見出し画像

【対談】主将×副将 ー新入生に今、伝えたいこととはー  立川将希・後藤駿太

2020年7月18日。立教大学男子ラクロス部の入部式が行われた。例年であれば厳かな立教大学のチャペルで開かれる毎年恒例の入部式が、今年は異例の形式、オンライン上での実施となった。総勢150名を超える部員・コーチ陣が画面越しに集結した。

このような状況の中、39名の新入生が当部へ入部を決めた。ラクロスという新しいスポーツ、セインツという組織に期待と不安を交えつつも、これから過ごす日々に胸を躍らせているセインツ新入部員たち。

そんな彼らに今、主将・副将が伝えたいこととはーーーーーー


2020年度主将 立川将希 #81  DF

立教新座高等学校(サッカー部出身)

画像1


2020年度副将 後藤駿太 #3  FO
郁文館グローバル高等学校(1年間留学の為 部活未所属)

画像2



2人がラクロスを始めたきっかけは? 

主将 立川将希(以下立川):
実は僕は元々、この組織に入ってめちゃくちゃ活躍してやるとか、日本一を獲ってやるとかは全く思っていなかったんです。入部を決めた理由は、偶然勧誘された体験会にてラクロスという競技自体に惹かれたこと、もう一つは人の魅力ですね。立教新座サッカー部の先輩が多かったこともあって。その先輩たちがラクロスに熱中している姿がとても格好良かったことをよく覚えています。


副将 後藤駿太(以下後藤):
僕はラクロス部が学生主体である点に惹かれました。
元々僕は高校生の時に1年間留学に行っていて、英語の学習や海外生活の準備の為に部活に所属する事が出来なかったんです。だから大学で部活というものに憧れを持っていました。中でもラクロス部を選んだ理由は、「主体性が凄い組織」だと知ったから。自分で考え行動し、組織も学生主体で運営していくこと、この組織でなら、自分が留学で培った「主体性」や「考える力」のようなものを活かして、貢献出来るんじゃないかなと思いました。

もう一つは、僕も立川と同じく人の魅力に惹かれましたね。新歓時、柳井さん(19年主将)に勧誘してもらったんだけど、柳井さんの熱意というか、この人は心の底からセインツを良い組織だと思って勧誘してくれているんだなということが凄く伝わってきました。胡散臭くなかった、というか(笑)
そういうところに惹かれてこの組織に入りたいと思いました。


3年間ラクロスをしてきて感じる、ラクロスの良さとは?

後藤:
「自分自身が限界を決めるスポーツ」であるところかな。組織を良くしていく事に関しても、ラクロスの技術面や日本一を獲りたいとか、そういった目標は全て自分次第で立てる事が出来る。

サッカー等他のスポーツだったら、そもそも日本一を目標に出来るチームって限られてくるんじゃないかな。ラクロスは大半が大学から始める競技だから、初心者であっても高い目標を立てられる。それが実現できるかどうかは、本当に目標に見合った努力を自分がどれだけ出来るか次第だと思う。

自分の想いが自分のラクロス人生の限界を決める、そんなスポーツだと僕は思うかな。


立川:
確かにね。その点に関しては僕も似た感じにはなるけれど、ラクロスは自分が頑張った分だけしっかり結果が返ってきてくれる競技だと思うし、そこが良いところだと思っています。

スタートラインは皆同じなので、特に自分がどれだけラクロスという競技に向き合う事が出来たかが結果として現れると思うかな。

画像5


続いて、セインツはどのような組織ですか?

後藤:
この質問は深いね(笑)

立川:
組織に関しては色々話せるから・・・どこから話そうか(笑)


後藤:
全員がラクロスにおける目標を持っていて、且つ組織を良くするという観点で一人一人に役割があるのがセインツかな。

ラクロスにおいてはAチーム、Bチーム、Cチーム、MG、TR、AS、報道班。それぞれが各カテゴリーで優勝する為に頑張っている。Aチームだから偉いとかそういうのは無くて、チームを超えてそれぞれが協力出来ているところも凄く良いところだと思います。

13個の班活動もセインツという組織を良くする為に日々動いている。班活動に関しては、立教がラクロス界で一番頑張っていると自信を持って言えるよ。

以前、なぜこんなにも班の活動が活性化出来ているのかを考えた事があるんだけど、やっぱり一人一人が目的を持っている事が強いと思った。
やらされている認識では無くて、「この班をこうしたいから、この行動をする」といったように自分で意思決定出来ているのがセインツの班活動。


だからまとめると、
人に決められて動くというよりは、自分でやりたい事を決めている。自分のなりたい姿から逆算して、皆日々活動出来ている組織ですね。


立川:
僕が思うのは、この組織には「他人の原動力になれる人」が多いという事かな。人の努力や頑張りが、別の人の努力や頑張りを促すという側面があると思うんだよね。
下級生が4年生を見て、「こんな風に頑張りたい」と思ってくれる事もあるし、逆に自主練や班活動を頑張っている下級生の様子を見て、自分たち4年も頑張らなきゃなと思うことも沢山あります。

こういう風に今のセインツは構成されていると思っていて、駿太も言ったように、一人一人が目的を持って頑張り、それに影響を受けた人がまた頑張り、これが積み重なって今のセインツが出来ています。

1年生が上手くなろうと必死に努力する姿に影響されて、2年生も頑張るようになる。それを見た3、4年生が自分たちも頑張らなきゃと鼓舞される。
こんな風に1年生から良いサイクルが回っていくこともありますよ。

自分自身がチームに1個の火をつけているような、そういう人が多いところが立教ラクロス部の魅力であると思っているし、うちにしか無いのかなと皆を誇りに思います。


後藤:
本当にそうだよね。身分や役職に関わらず互いに影響し合える組織だよね。


立川:
僕自身も凄く助けられているし、そういうチームを目指していたというのも個人的にはあるかな。


これはまた別の話になるんだけど・・・・
僕はモチベーションという言葉はあまり好きではないんです。


特に今、一緒にチームを引っ張っている幹部の皆が頑張れているのは、モチベーションが高いとか、良いモチベーションがあるとかいうわけでは無くて、

「どれだけチームのことを想っているか」「どれだけ部員一人一人の事を考えているか」であると思う。

その原動力は極論「人のため」であると思っていて、この状態を部員全員が持てたとしたら、「今日は自分のモチベーションが低いから頑張らなくて良いや」なんて事が起こらなくなる。
個人的にはラクロスの技術以上にここが一番重要だと思うな。


自分のとった行動で誰かが喜ぶか、または逆に誰かが悲しむか。そういう話を意識して皆には伝えてきたので、だからこそコロナの自粛期間であってもそれぞれが凄く頑張る事が出来たと思う。


特に2年生。
コロナの影響で最後の学年試合あすなろの開催中止が決まってしまっても、安藤や小豆澤を中心に皆腐らず自主練をしていた。それを知って自分も本当に頑張ろうと思えたし、他にも頑張ろうと思えた人は沢山いると思う。


最上級生だからといって4年が下級生を頑張らせるのではない。
どこかしらで頑張っている人がいて、それに影響を受けて頑張る人がいる。

学年なんて関係無くて、ただこの繰り返しだと思います。

画像3

セインツの良いところは?

後藤:
いやー、今立川が言った事を、そのまま僕も言おうとしてました(笑)
そうだなぁ・・・・


やっぱり僕が一番良いと思っている事は、立川が言った事に全く同感。

加えると、「関わってくれる人がとても多いところ」かな。
今年は特に数多くのコーチ、OBの方々が関わって下さっている。上島さん(現ヘッドコーチ)なんて、6月には33回もzoomのミーティングに出席してくれているんだよ。社会人として働きながら、ここまで部活に時間を割いてくれるコーチって他には中々いない。そして20年間部を守り続けてくれている監督の存在も凄く大きいし。


この部は良い意味で先輩後輩の距離感も近いし、選手とコーチの距離感も遠くない。

そして組織が辛い時、自分が辛い時、または自分が何か新しい事に挑戦したい時、何か頑張りたいと思った時に、絶対に寄り添ってくれるコーチ陣や仲間がいること。これがこの組織の良いところだと思う。


立川:
なるほど、間違いないね。

僕も駿太が言ったことに加えると、やっぱり「熱意」は人を動かす力があると実感しています。

今年はコーチ陣をはじめ、チームに関わってくれる関係者の方々が増えた。そういう方々はブログや直接のお話を通して、チームの熱意や頑張りを知ってくれて、

「こんなに頑張っているなら自分も関わりたい」と名乗り出て下さった。

フェイスオフコーチの佐々木淳さんや、ゴーリーコーチの福島裕樹さん、フィジカルアドバイザーの中村鮎人さんなど。


また上島さんや監督も僕たちの組織運営を信頼し、任せてくれる。だからこそ現在上島さんはスカウティングや戦術に力を入れて下さっているしね。


ところでラクロスを始めた時、親御さんはどのような反応でしたか? 全く知らないスポーツな訳だし・・・

立川:
この質問面白いね(笑)
入ると決めたのは自分で、決断してから両親には伝えたかな。その時、反対とかはされなかったけれど、単純に「ラクロスって何?大丈夫?」みたいな反応だった(笑)

高校サッカーでは一度も応援に来た事が無かった。でもラクロス部での3年のリーグ戦時には、家族皆で応援に来てくれた。ラクロス部では僕が高校以上に頑張っている事が家族に伝わったみたいで、興味を持ってくれた。応援したいと思ってくれたことが嬉しかったし、やっぱりラクロスは良いなと思ったよ。


後藤:
僕が入部を決めた時は、高校3年間部活をやっていなかったこともあって少し心配はされたけど、スポーツをやる事については前向きに応援してくれた記憶があるかな。

実は僕、ラクロスを始めてから割と模範的な大学生を送ってきたんですよ(笑)
ラクロスは勿論、学業面でも学んだ事がラクロスに活かせると思って結構頑張った。飲み会とかもそんなに頻繁に行かないし(笑)

その頑張りを側で見てくれていて、リーグ戦も毎回応援に来てくれる。ラクロスはお金のかかるスポーツだけどそれも嫌な顔せずに支えてくれた。あとは毎日の食事でもサポートしてくれて、入部当初から20kgも増量する事が出来た。
本当に両親のサポートは自分の頑張り以上に強く感じているし、両親も試合を楽しみにしてくれているのが嬉しいです。

画像6


最後に、入部を決めてくれた新入生に伝えたい事は?

後藤:
振り返ると、ラクロスが出来る4年間は本当に短くて、何となく過ごしていたら一瞬で過ぎてしまいます。その中で皆はラクロス部に所属したくて入った訳ではなくて、人に惹かれたり、日本一を目指したくて入部を決めてくれたと思う。

今現在、自分の4年間でなりたい姿というのが何となくあると思うけど、
この組織で日々を過ごし努力を続けていくと、どんどんそのなりたい姿が変わっていくはずです。最初はただ「日本一になりたい」だったものから、「このチームで本当に活躍する選手になりたい」とか「こういう影響を与えたい」のように、なりたい自分がアップデートされていくはず。


僕が一番伝えたいのは、

「なりたい自分を4年間見続けて、それに見合った努力をして欲しい」
という事です。



目標に対する努力というのは山登りみたいな感覚で、道中には楽しいこともあるし、でも辛い時の方が恐らく多い。

ラクロスを今まで続けてきて心から思うのは、その苦しい時に自分がどれだけ頑張り続けられるか。そしてその原動力となるのは、結局は自分がどうなりたいかを最後まで追求し続けることだと思う。


そして最後にもう一つだけ。周りの人を死ぬほど大切にして下さい。
今までの18年間を振り返ってみてもらって、一人でやって来られた経験なんてそう簡単に無いと思う。常に周りに支えられてきたはず。それに対する感謝の気持ち、そしてそれをどう伝えていくかがラクロス部での4年間を充実させる為に、最も重要なんじゃないかな。

そしてこのセインツという組織で、苦しい時も一緒に目標の為に努力出来る、大切な仲間を作ってください。

ここが一見ラクロスには関係無さそうに見えるけど、ラクロスが上手くなる根源の部分かなと僕は思います。


立川:
僕は、「今、この一瞬を大切に生きて欲しいということ」を伝えたい。

新入生は今、ラクロスを始めたてで凄く楽しい時期だと思う。その気持ちを4年間持ち続けて欲しいのと同時に、1年生の時期でどれだけ頑張れるかが今後のラクロス人生に直結するとも思う。
この1年間は本当に貴重だからこそ、学年皆で手を取り合って上手くなって欲しい。


僕は今までの人生を通して、このラクロス部での4年間というのが最も濃くて楽しい時間だったと感じています。それは1年生から4年生全ての時期においてなんだけど。

でもそう思っている僕でも、あと1ヶ月後、2ヶ月後には最後のリーグ戦が始まり、それが終わったら引退。本当にこんなにすぐ終わってしまうんだという感覚です。
今振り返ると3年生の頃までは、自分の嫌なことや苦手なことから逃げてしまっていた時もあって、もっとあの時頑張れたんじゃないかと思うことも正直ある。


これら全てを踏まえて、ラクロス部での4年間は一瞬で過ぎていくから
1日1日、一瞬一瞬を本当に大切にして生きて欲しいし、楽しんでラクロスをして欲しい。4年になったら頑張ろう、だとかそういう考えは捨てて欲しい。

今の頑張りが1年後、4年後、また社会に出てから必ず報われるはずだから。
皆のこれからに期待しています。

画像4

記事執筆・取材: 飯沢桜子、川口峻征




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?