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9月チェロレッスン③:本番まで残り1回のレッスン。

ピアノとチェロのデュオコンサートへ行った。
チェロ役は師匠。

今回のコンサート会場は、お客さん50人で満員の狭さだ。

舞台もないので、演者とお客が対面式。

私はチェロ椅子から見て真正面やや左の席に座った。この場所だと譜面台が邪魔にならず先生の左手がよく見える。
先生もレッスンの時、そういう位置に座っている。

ブラームスのピアノとチェロのためのソナタが素敵だった。

また、アンコールに先生はパラディスのシシリエンヌを弾いた。
チェロを始めるきっかけとなった、思い出の曲なのだそうだ。初めて知った。
だから、今回の発表会で先生がしきりに私にシシリエンヌを勧めてきたのか?(「イヤだ」って言っちゃったけど。)

           ★

「センセ、コンサート、お疲れ様でした!」
私はレッスン室に入って開口一番、そう言った。

先生、ピアノに左肘で頬杖ついて、「んー。」と微妙な返事をする。
「お前、ずっとニヤニヤしながら聴いてたな。」

へ?

「私、マスクしてましたよ?表情なんてわからないと思うんですけど。」

「マスクの下でそういう顔してたよ。なんかさー、見張られてるみたいだった。『ミスを見逃すまい』みたいな。」

心外だ。

「そんなイヤラシイこと、考えてないですよ。
そんなこと言ったら、お客さんみんなセンセに注目していたはずですよ。」

「いや、お前の視線はほかのお客さん方とは違った。」

「だから、あんな近くにいても、私と目を合わせようとしなかったんですか。
とにかく、見張ってなんかいません。
まぁ、技術は盗みたいと思って、じっくり観察はしていましたけど。」

先生、ニヤリとした。

「ふーん。じゃあ、どれくらい盗めたか、見せていただきましょうか。」

           ★

今回のレッスンも、先生の伴奏による発表会の曲練習。

最初から通す。

と、展開部前半で、先生からストップがかかる。

「あのさー、16分音符の6連符、早いからって誤魔化すのにも限度があるよ。それじゃあ、ただの“適当”だ。」

「だって…運指が難しいんですもん。」

「3ポジションで取ろうとしてるからだよ。簡単に1ポジで取ったらいいじゃない。」

「じゃあ、1拍目の高いラは何ポジで取るんですか?1ポジから4ポジに跳ぶとか辛いんですけど。」

「その前のゲー(ソのこと)を3ポジで取ったらいいじゃないか…ほら、出来た。」
私が弾いてみせると、先生、呆れたようにそう言った。

「運指はもっと効率良く考えなさい。」

うー…。
私にはその“効率よく考える”ことが難しい。

「じゃあ、74小節のラは?」
「それはフラジオで取ればいいだろ。」
「あー、なるほどー。」

こんな調子だ。
何が効率がいいんだか、わからんッ。

先に進む。

展開部後半。

私が気持ちよくポコ・リット(少しずつゆっくり)を弾いていると、ストップがかかる。

「コラ、78小節の1拍目と2拍目の間、休符記号なんかないのに、何で音を切るんだ?それにエスプレッシーヴォなのに音がスカスカだ。弓浮かすなよ…さては、この部分、練習してないな?!」

ギクッ。

「前の3小節が難しいから、そこばっかり練習してただろう?!」

「う…。おっしゃる通りで…。」
「78からもう一度弾きなさい。」

           ★

細かな指摘が沢山あり、指摘箇所を繰り返し弾いているうちに、レッスン時間終了となった。

「うん。まあまあいけるだろ。」

ええ?!
今日注意されたこと、いっぱいあるのに?!
本当に大丈夫なのだろうか??

「伴奏に合わせた練習はきちんとしてきたみたいだからね、ちゃんと曲になってる。だから、いけると思う。」
と、先生。

ああ、そこは分かってもらえたんだ。

今日注意されたところをきちんと出来るようになれば、さらにマシになると思う。

あとは、“別なことを考えていても弾ける技術とメンタル“を手に入れたい。
それには、繰り返し練習するしかない。






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