神で、ゴメンな

画像1 時は戦国、あるところに不細工な仕立てのお地蔵さんがいた。おおかた、職人が手抜きしたっちゅうことで、地元じゃあ、手抜き地蔵と呼ばれておった。
画像2 お~い 傘や 傘は、いらんかね? お~い ・・・じいさまは、ばあ様と二人暮らし。 正月を超す金をこさえるために、せっせと わらで傘をあんで、町に売りに出たが 誰一人として、買うものがない・・・。 お~い 傘や 傘はいらんかね?
画像3 傘の売れ残った、帰り道・・・。 「あんれま、手抜き地蔵さまが すっかり雪をかぶっていなさる!! こりゃあ、気の毒に、さむかっつろう・・・」
画像4 そういって、じいさまは 手抜き地蔵さまの雪を すっかり祓ってやった。。 そして、売れ残った 傘を、かぶせてやったのじゃ・・・。
画像5 ばあ様 「じいさま、傘は売れましたかいのう?」 じい様 「それがのう、かくかくしかじが、売れ残った傘は、お地蔵さまに差し上げたのじゃ」 ばあ様 「それは、良いことをしましたのう。さてさて、お粥でも食べてゆっくりと休みましょう」... もっと見る
画像6 「ごめんくださ~い」 「夜分、失礼します」 ・・・こりゃあ、おったまげた!! お地蔵さまが、なにやら福袋をぶらさげて 立っておるじゃないか!! 「よぉ、そんな驚くんじゃねえよ?まあ、あれだ、傘のお返し」 へへ~ じい様は、ありがたくって すっかり恐縮しちまった。。 「これはな、ホドコシでもねえ、ユーシでもねえ、 トウシだかんな?トウシ。。そこんとこ、間違えないようにな・・・じゃ」 そういって、じいさんに 福袋をわたすと、お地蔵さまは えっちら、おっちらと 帰っていった。。
画像7 翌朝、じいさまが 福袋を開けてみると そこには、五つのお宝が 入っていた。 二升のお米  そろばん  そろばんの使い方の本 ※ひらがな 四、このあたりの地図 五、銭5000文 ※現在の30万円相当
画像8 「ばあ様や。テヌキ地蔵さまは、どういう 意味でこれをくれたんじゃろ?たしか、トウシと 言っていなすったが・・・トウシ・・・ 検討もつかん・・・」 「お米ちゅうのは、とうぶん食つなげっちゅう ことでしょう?でも、ほかのお宝は・・・ ともかくも、その頂いた地図を見てみましょう」
画像9 ・・・地蔵さまがくれなすった 地図には、いくつかの赤い矢印が してあった。。 頑張れば、行けない距離ではない。 二人は、地図にある印の 場所に行ってみることにした。
画像10 印の場所に行ってみると 雪のとけた山のふもとに 青々とした草が茂っていた。 「じいさまや、あれを見なされや!!」 「ばあ様、あれは、イグサじゃ、ほれ、お侍さまの お屋敷で畳なんぞに使う、イグサ」 「あれを、使って なにかを作れちゅうことじゃろうか?」
画像11 ・・・いくら、野生の草とはいえ 勝手に刈り取ることはできない。 二人は、お奉行所に願い出て 銭を収める代わりに イグサを刈り取る許可をもらった。。
画像12 ・・・そして、いくらの 銭を使い、いくらを残し どれくらい売り上げれば 生きていけるのか、ソロバンで 計算をすることにした・・。 じい様はソロバンの使い方の本を 読みあげ ばあ様はソロバンで、ゼニの計算を したのじゃった・・・。
画像13 一生懸命、針をつかって イグサを縫ったものの・・・ 二人の技術と 資金でつくれたのは 小さな小さな 編み笠が、やっとじゃった・・・。。 これでは、大人は とうてい かぶることはできない・・・。
画像14 ・・・そして、じいさまは 再び地図を手に取った。 う~ん、この矢印は お武家さまのお城下を 指して居るぞよ・・・。 ここに、何があるんじゃろ?お武家の家が多いようじゃが・・・。
画像15 子供用の傘など、最初は見向きもされなかった。だが、じいさまは、こう考えた。 小さいのは、短所ではあるが 短所を長所にすり替えてしまえば 良い。。 いっそのこと お武家のお子様専用に作った いぐさの傘ということに してしまえばいいのじゃ。 お~い、傘はいらんかねや? イグサで編みこんだ お武家の稚児さまのための 丈夫な傘じゃ。 長持ちしますぞ~い。
画像16 赤い立派な着物を着た お武家さまが、足を止めて じいっと傘を見やった。 「むぅ、、、これは見事。イグサの傘とな。 稚児のための・・・」 はい、丈夫な作りになっており 長持ちいたします。 「では、我が子らに、五つほどもらおうか・・」 ・・・じい様と、ばあ様の 傘は徐々に評判となり、お城下では 知らぬもののないほど、人氣となった。。
画像17 二人は、どんな お宝よりも大切なものを お地蔵さまに、もらった。 自分で考え、氣づくこと。自ら行動し、経験すること。 自信を持つこと。 という、三つのお宝じゃった。 そして、二人はそのお宝を より多くの人々に分け与えることにした。 二人には、子が 無かったが、儲かったお金で 地域の親のない子や 戦で親を亡くした子らの 面倒を見た。 飯を食べさせ 遊んでやり ソロバンを教えてやった。 そのせいか、その村では 代々、賢い若者が育つようになった。 そして、、
画像18 じい様と ばあ様は あの夜、お地蔵さまに 借りたお金の元金ぶんで、立派な お社を建てた。 儲けた分は 地域や、子供たちのために 学び屋を残したのだった・・・。 もう、誰も 手抜き地蔵などと 呼ぶ人はいなくなった・・・。 そのかわり、人々は お地蔵をこう呼ぶようになった。 お投資さま。 投資地蔵さま、と。
画像19 おしまい。。