、その不安を裏付けるような内容だったかもしれません。しかし、同時に、これからやってくる老後生活にむけて、自助努力でなにができるのか考える機会を与えてくれています。
今できることを積み重ねることで、より豊かな老後を実現できる可能性は高まります。
資産形成を始める場合、一人で全てを決めるのは不安なこともあります。
そんなときは、ぜひ顧客本位の相談室をご利用ください。経験豊富なファイナンシャルプランナーが、あなたのライフプランや目標に合わせた資産運用プランを提案し、サポートします。わからないことや不安な点は、一人で抱え込まず、まずは気軽に相談してみましょう。
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黒須 かおり
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