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夏から秋へ 2021/10/1 - a letter from Paris

このブログは2021/10/1に掲載したhttps://sainthonore.info/blog/2021100149971より転載しているため、実際のnoteの投稿日との季節のズレが生じています。

夏時間から冬時間へ…

今年は雨ばかりで最低の夏だったけれど、9月は比較的晴れた日が多かったのが嬉しいです。

強い夏の陽射しに透明度が加わって、空は高く、澄んだ空気が気持ちよい。朝夕は涼しさを感じるものの、まだ日没は遅く、夏の余韻は永遠かと思う頃、朝から降り続く雨に夏は終わったのだと呼び覚まされました。

10月に入った途端、日はどんどんと短くなり、今年こそは廃止になるかと思っていた夏時間が終わり、冬時間となるのが10月最後の週末です。
日曜の朝に1時間余計に眠れると喜ぶのも束の間、この日を境に日暮れはまるで釣瓶落としのよう。

本格的な秋の始まり

楽しかった夏の記憶は遥か彼方へ遠ざかり、ノエルのように心浮き立つお祭りもない月です。

日照時間が減って、気持ちが沈んで鬱になりやすいのもこの頃。みんなとレストランへ行ったり音楽会へ行ったり、いつもだったら夜の外出が増えるのだけれど、やっぱりコロナ以来今までとはちょっと違います…

在宅からほぼ通常に戻った出勤

そろそろ疲れを感じるこの頃、楽しみはトゥッサンのバカンス!

11月1日の万聖節を挟んだ2週間、パリを離れて田舎で過ごすパリジャンは今年は特に多いみたい。
UN TEMPS DE TOUSSAINT というくらい、どんよりと垂れ込めた雲と地面を覆う枯れ葉の上にしとしとと降りしきる雨、パリでは憂鬱な景色も田舎だとあまり気にならないのは、散歩をして冷えきった身体も赤々と燃える暖炉が暖めてくれるから?
たまに途切れる雲間から射し込む光の美しさに心が浄化されるから?

トゥッサンのバカンス中、華やかな花々で彩られ賑やかになるのが墓地。万聖節の翌日は万霊節で死者の日、祝日の1日に合わせてお墓参りをする人は多いです。

晩秋に咲く花の種類はあまり多くはないけれど、パンジー、エリカ、シクラメン…圧倒的に多いのは大、小輪の菊の花。
10月半ばを過ぎると、墓地の入口には花屋の即席屋台が出来上がり、いくつもの菊の鉢植えが並べられています。

菊=お墓の花と嫌う人もいるけれど、それでは菊が気の毒というものです。
第一次世界大戦の後、11月11日の終戦記念日に亡くなった兵士を追悼するため墓地に花を供えることを推奨したから。
祖国の為に亡くなった、愛する人にその季節で最も美しい花を供えたいという思いが菊の花… 丸く仕立てられた可愛いらしい小菊、見事に咲いた大輪の寄せ植え。
黄色、赤、ピンクに紫、橙、白 … 色とりどりの花々が、晴れた日には晩秋の青空に映え、雨の日には白く煙った視界を鮮やかな色で染め上げます。

戦争は知らないけれど、愛する人に美しい花を飾ってあげたいという気持ちは今も昔も変わらないです。



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